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大学中退から公務員に就職・転職できる?試験の年齢制限や給与について解説

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この記事のまとめ

  • 大学中退から公務員になることは可能
  • 公務員の試験は学歴不問のため大学中退者も受験できるが、年齢制限がある
  • 公務員の種類は大きく分けて、国家公務員や地方公務員、国際公務員がある
  • 公務員のメリットは、民間企業と異なり倒産やリストラがないこと
  • 大学中退者が将来の選択肢に迷ったら、公務員のメリット・デメリットを比較して考えよう

民間企業から公務員への転職を検討するものの、「大学を中退している人も公務員になれる?」と疑問に思っている方もいるでしょう。

公務員試験に学歴の制限はないため、大学中退者が公務員になることは可能です。ただし、公務員試験の受験には年齢制限があるため、「公務員になりたい!」と思ったら、早め早めの行動が重要になります。

このコラムでは、キャリアアドバイザーの板垣さんのアドバイスを交えながら、大学中退者が公務員になるメリットとデメリット、公務員試験に合格するコツなどをご紹介します。公務員と民間企業勤めの大学中退者の平均給与や、これから公務員になるか迷ったときの対処法も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

大学中退から公務員を目指せる?

大学中退から公務員を目指すことは可能です。大学を中退した方にとって気になるのが、その後のキャリア選択ですよね。特に「公務員になることは可能なのか」という疑問が頭をよぎるかもしれません。

学歴にかかわらず、公務員を目指す道は開かれています。これは、さまざまなバックグラウンドを持つ人が公務員として活躍するチャンスがあるということです。以下で詳しく見ていきましょう。

公務員試験の受験に学歴は不要

公務員として働くには、専門性や能力を測るために公務員試験の受験が必要です。ただし、公務員試験に学歴は不要なので、大学を中退している方もチャレンジできる機会が与えられています。

学歴は不要だが年齢制限に注意

前述のとおり、公務員試験の受験は学歴不問ですが、年齢制限があるので注意が必要です。受験できる年齢は試験の種類によって異なりますが、一般的には30歳までに設定されている場合が多いでしょう。そのため、大学を中退した方で公務員試験の受験を検討している場合は、早めに次のステップを考えて試験の準備を始めることが大切です。

まだ大学に在籍中で中退を迷う方は、「大学を辞めると後悔する?メリット・デメリットや中退後の進路を解説」のコラムも参考にしてくださいね。

大学中退しても大卒程度(上級)の試験を受験できる?

大学中退者も、大卒程度(上級)の試験を受験することは可能です。公務員試験は初級・中級・上級に分かれていますが、これは求められる学力の目安であって、「上級は大卒しか受験できない」というわけではありません。

ただし、受験する公務員試験の概要に「大学卒業」や「大学卒業見込み」という表記がある場合、大卒および卒業見込みのある方しか受験できない場合があります。「自分はこの公務員試験を受験できる?」と不安になったときは、受験先に問い合わせてみましょう。

ハタラクティブ プラス在籍アドバイザーからのアドバイス

板垣拓実

板垣拓実

大学を中退した方が公務員になることは十分可能です。公務員試験にはさまざまなレベルがあり、試験ごとに定められた資格要件を満たしていれば受験することができます。

公務員試験においては、基本的には受験者の学歴(中退か卒業か)よりも、試験の成績や面接時の印象や対応能力などが重視されます。しっかりと準備をして自信を持って挑戦しましょう。

公務員の種類にはどんなものがある?

公務員の種類は「国家公務員」「地方公務員」「国際公務員」の3つに分かれています。また、それぞれの業務内容や働く場所なども異なるので、一概に同じ職種であるとはいえません。ここでは、公務員の種類について解説するので、ぜひご一読ください。

国家公務員

国家公務員とは、日本国政府や国家機関などで働いている職員のことです。国家公務員は総務省や厚生労働省、防衛省など、さまざまな省庁で働いています。また、税関や警察、自衛隊といった特別職の職員も国家公務員です。

国家公務員は全国各地で勤務する可能性があり、場合によっては転勤を伴うこともあります。そのため、「日本全体のことを考えながら働きたい」「多様な地域の業務を経験したい」という方に適性があるといえるでしょう。

警察官になるには?採用試験の実施内容や試験対策で大切なポイントを解説!」のコラムでは、警察官を目指す人向けの内容をまとめています。

地方公務員

地方公務員は、都道府県や市町村などの地方自治体で勤務する職員です。地方公務員も行政に関わる仕事が中心ですが、特に地域に密着した業務が多く、地方自治体の特性を活かした業務を担当します。たとえば、地域の子供たちの教育や市民の健康を守る保健所の仕事、地域経済の発展をサポートする産業振興部門などが挙げられるでしょう。

地方公務員の魅力は、その地方ならではの文化や環境を大切にしながら働けること。一つの地域に根差して働きたい方、自分の住む地域をより良くしたいという想いのある方におすすめです。

国際公務員

国際公務員とは、国際連合やWHOといった国際機関に所属している職員です。国際公務員は、国境を越えた課題に取り組むため、言語や文化の違いを乗り越えた国際的な視野での勤務が求められます。また、平和維持活動や開発援助など、世界のさまざまな場所で人々の生活を支える極めて重要な仕事を担っているのが特徴です。

国際公務員になるには、関連分野での専門知識や外国語を話すスキルが必要になるでしょう。世界を舞台に活動したい方や、多文化共生の重要性を理解している方などに向いているといえます。

大学中退者が公務員に就職・転職するメリット

大学中退者が公務員に就職・転職するメリットには、倒産やリストラの心配がないことや、社会的信用度の高さなどが挙げられます。それぞれ詳しく見てみましょう。

倒産やリストラの心配がない

公務員は国や自治体が直接雇用しているため、民間企業のように倒産やリストラの心配がないのは大きなメリットです。万が一経済状況が不安定になったとしても、国家や自治体の業務はなくならないので、基本的に雇用に関して不安を抱える必要がありません。

社会的信用度が高くなる

公務員という職業は、一般的に社会的信用度が高いといわれています。国や地域のための仕事に携わっているという点が、高く評価されるようです。

たとえば、家族や知人に「公務員になった」と言うと、一定の安心感や信頼感をもってもらえることも多いでしょう。このような社会的信用度の高さは、家を借りるときやローンの申し込みの際にもプラスに働くことがあります。

福利厚生が豊富

公務員の福利厚生は、豊富で充実していることが多いのもメリットといえます。民間企業にも福利厚生はありますが、公務員の場合は各種手当や休暇制度が民間企業よりもしっかり整えられていることが多いようです。

たとえば、専用の宿泊施設を無料または格安で利用できたり、勤務地によっては住宅の手当が支給されたりする場合もあります。生活面を支える手厚いバックアップがあることで、心身ともに安心して長く働くことができるでしょう。

公務員のほかにも安定した仕事を視野に入れたい方は、「安定した職業に就きたい!その見分け方とおすすめの職種を紹介」のコラムで情報を確認してください。

大学中退者が公務員に就職・転職するデメリット

「公務員=安定した職業」というイメージが強いですが、大学中退者が公務員を目指す場合、考えておくべきデメリットがいくつかあります。ここでは、大学中退者が公務員を目指す際のポイントをいくつかご紹介するので、公務員になる道への理解を深めましょう。

転勤が多い職場に配属されることがある

公務員のなかでも特に国家公務員の場合、全国各地に転勤の辞令が出る可能性があります。家庭をもっている方は、配偶者の仕事や子どもの学校などの調整が必要になるかもしれません。

転勤が多いという点は、仕事だけでなく私生活にも大きな影響を及ぼします。自分のライフスタイルや将来の計画を熟考し、転勤の可能性がある職に応募するかどうか決めましょう。

試験の難易度が高く合格までに時間がかかりやすい

公務員試験は一般的に難易度が高いとされており、試験勉強には時間と労力がかかることが予想されます。特に大学中退者が受験するにあたっては、大卒者の多くが知っている知識を独学でカバーしなければならない場合もあるでしょう。

成果や実績による給与アップのチャンスが少ない

公務員の給与体系は民間企業とは異なり、成果や実績による給与アップのチャンスが少ないのが実情です。

公務員の場合は年功序列の側面が強く、「成果が給与に反映されない」と感じる方もいるでしょう。民間企業のように成果に基づいて昇給や昇格が行われる機会が少ないため、自分の実力を給与で評価されたいと考えている方には、物足りなさを感じるかもしれません。

公務員への転職がおすすめな大学中退者は?

現在民間企業で働いている大学中退者の方のなかには、「今からでも公務員に転職したい」と考える方もいるでしょう。しかし、公務員への適性があるかは、本人の性格や考え方によって異なります。ここでは公務員への転職がおすすめな大学中退者についてご紹介するので、公務員への転職に興味のある方は参考にしてみてください。

決まった勤務時間や休日で働きたい

決まった勤務時間や休日で働きたい大学中退者の方は、公務員への適性があるかもしれません。公務員の仕事は毎日決まった時間に行われており、残業も少ない傾向にあります。また、公的機関で働くため、休日も法律に基づいたカレンダー通りにきちんと取得できることが多いようです。

定時で上がれる日が多いため、プライベートの時間を確保しやすいのも魅力の一つ。規則正しいライフスタイルを送りたい方には、希望条件が公務員の働き方と合致するでしょう。

公務員になりたい志望動機が明確である

公務員になりたい志望動機が明確な大学中退者も、民間企業から公務員に転職するのにおすすめの人材であるといえます。公務員への転職を考えるのであれば、まずは自分の志望動機をはっきりさせることが重要です。

公務員の志望動機には、「地域社会へ貢献したい」「安定した仕事に就きたい」「専門的な知識を活かして働きたい」など、さまざまな理由があるでしょう。自分の価値観や将来のビジョンが公務員という仕事と合致している場合、転職活動にも情熱が生まれ、より良い結果につながりやすくなります。

志望動機書の書き方やコツは?第二新卒や未経験から転職する際の例文も紹介」では、志望動機の書き方のコツをまとめています。

社会的信用度の高い仕事に就きたい

社会的信用度の高い仕事に就きたいと考える大学中退者も、公務員に向いている可能性があります。「大学中退者が公務員に就職・転職するメリット」でも触れましたが、公務員は職務の重要性や責任の大きさから、社会的な信用度が高いとされる職業です。

国や地方自治体という大きな組織の一員として働き、社会的な信頼を大切にする方にとって、公務員という職はフィットするかもしれません。

大学中退者が公務員試験に合格するコツ

公務員試験は決して簡単なものではありませんが、しっかり対策すれば合格の可能性は大きく上がるでしょう。ここでは、公務員になりたい大学中退者に向けて、公務員試験に合格するコツをご紹介します。

筆記試験の勉強を行う

公務員試験に合格するためには、筆記試験の勉強を根気よく行うことが大切です。公務員試験では、一般知識や専門知識など、多様な分野の問題が出題されます。ただ問題を暗記するだけでなく、理解を深めて自分の知識として吸収するのがポイントになるでしょう。

人事院のWebサイトでは、試験の過去問題も公開されていま。活用しながら効率的な勉強計画を立てましょう。

参照元
人事院
2023年度試験問題 院卒・大卒程度

面接で聞かれやすい質問の対策を行う

公務員試験も民間企業への転職と同様に面接があるため、面接で聞かれやすい質問の対策を行っておくことも必須です。大学中退者が公務員試験の面接を受けるときは、大学を中退した理由や公務員になりたい理由について聞かれる可能性が高いでしょう。

大学中退の理由を質問された場合、後ろ向きな理由であっても前向きに捉えられる内容に言い換える工夫が必要です。たとえば「さらに自分に合った学びを求めて」「本当にやりたいことが大学に通いながらでは叶えられなかったため」というように、中退が新たなスタートの一歩であることを示せると良いでしょう。

詳しくは、「大学中退理由は面接でどう答える?履歴書の書き方は?例文つきでご紹介!」のコラムを参考にしてください。

公務員になりたい理由を質問された場合、大切なのは公的な仕事に対する熱意が感じられる答え方をすることです。「地域社会の発展に貢献したい」「国民の生活を支える仕事に携わりたい」といったポジティブな動機が評価されるでしょう。

公務員・民間企業に勤める大学中退者の給与

ここでは、公務員・民間企業に勤める大学中退者の給与をご紹介します。大学中退者の最終学歴は高卒になるので、高卒を対象にした給与のデータをそれぞれ比較してみましょう。

高卒の国家公務員の場合

人事院の「令和5年国家公務員給与等実態調査の結果(第 7 表  適用俸給表別、経験年数階層別、給与決定上の学歴別人員及び平均俸給額)」を見てみると、高卒者の平均俸給額は33万6,800円でした。国家公務員の給与は、基本給が年齢や勤務年数によって定められており、大学を中退している高卒者も安定した収入を得ることが可能です。手当や昇給、退職金も合わせて考えると、長期的に見ても魅力的な収入を確保できるでしょう。

参照元
人事院
令和5年国家公務員給与等実態調査の結果

高卒の地方公務員の場合

総務省の「令和4年地方公務員給与の実態(第6表 職種別,経験年数別,学歴別職員数及び平均給料月額)」を見てみると、高卒者の地方公務員(一般行政職)の平均給料は、 32万1,346円でした。

地方公務員の給与体系は国家公務員と同様に、基本給が年齢や勤続年数によって定められるのが一般的です。長く働くことで徐々に昇給していき、福利厚生もしっかりしていることから、安定して働き続けられるでしょう。

参照元
総務省
令和4年地方公務員給与の実態

民間企業に勤める高卒者の場合

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況(学歴別)」を見てみると、民間企業に勤める高卒者の平均賃金は28万1,900円でした。

民間企業に勤める大学中退者の場合、企業の規模や仕事内容、勤続年数、地域などによって、給与には開きがあります。平均賃金を大きく上回る収入を得ている方もいれば、平均より安い賃金で働いている方もいるでしょう。

公務員の給与体系は年功序列が一般的ですが、民間企業に勤める場合、経験やスキル、実績を積むことで、若いうちから年収を伸ばすことも可能です。努力が収入に直結しやすいのが、民間企業で働く大きな特徴といえるでしょう。

参照元
厚生労働省
令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況

最終的な判断はどうする?大学中退者の進路の決め方

大学生活を一度断念している大学中退者は、公務員のキャリアプランや漠然とした進路への不安で思い悩むこともあるでしょう。ここでは、大学中退者が公務員になるか迷ったときの進路の決め方の例をご紹介します。転職の選択に迷いがある方は、ぜひご一読ください。

公務員のメリット・デメリットを比べて決める

公務員への転職を迷ったときは、公務員のメリット・デメリットを比べて決めてみるのがおすすめです。

公務員と聞くと、安定した職業というイメージが強いかもしれませんが、どのような職業にもメリットとデメリットは存在します。たとえば、公務員として働くメリットには、倒産のリスクがなく定年まで安定して働ける点が挙げられます。リストラの心配が少ないことや、福利厚生が充実しているという面も大きな魅力です。

その反面、国家公務員の場合は転勤が多いことや、仕事の成果が直接給与アップに結びつきにくいことなどがデメリット。昇進昇格のチャンスも民間企業に比べると少なめです。

これらを比較し、自身の価値観や将来のビジョンに合った選択をすることが、公務員への進路選びにおけるポイントとなるでしょう。

ライフスタイルや理想の将来像を考慮して決める

自分のライフスタイルや理想の将来像を考慮することで、本当に今公務員になるべきか冷静な判断がしやすくなります。人はそれぞれ、夢や理想のライフスタイルがあるでしょう。たとえば、自分が規則正しい生活を送りたいと考えるなら、決まった時間に働ける公務員が向いているかもしれません。

一方で、結果を出してそれに応じた報酬をもらいたい、スキルアップやキャリアアップへの期待をもっているという方は、成果に応じたやりがいを感じられる民間企業のほうが、働き甲斐があると感じやすいでしょう。

大学中退後の進路に迷っている方はハタラクティブに相談してみませんか?ハタラクティブはスキルや経験に自信がない若年層の方々をサポートする就職エージェントです。

マンツーマンでカウンセリングを行うので、「大学中退後の就職が不安…」「公務員か民間企業か迷っている」といった個人的な悩みも相談しやすいでしょう。もちろん、大学中退理由の説明や志望動機の答え方なども、プロのキャリアアドバイザーと一緒に考えられます。サービスはすべて無料なので、安心してご相談ください。

公務員に興味のある大学中退者によくある質問

公務員に興味のある大学中退者によくある質問にお答えしていきます。

23歳で大学中退してから公務員になれる?

大学中退後であっても、公務員になる道は開かれています。公務員試験は基本的に、学歴ではなく能力を見る試験です。

特に地方公務員や一部の国家公務員試験では、高卒程度(中級)の試験で受験可能な職種も多くあります。ただし、大卒程度(上級)の職種を希望する場合は、試験によっては学歴が求められることがあるので、事前に詳細をよく調べておく必要があります。

公務員に内定後に大学中退したらどうなる?

公務員に内定後に大学中退した場合、受けた職種の採用要件にもよりますが、多くの公務員職では内定取り消しになる可能性は低いでしょう。しかし、確実な情報を得るためにも自己判断は危険です。大学中退後の内定の扱いについて、具体的な事例や公務員試験の規定を、職場や試験官庁に確認することが大切といえます。

大学中退後に公務員の専門学校に通うのはアリ?

公務員を目指す決意が固まっている方であれば、公務員の専門学校に通うという選択肢はアリです。

公務員の専門学校では、公務員試験に特化した授業を受けられるので、独学よりも試験勉強が効率的になる可能性があります。ただし、専門学校に通うには時間もお金もかかるため、自分の経済状況をよく考えて決めなければならないでしょう。

後藤祐介

監修者:後藤祐介

京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。
ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。

資格 : 国家資格キャリアコンサルタント国家資格中小企業診断士
メディア掲載実績 : 「働く」をmustではなくwantに。建設業界の担い手を育て、未来を共創するパートナー対談定時制高校で就活講演 高卒者の職場定着率向上へ【イベント開催レポート】ワークリア障がい者雇用セミナーSNS : LinkedIn®YouTube