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雇い止めとはどういう意味?規定や契約満了との違いを分かりやすく解説!

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この記事のまとめ

  • 雇い止めとは、有期契約の労働者に対して契約満了時に次の更新をせず終了させること
  • 雇い止めは会社の一方的な都合で行うことはできず、合理的な理由が必要
  • 雇い止め法理に該当したり、事前に告知がなかったりした場合は無効となる
  • 不当な雇い止めに遭ったら、公的機関や弁護士に相談するのも選択肢の一つ

雇い止めについて、「どういう意味?」「契約満了や解雇との違いは?」など、疑問をお持ちの方はいますよね。雇い止めとは、有期契約労働者が契約期間満了時、次回の契約を更新されないことです。

雇い止めは会社都合で行われないようルールが定められており、状況によっては無効となる可能性があります。有期契約労働者の方は雇い止めに遭う可能性が少なからずあるので、正しく理解しておくことが大切です。

このコラムでは、キャリアアドバイザーの板垣さんのアドバイスを交えつつ、雇い止めの意味や有効・無効を判断する基準について解説しています。参考のうえ、雇い止めに遭った際は適切な対応ができるようにしておきましょう。

雇い止めとは

「雇い止め」とは、主に有期契約の労働者に対して、契約満了時に次の契約を更新せず、その雇用を終了させることを指します。雇い止めを行うのは、雇用先の経済的事情や人員調整の一環であることが多いようです。

雇い止め・契約満了・解雇の違い

「契約満了」とは、労働契約が終了する時期が来たことを示します。これは有期契約の性質上、当然に発生する事象です。

次に「解雇」ですが、これは無期雇用の労働者や契約途中の有期雇用労働者に対して会社側が一方的に雇用契約を解消することをいいます。解雇される理由は主に、会社の経営不振による人員整理や労働条件違反などが多いようです。それぞれの違いについては、以下の表をご参照ください。

 雇い止め契約満了解雇
対象者有期雇用の労働者有期雇用の労働者無期雇用の労働者
有期雇用の労働者
理由雇用先の都合雇用先の都合雇用先の都合
労働者の労働条件違反
事前の合意
退職時期契約満了時契約満了時いつでも

雇い止めと解雇は混同されやすいですが、雇い止めは契約満了時に雇用契約を解消することなので、契約期間が終了するまでは勤務できる点が解雇と異なります。

雇い止めの対象となる労働者

雇い止めの対象となるのは、主に有期契約の労働者で、これにはアルバイトやパートタイム職員、契約社員などが含まれます。雇い止めはトラブルが起こりやすいため、契約前に就業規則や労働契約書をよく確認しておきましょう。

雇い止めのリスクを回避するには、正社員に転職する方法もあります。正社員就職にハードルの高さを感じる方は、「正社員になれないのはなぜ?年齢別の就活のコツやおすすめの仕事を解説!」のコラムを参考に、できることを始めましょう。

契約期間が5年を超えると雇い止めされない?

労働契約法18条」によると、契約期間が通算5年以上の有期雇用契約者は、本人からの申込みにより、無期労働契約に切り替えられるとされています。これは無期転換ルールと呼ばれ、無期労働契約に転換した場合、会社から雇い止めされることはありません。

参照元
eーGOV法令検索
労働契約法

雇い止めは拒否できる?

雇い止めを通告されたとき、それを拒否して働けるのでしょうか。ここでは、雇い止めを拒否できる状況について、詳しく解説していきます。

会社都合だけで雇い止めを行うのは違法

雇い止めは、会社側の一方的な都合のみで行うのは違法です。契約期間満了時に雇用契約を終了して、次の契約更新をしないことは原則は認められています。しかし、後述する「雇い止め法理」に反する場合は、有期雇用契約であったとしても更新をしないことは不当とみなされ、雇用契約を継続できる可能性があるでしょう。

雇い止めを行う前は対象者となる労働者に通知が必要

会社が雇い止めを行う場合、対象となる労働者には事前に通知する義務があります。厚生労働省の「労働契約の終了に関するルール」によると、通知が必要な労働者は以下のとおりです。

  • ・3回以上契約が更新されている
  • ・1年を超えて継続勤務している

これは「事前通知義務」と呼ばれ、労働者が次の就労先を見つける時間を確保するためのものです。面談あるいは書面で通知され、書面は「雇い止め通知書」と呼ばれる公式な文書となります。

参照元
厚生労働省
労働契約の終了に関するルール

通知なく雇い止めされた場合は?

労働基準法第20条」によると、労働者が通知なく雇い止めした場合、雇い主は労働者に対して30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならないと定められています。

参照元
eーGOV法令検索
労働契約法

雇い止めの有効・無効を判断する基準

雇い止めは、不当に行われないよう「雇い止め法理」というルールが存在します。以下では、雇い止めが有効か無効か、その判断基準をご紹介します。

「雇い止め法理」に該当する場合は無効となる

雇い止めには法的な規定があり、「雇い止め法理」という法制度がその判断基準となります。労働者の働く権利の適切な保護が目的であり、これに該当する場合雇い止めは無効となります。具体的な判断基準は以下のとおりです。

  • ・これまで複数回の契約更新がされており、その期間が無期雇用と同等となっているもの
  • ・客観的にみて雇い止めが合理的ではないと考えられる状況

これらの条項が適用される状況下で雇い止めが行われた場合、それは無効として扱われ、労働者は働き続ける権利を持つことになります。

「雇い止めが合理的ではない状況」とは?

雇い止めが客観的にみて合理的ではない状況とは、該当する労働者の業務内容や雇用期間などから判断されます。たとえば、担当する業務が会社にとって重要だったり、契約の更新回数が多く在籍期間が長かったりする場合は、「雇い止めが合理的ではない」と判断されることが多いようです。

雇い止めが有効になりやすい状況とは?

一方で、以下のような状況の場合、雇い止めが法的に有効となりやすいといえます。

  • ・就業規則に契約の更新回数や雇用期間が明記されている
  • ・会社側が労働者の雇用期間をしっかり把握している
  • ・有期雇用と無期雇用で業務の差別化が図られている

雇用契約がしっかり管理されている場合、雇い止めが有効と判断されることが多いようです。「もしかして雇い止めされるかも」と不安なときは、会社が上記のような状況に当てはまるかどうかを確認してみると良いでしょう。

雇い止めの心配がない仕事を探したいという方は、「安定した職業に就きたい!その見分け方とおすすめの職種を紹介」のコラムを参考にしてくださいね。

雇い止めに遭ったらどうする?

突然雇い止め通知が届くと、初めての状況に戸惑いますよね。雇い止めに遭ったら、まずはそれが正当に行われているのかを確認することが必要です。ここでは、もし雇い止めに遭ったらどのように対処していけば良いのかをまとめたので、参考にしてください。

雇い止めが正当に行われているか確認する

雇い止めが正当に行われているかどうかを確認するためには、雇い止めの理由が明確であり、適正な手続きが行われているかを見極めることが必要です。

雇い止めは拒否できる?」で解説したとおり、雇い止めは会社の一方的な都合で行うことはできません。労働者が会社にとって重要な業務を担当していたり、契約更新が複数回繰り返され、無期雇用と同等の雇用期間となっていたりする場合は、「雇い止め法理」に反するため無効となります。

自分がなぜ雇い止めされたのか詳しく確認したいときは、理由が記載された証明書(雇止理由証明証)を会社側へ請求できるので、必要に応じて手続きを進めましょう。

また、会社側が雇い止めを行う際は、対象の労働者へ事前に通知する必要があります。通知なく雇い止めされた場合は、解雇予告手当が受け取れたり雇い止め自体が無効となったりする可能性もあるようです。面談、あるいは書面での通知があらかじめあったかどうか、振り返ってみましょう。

納得がいかない場合は公的機関や弁護士に相談する

雇い止めについて不明な点があったり納得できないことがあったりする場合は、公的機関や弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。たとえば、都道府県の労働局やハローワークは、雇い止めの問題を相談できる公的機関です。

また、弁護士は法律的な観点から分析し、状況によっては訴訟を依頼できる場合もあります。ただ、公的機関とは違い費用がかかるため、慎重に判断することが必要です。

有給が残っていれば消化する

雇い止めされたとき、有給休暇が残っている場合は消化しておきましょう。有給を取得することは労働者の権利であり、「退職前に言いにくい…」と遠慮する必要はありません。有給休暇を取得すれば自由に使える時間が増え、新たな職探しの時間を確保できるでしょう。

雇用保険に加入している場合は失業手当の申請をする

雇用保険に加入している場合、失業手当の申請を忘れず行いましょう。失業手当は、労働者が失業した際の生活を安定させるために給付されるものです。

失業手当を受け取るためには、いくつかの条件を満たす必要があります。また、失業手当がもらえる期間は、退職理由や年齢、雇用保険に加入していた期間などによって決まるようです。申請は居住地域を管轄するハローワークで行えるので、不明な点があれば相談してみると良いでしょう。

失業したらやることは何?必要な手続きや失業保険を申請する方法を解説」のコラムでは、失業後の手続きについて詳しく解説しています。

転職支援サービスを活用して転職活動をする

雇い止めの通知を受けたら、次の就職先を探す必要があります。求職活動では、転職サイトやハローワークを利用するのが一般的ですが、自分の適性に合った仕事で正社員を目指したい方は転職エージェントがおすすめです。

転職エージェントは、プロのアドバイザーが転職活動を支援する民間のサービスです。求職者の適性や希望に合った求人の紹介のみではなく、応募書類の添削や面接対策、応募先の企業とのやり取り代行といったサポートをしてくれるので、効率的に転職活動を進められるでしょう。

ハタラクティブ プラス在籍アドバイザーからのアドバイス

板垣拓実

板垣拓実

雇い止めに遭った方から、「次の就職活動で不利になるのではないか」といった質問をよく聞きます。必ずしも不利になるわけではありませんが、選考時「なぜ雇い止めされたのか」を聞かれる可能性は高いです。

しっかりと事実を伝えたうえで、次に向けてどのように頑張ろうとしているのか、前向きな気持ちを伝えると企業側も納得しやすいですよ。わたしたちハタラクティブでは、プロのアドバイザーが好印象を与える面接のコツをアドバイスしています。

ハタラクティブは、若年層向けの就職・転職エージェントです。プロのアドバイザーがマンツーマンでカウンセリングを行い、希望や適性に合った求人をご紹介します。

取り扱っている求人は実際に取材を行い、職場の雰囲気や仕事内容を把握している企業のみなのが特徴です。雇い止めに不安を感じ、無期雇用の正社員を検討している方は、ぜひ一度ご相談ください。

雇い止めに関するよくある質問

ここでは、雇い止めに関してよく聞かれる質問にQ&A方式で回答していきます。

雇い止めにあったら再就職は難しいですか?

雇い止めされた経験があるからといって、再就職が難しくなるわけではありません。ただし、雇い止めされた理由について聞かれる可能性は高いです。事実をしっかり伝えたうえで、今後どのように仕事へ取り組みたいのか、仕事への意欲や前向きな気持ちを伝えると良いでしょう。

雇い止めは撤回してもらえますか?

「雇い止め法理」に該当する場合は、撤回してもらえる可能性があります。雇い止め法理とは、労働者の働く権利を保護するための法律です。詳しくはこのコラムの「雇い止めの有効・無効を判断する基準」をご参照ください。また、雇い止めは対象の労働者へ事前に告知する義務があり、告知なく雇い止めされた場合は無効となる可能性があります。

雇い止めに遭ったときの相談先は?

雇い止めに遭ったときは、厚生労働省が設置している「労働条件相談ほっとライン」や、労働基準監督署、弁護士などに相談すると良いでしょう。労働条件相談ほっとラインは無料で利用でき、匿名で相談可能です。弁護士は法的な観点から調査を行い、状況に応じて訴訟を依頼できることもありますが、費用が自己負担となるため注意が必要です。

参照元
厚生労働省
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後藤祐介

監修者:後藤祐介

京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。
ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。

資格 : 国家資格キャリアコンサルタント国家資格中小企業診断士
メディア掲載実績 : 「働く」をmustではなくwantに。建設業界の担い手を育て、未来を共創するパートナー対談定時制高校で就活講演 高卒者の職場定着率向上へ【イベント開催レポート】ワークリア障がい者雇用セミナーSNS : LinkedIn®YouTube