この記事のまとめ
- 大学院を中退すると、新卒と比較して選択肢は減るが就職は可能
- 「社会人経験を早く積める」「時間や学費を別のことに使える」などが、大学院中退のメリット
- 大学院を中退すると、応募できる企業に制限がかかるといった就職へのデメリットがある
- 大学中退者の就職活動では、「中退理由」「キャリアプラン」などがよく質問される
- 大学院中退後の就職を成功させるには、空白期間を短くすることが大切
大学院の中退を考えていても、「将来が不安…」「就職にどのような影響があるの?」と心配ごとが重なり、なかなか踏み切れないですよね。
大学院を中退した場合も、既卒者として就職することは可能です。ただし、新卒者と比べて応募できる求人数が減ったり、研究職に就きにくかったりといったデメリットもあります。大学院の中退が就職に及ぼす影響を理解し、辞める前に次のステップについて考えておくことが大切です。
このコラムでは、キャリアアドバイザーの板垣さんのアドバイスを交えつつ、大学院を中退するメリット・デメリットや就職を成功させるポイントについて紹介します。大学院を中退して就職を考えている方は、ぜひご一読ください。
大学院を中退すると就職できない?
大学院の中退を考えている人は「就職できなくなるのでは?」と不安になりますよね。ですが、中退すると就職できないというわけではありません。若い人材は需要が高いため、大学院を中退していても採用したいと思う企業もあるでしょう。
大学生の就職率は98%
厚生労働省の「令和7年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)を公表します」によると、大学卒業生の就職率は98.0%でした。多くの企業が新卒採用に力を入れており、学生にとって就職チャンスが豊富に存在しているといえるでしょう。
参照元
厚生労働省
令和7年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)を公表します
大学中退・大学院中退の就職率は33.9%
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「大学等中退者の就労と意識に関する研究」に掲載されている2012年の調査結果によると、大学・大学院の中退者の就職率は33.9%と、卒業者と比較して大きく下がっていることが分かります。
中退者は「既卒」という枠組みで扱われ、新卒採用の仕組みに乗りにくいことが原因の一つといえるでしょう。また、「学業を最後までやり遂げる忍耐力がない」と企業から判断される可能性も。ただし、中退理由や自己PRの仕方によっては、この印象を覆すことが可能な場合もあります。
参照元
独立行政法人 労働政策研究・研修機構
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新卒と比較すると選択肢は少ないが就職できる
大学院を中退した場合、新卒と比較すると就職先の選択肢が制限されることは事実です。しかし、「就職できない」ということはありません。大学院での研究や経験、もっているスキルを評価する企業も存在するので、自分の熱意が伝われば採用される可能性は十分にあります。
大学院の中退者はどのくらいの割合?
大学院中退を選択する人が実際にどれくらいいるのか、気になる方もいるでしょう。ここでは、大学院を中退した人の割合と、主な理由を紹介します。
大学院を中退する人の割合
文部科学省の「令和5年度学生の中途退学者・休学者数の調査結果について」によると、令和5年度の大学院における中途退学者数の割合は、修士課程・専門職学位課程が2.60%、博士課程が3.49%でした。大学・短期大学の中退者が2.10%であるのに対して、やや高い数値であることが分かります。
参照元
文部科学省
学生支援
大学院を中退する主な理由
大学院中退を選択する理由は人によって異なりますが、具体的には以下の理由が挙げられます。
- ・研究自体に興味/関心がなくなった
- ・就職や起業がしたい
- ・経済的に在籍が難しくなった
研究そのものへの情熱を失ったり、社会に出て早く経験を積みたいと考えたりするケースは少なくありません。また、学費や生活費の負担が原因で、研究を続けることが難しくなることもあるでしょう。
これらに加え、研究生活によるストレスで心身のバランスを崩し、健康を最優先して中退を決意する人もいます。一人で悩まず、自分の気持ちと向き合うことが大切です。
大学院を中退するメリット
大学院の中退は、どうしてもネガティブに捉えてしまいがちですよね。しかし、「社会人経験を早めに積める」「時間や学費を別のことに使える」など、あなたにとってメリットと感じることもあります。以下で詳しくまとめたので、考え方を変えるきっかけにしてみてくださいね。
卒業するより社会人経験を早めに積める
大学院を中退すると、卒業するより早く社会人としての経験を積めます。新たな環境で社会人経験を積むことで、大学院での研究では身につけられないビジネスマナーや、チームで仕事を成し遂げる協調性などを身につけられるでしょう。
そのため、大学院を卒業した人と比べると、自分のキャリアやスキルを形成しやすいといえます。
大学院での時間や学費を別のことに使える
大学院を中退すると、時間や学費を有意義に使うことができるのもメリットの一つです。
大学院は一般的に、卒業まで最短で2年、最長で4年かかります。大学院を中退すると、これからかかるはずだった学費や時間を、自分の成長やキャリア、可能性に投資することができるでしょう。
研究分野以外の企業も視野に入れて就活できる
就職先の選択肢が広がることも、大学院を中退するメリットの一つです。自分が専門としている研究分野だけでなく、広範囲の分野から就職先を選ぶことが可能になります。企業側にも、志望動機として「大学院を中退してまで新しい分野に挑戦したい」という気持ちを伝えれば、熱意や意欲のアピールにもなるでしょう。
ハタラクティブ プラス在籍アドバイザーからのアドバイス

板垣拓実
大学院を中退した場合、その経験をどのように伝え、アピールするかが就職を成功させる鍵となります。
中退理由は、否定的な印象を与えず前向きな気持ちを伝えることがポイント。もちろん嘘の理由を伝えてはいけません。たとえば「研究を続けるのが心身ともに辛かった」ではなく、「心身の状況を考えて冷静に判断した」と伝えると、困難な状況でも冷静な判断力があるとアピールできますよね。
わたしたちハタラクティブは、これまでの経験からあなたの強みを見つけて、活かせる企業を紹介したり伝え方を一緒に考えたりするお手伝いをしています。
大学院を中退するデメリット
大学院の中退には、応募できる企業が限られたり学校からの推薦を受けられなかったりするなど、就職に影響を及ぼすデメリットもいくつかあります。大学院中退を考えている方は、以下のデメリットを知っておきましょう。
新卒より応募できる求人が制限される
大学院中退者は、新卒者よりも応募できる求人が制限される可能性があります。企業の多くは新卒採用を一斉に開始するので、募集人数や求人数が多く、新卒者の選択肢は広いといえるでしょう。一方で大学院中退者は、中途採用の枠で応募することになります。転職者がライバルとなる場合もあるため、ハードルが高くなりやすいと考えられるでしょう。
既卒3年以内なら新卒枠に応募できることも
厚生労働省の「卒業後3年以内の既卒者は、『新卒枠』での応募受付を!」によると、「青少年の雇用の促進等に関する法律」に基づき、大学院中退後も3年以内であれば新卒枠として応募できるようになりました。実際に、7割程度の企業が既卒者を新卒採用の対象に含めていることが分かります。
この制度を活用すれば、就職活動の選択肢が広がり、中退によるデメリットを最小限に抑えられるでしょう。ただし、企業によって方針が異なるため、応募条件をしっかり確認することが大切です。
参照元
厚生労働省
青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)について
大学院修了者と比較して給料が下がる場合がある
大学院を卒業した人と大学を卒業した人とでは、一部の業界や職種では給与水準が異なることがあります。これは、企業が学歴を一つの給与決定指標として使用しているからです。
大学院を中退してしまった場合は最終学歴が大学卒となるため、大学院卒業者と比較して給与が下がる可能性があります。
「正社員の給料を分類別に紹介!病欠時の給与計算や前払いの可否も解説」のコラムでは学歴別の平均賃金を紹介しているので、あわせてご覧ください。
学校推薦や教授推薦を受けられない
大学院を中退すると、もちろん学校からの推薦や教授からの紹介は受けられなくなります。
大学からの推薦は、学生の能力を認めている証拠となるので、多くの企業にとって信用の一因です。民間企業ではなく研究職に就きたいと考えている人にとって、デメリットが大きいといえるでしょう。
大学院中退者に特化した就職成功までの流れ
大学院を中退して就職活動をする場合、一般的な就活とは少し異なるアプローチが必要です。計画的に進めることで、中退を強みに変えることも可能です。以下の流れに沿って就職活動を進めましょう。
大学院中退者に特化した就職成功までの流れ
- 自己分析で就活の軸を明確にする
- 応募する求人を絞り込む
- 応募書類(履歴書・職務経歴書)を作成する
- 想定質問に対して面接対策をする
自己分析で就活の軸を明確にする
大学院中退者の就職活動を成功させるには、まず徹底した自己分析で就活の軸を明確にすることが重要です。自己分析で自分の強みを把握することで、専門知識を活かしつつ強みを活かせる職種に絞って就職活動を進めることができます。
また、大学院中退という経歴の場合、大学で専攻していた専門分野で、大学院卒の学歴が必須ではない職種(営業職や総合職など)を目指すのがおすすめです。たとえば、化学専攻だったなら、化学メーカーの営業職や総合職を視野に入れてみましょう。自分の専門分野を活かしつつ、「営業職」「エンジニア」「経理・労務」など、どの職種を目指すかを自己分析で判断することで、就職活動の軸を確立できます。
応募する求人を絞り込む
自己分析で就活の軸が定まったら、その軸に沿って応募する求人を絞り込むことも大切です。むやみに多くの企業へ応募するのではなく、内定を獲得できる可能性が高い企業に絞ることで、効率的に就職活動を進められるでしょう。
大学院中退者は応募できる求人の種類や数に制限があるため、効率的な求人選びが重要となります。たとえば、「第二新卒歓迎」や「既卒可」と明記されている求人を中心に探すのがおすすめです。業界研究をしっかり行い、自分の強みを活かせる企業を5〜10社程度に絞ることで就職活動の成功率は高まるでしょう。
応募書類(履歴書・職務経歴書)を作成する
書類作成では、大学院での経験を前向きにアピールすることがポイントです。履歴書の学歴欄には中退理由の詳細を書く必要はなく、「○○大学大学院○○研究科 中途退学(経済的事情により退学)」と記載します。職務経歴書では研究内容や獲得したスキルを、企業が求める人材像に合わせて表現しましょう。
また、アルバイトやインターンシップなどの経験も積極的に盛り込むことで、社会人としての基礎能力もアピールできます。
退職理由の履歴書への書き方は「大学退学理由の履歴書への書き方は?面接でどう答える?例文つきでご紹介!」のコラムで詳しく解説しているので、あわせてご覧くださいね。
想定質問に対して面接対策をする
面接では中退理由について質問されるため、事前に答えを準備しておきましょう。面接官は、大学院中退者に対して「入社後の早期離職」や「組織への適応力」を懸念しています。そのため、中退理由や志望動機を通じて、物事への向き合い方や自己分析の深さを確認する傾向があるでしょう。
面接では、ネガティブな理由ではなく「将来やりたいことを見つけた」といった前向きな言葉で、あなたの成長意欲と熱意を伝え、面接官の懸念を払拭することが重要です。
大学中退者の面接でよくある質問3選
大学院中退者の面接では、中退に関する質問が出てきます。以下の3つの質問は特に頻出なので、事前に回答を準備しておくと安心ですよ。
1.大学院で学んだこと
この質問では、研究内容をただ説明するのではなく、ビジネスで活かせるスキルや考え方に言及することが重要です。たとえば「統計学を用いたデータ分析を通して、複雑な問題を数値化して解決する方法を学びました」のように、企業でも役立つ能力を強調しましょう。
また専門的な内容を分かりやすく説明する能力も求められているので、専門用語を避けて簡潔に伝える練習も必要です。面接官の表情を見ながら、理解度に合わせて説明の深さを調整できると好印象を与えられるでしょう。
2.中退理由
中退理由を聞かれたときは、正直に答えながらも前向きな姿勢を示すことが大切です。「研究に興味がもてなくなった」「人間関係が合わなかった」など、ネガティブな理由をそのまま伝えるのは避けましょう。「大学院での学びは貴重でしたが、貴社の事業分野に強い関心をもち、早く実践の場で貢献したいと考えました」のように、志望動機に繋げる回答が効果的といえます。
また、中退という決断に至るまでしっかり考えたことや、安易な判断ではなかったことを伝えられると、慎重な性格もアピールできるでしょう。
中退理由を伝える際はポジティブに
中退理由を伝える際は、ポジティブな表現にすることが大切です。たとえば「挫折した」ではなく「新たな挑戦に踏み出した」、「限界を感じた」ではなく「自分の可能性を広げたいと考えた」など、前向きな表現に変換しましょう。回答が長くなり過ぎないよう、簡潔に要点を絞って伝えることも大切です。
3.これからのキャリアプラン
この質問では、大学院中退という選択が、自分のキャリアプランの中で意味のあるものだったことを示す必要があります。「御社で□□の知識・経験を積んだ後、将来的には△△の専門家として貢献していきたい」といった、具体的なキャリアビジョンを描きましょう。
短期的な目標と長期的なビジョンの両方を示すことで、計画性と意欲を同時にアピールできます。中退したことで諦めたのではなく、より自分に合った道を選んだと自信をもって答えることが重要ですよ。
キャリアプランの立て方や回答例は、「面接でのキャリアプランの答え方は?例文や思いつかない際の対処法もご紹介」のコラムで紹介しているので、参考にしてみてください。
大学院中退後に就職を成功させる4つのポイント
大学院の中退が就職に影響すると知ったら、辛い状況でも一歩踏み出すには勇気がいりますよね。しかし、大学院中退後の就活を成功させるポイントを押さえていれば、希望の仕事へ就ける可能性は高まります。以下を参考にして、意欲的に未来を切り開いていきましょう。
大学院中退後に就職を成功させるポイント
- 大学院中退後の空白期間は短めが望ましい
- 大学院での経験を活かした自己PRを作成する
- 幅広い業種・職種を視野に入れて考える
- 転職エージェントを活用してみる
1.大学院中退後の空白期間は短めが望ましい
就職を成功させるには、大学院を中退した後の空白期間を短くすることがポイントです。選考時は、企業側から「空白期間に何をしていたのか」「なぜ期間が空いているのか」などと聞かれる可能性があります。
やむを得ない理由もなく空白期間が長いと、採用してもすぐに辞めてしまうのではないかといったマイナスなイメージを与えてしまうことも。空白期間が長くなるようであれば、短期間のアルバイトやインターンシップなどで経験とスキルを磨くのがおすすめです。
空白期間については「空白期間が面接官に与える印象は?答え方のポイントや履歴書の記載例を紹介」のコラムで解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
2.大学院での経験を活かした自己PRを作成する
大学院での経験は就職活動において強力な武器となります。研究テーマから得た専門知識や分析力、問題解決能力などを具体的なエピソードとともに伝えることが重要です。たとえば「△△の研究を通じて統計分析のスキルを身につけました」など、具体的な成果を示すと説得力が増すでしょう。
企業が求める人材像に合わせて、大学院で身につけたスキルをビジネスシーンに置き換えて表現することが重要です。
3.幅広い業種・職種を視野に入れて考える
大学院を中退していたことをネガティブに捉え過ぎず、幅広い業界や職種を視野に入れることも、就職活動を成功させるコツです。研究分野と関係のない業界や職種も含めて就職活動を行うことで、採用のチャンスが広がるでしょう。
また、これまで大学院で学んだことが、専門領域以外の業界や職種で役立つ場合もあります。自分の知識や技術を活用できる仕事に出会うためにも、広い視野をもって仕事を探してみましょう。
「職種がわからない人へ種類を一覧で紹介!就職活動や転職活動の進め方も解説」のコラムでは職種について解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
4.就職・転職エージェントを活用してみる
「大学を中退後、就職を成功させる自信がない…」「1人での就職活動が不安」といった人は、就職・転職エージェントを活用してみるのもおすすめです。就職・転職エージェントは、希望や適性に合わせた求人紹介や選考対策など、就職活動全体をサポートしているのが特徴。大学院の中退経験をもつ人が、最適な仕事を見つけるためのサポートをしています。
まとめ
大学院を中退しても就職は十分可能です。中退をネガティブに捉えるのではなく、「より実践的な環境で成長したい」といった前向きな理由として伝えましょう。
就職成功の鍵は、大学院で培った専門知識やスキルを活かし、早期に行動することです。徹底した自己分析で自身の強みと企業ニーズを結びつけ、就職・転職エージェントなども活用して幅広く求人を探しましょう。中退は人生の選択肢の一つであり、その後のキャリアは自身の積極的な行動で切り開けます。
大学院中退者で就職・転職エージェントの活用を考えている人には、ハタラクティブがおすすめです。ハタラクティブは、20代を中心とする若者に向けた就職・転職エージェント。専任のキャリアアドバイザーが希望条件を丁寧に聞き取り、あなたにぴったりの求人をご紹介します。
ほかにも、面接対策や書類添削などを実施しているので、自信をもって就職活動ができるのもポイントです。サービスはすべて無料で利用できるので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいね。
大学院の中退に関するFAQ
ここでは、大学院を中退した人が抱えているお悩みに、Q&A形式でお答えします。
大学院を中退して就職する場合は、新卒扱いになる?
大学院を中退した場合、基本的には新卒扱いにはなりません。最終学歴は「大学卒」となり、多くの企業では「既卒」として扱われます。一方で、大学卒業後3年以内の既卒者は、新卒枠で応募できる企業もあります。応募を検討している企業の募集要項をよく確認し、新卒枠での応募が可能か調べてみましょう。
大学院の中退はやめとけといわれるのはなぜ?
就職に影響を与える可能性があるからです。大学院を中退すると最終学歴は大学卒となり、応募する求人の多くは中途採用枠となります。経験者がライバルとなることもあり、採用のハードルは高くなるでしょう。
また、大学や教授の推薦が受けられないため、一般企業ではなく研究職を目指す人にとってはデメリットが大きいといえます。
大学院を中退した人は公務員になれる?
大学院を中退していても、公務員になることは可能です。公務員試験の基本的な応募資格は「大卒」なので、大学を卒業していれば問題ありません。ただし、公務員試験には年齢制限があるので、早めに目指すことをおすすめします。
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