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フリーターの手取りはどれくらい?計算方法や正社員の収入との違いを解説
この記事のまとめ
- フリーターの手取り額の平均は、約16~18万円
- フリーターの手取りは総支給額の75~85%で、税金や社会保険料が引かれている
- フリーターより正社員の方が手取り額が大きく、昇給の機会も得やすい
- フリーターが手取りを増やすには高時給のアルバイトや正社員への転職が有効
「フリーターの手取りってどれくらい?」「正社員とどれくらい違うの?」など、気になる方もいますよね。フリーターとして働いた場合でも税金は引かれ、働き方によっては社会保険に加入する必要もあります。手取り額は働いた時間や勤務先によって変わりますが、正社員より低い傾向があるようです。フリーターとしての生活に不安がある方は、就職することも視野に入れておく必要があるでしょう。
このコラムではキャリアアドバイザーの太田さんのアドバイスを交えながら、フリーターの手取り額や計算方法について解説します。さらに、フリーターが手取り額を上げるための方法についてもまとめたので、参考にしながら自分に合った働き方を考えてみてください。
この記事にコメントしているアドバイザー
フリーターの平均月収と手取りの計算方法
フリーターの月収や手取り額について気になる方は多いですよね。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査 雇用形態別」によると、正社員以外の平均月収は22万1,300円でした。ここでは、このデータを参考にしながらフリーターの手取り額について確認していきましょう。
フリーターの手取り額を計算する方法
手取り額とは、総支給額(月収)から税金や社会保険料を差し引いた後の金額です。一般的には、総支給額の75~85%が手取り額の目安とされています。先述したデータを基に計算した結果が、以下のとおりです。
- ・75%で計算した場合 22万1,300円×0.75=16万5,975円
- ・85%で計算した場合 22万1,300円×0.85=18万8,105円
よって、正社員以外の働き方をしている人の手取り額の平均は約16~18万円となります。ただし、手取り額は勤務条件や勤めている会社によって変わるため、正確な金額は給与明細を参考にしながら計算してみてください。
参照元
厚生労働省
令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況
フリーターの手取りに影響する税金の種類と計算方法
フリーターに課せられる税金には、所得税と住民税の2つがあります。また、勤務状況によっては社会保険への加入が求められることも。その場合は、税金とあわせて社会保険料が引かれた金額が手取りとなります。
税金や社会保険料の負担を考えると、生活していけるのか不安になる方もいますよね。ここでは、フリーターが負担する税金の種類や計算方法について解説するので、手取り額を計算する際や給与明細を確認する際の参考にしてみてください。
所得税
所得税は年間所得に対して課される税金で、所得額に応じた税率が適用されるため、税額は人それぞれです。所得とは収入から必要経費を引いた額で、そこに「給与所得控除」が適用されます。
給与所得控除は基本控除が48万円、給与所得者控除が55万円なので、合計103万円分の収入に対しては所得税がかかりません。よって、年収が103万円以下の方は所得税は必要ないです。
年収が104万円以上の場合は、年収から103万円を引いた額に対して税率5%がかかります。計算式は以下のとおりです。
- 【計算式】年収105万円の場合 105万円-103万円=2万円 2万円×0.05(税率5%)=1,000円
上記のように、年収105万円の方が年間で支払う所得税は1,000円ですが、年収が増えるほど税金額は増えていきます。
住民税
住民税は、都道府県税と市区町村税で構成され、前年の所得を基に計算されます。住民税には所得に応じた「所得割」と一定額の「均等割」があります。総務省の「均等割と所得割」によると、所得割は所得の10%で均等割は5,000円です。よって、住民税の計算は以下のようになります。
- 【計算式】住民税=年間所得×0.1+5,000円
これは前年の所得で計算されるため、現在の収入が低くても住民税が高くなる場合があるでしょう。また、年収額によっては住民税を免除している自治体もあるようです。
フリーターも社会保険に加入する場合がある
社会保険とは、健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の総称です。フリーターの場合も、一定の条件を満たす場合は社会保険への加入が義務付けられています。日本年金機構の「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内」によると、加入条件は以下のとおりです。
・アルバイト先の従業員が101人以上(2024年10月以降は51人以上)
・1週間の労働時間が20時間以上
・1カ月の収入が8万8,000円以上
・2カ月を超えて雇用される見込みがある
・学生ではない
上記をすべて満たしている必要があります。社会保険料は給与から控除されるため、手取り額は減りますが、納める保険料は企業と折半される仕組みです。よって、将来もらえる年金額が増えたり、失業給付金が受け取れたりするなど、加入するメリットは大きいでしょう
参照元
日本年金機構
短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内
参照元
総務省
やさしい地方税
【労働時間別】フリーターの手取り額
フリーターの手取り額は、労働時間や賃金によって異なります。あなたが想定している労働時間で、どれくらいの手取り額となるか気になりますよね。
ここでは、厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」を参考に、全国加重平均額である1,004円を時給として、フリーターの手取り額を労働時間別でまとめました。参考にしながら自分に合った働き方を考えてみましょう。
1日8時間×週5日(週40時間)働いた場合
1日8時間の勤務を週5日(合計40時間)続けて時給1,004円の場合、月収は「時給1,004円×40時間×4週=16万640円」と計算されます。これは、1ヶ月を4週間として計算した場合の数値です。手取り額は、総支給額の75~85%が相場とされているため、「16万640円×0.75=12万480円」あるいは「16万640円×0.85=13万6,544円」が実際に手にする給与となります。
労働基準法によれば、労働者の「法定労働時間」は1日最大8時間、週に最大40時間とされています。また、勤務時間が6~8時間の場合、雇用主は少なくとも45分の休憩を提供する必要があります。休憩時間は分割しても構いませんが、合計で45分以上の休憩が必要です。勤務する際は注意しておきましょう。
1日5時間×週5日(週25時間)働いた場合
1日5時間の勤務を週5日(週25時間)続けた場合の月収は、「時給1,004円×25時間×4週=10万400円」となります。ここから手取り額を計算すると、「10万400円×0.75=7万5,300円」あるいは「10万400円×0.85=8万5,340円」です。
6時間未満の勤務では、法的に休憩を取る必要はありません。しかし、立ち仕事や体力を要する仕事では、休憩なしで5時間以上働くことが困難な場合もあります。
1日10時間×週5日(週50時間)働いた場合
1日10時間勤務を週5日(週50時間)行った場合、「時給1,004円×50時間×4週=20万800円」が月収です。法定労働時間(8時間)を超えた場合、時間外労働には少なくとも時給の25%にあたる割増賃金が適用されます。2時間の残業であれば、「1,004円×1.25×2=2,510円」です。その結果、月間の残業による追加収入は「2,510円×20日=5万200円」で、合計の想定月収は「20万800円+5万200円=25万1,000円」となります。
ここから手取り額を計算すると、「25万1,000×0.75=18万8,250円」あるいは「25万1,000×0.85=21万3,350円」です。
フリーターと正社員ではどちらの手取り額が大きい?
フリーターと正社員のどちらで働くか悩んでいるとき、「手取り額にどれくらいの差が生じるのか」は気になる点ですよね。以下では、フリーターと正社員の収入の違いについてまとめたので、参考にしてください。
フリーターと正社員の賃金の違い
一般的に、フリーターが正社員を上回る収入を得ることは難しいといえます。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査 雇用形態別」から平均的な月収を比較してみると、正社員は約32万8,000円に対してフリーターは約22万1,300円。これは月給ベースで約10万円、年間で約120万円の差が生じる結果となっています。
手取り額として計算しても、正社員は約24~27万に対してフリーターは約16~18万円です。働き方次第で高収入を目指すことも可能ですが、年齢を重ねていくにつれて難しくなるでしょう。
ハタラクティブ プラス在籍アドバイザーからのアドバイス
太田雅子
フリーターの正社員の収入を比較すると、正社員の方が高い傾向があります。その理由として、フリーターは昇給賞与の制度が不十分であることが挙げられるでしょう。
たとえば、手取り15万のフリーターと正社員で比較すると、1年目の収入は大きく変わりはないといえます。しかし、フリーターの場合は2年目以降も手取り15万円という金額は変わりませんが、正社員が昇給の機会を得て5,000円分月収が上がり、さらに2か月分の賞与が支給された場合、年収に約37万円の差が生じることもあるようです。
働き方も働く時間も変わりませんが、これだけ大きな差がついてしまうのが、フリーターと正社員の違いです。フリーターとして働くことに不安がある方は、わたしたちハタラクティブにご相談ください。あなたの希望や適性に合った求人を紹介し、フリーターから正社員へ就職するお手伝いをしています。
正社員よりフリーターの方が稼げる状況は限定される
「フリーターが稼げる」という状況は、短期間に限定された場合が多いです。正社員の平均月収をアルバイトの収入でカバーしようと考えた場合、およそ月300時間の労働が必要となります。これは、毎日10時間労働を1ヶ月間続けることで達成可能な金額です。このような労働を毎月続けることは、身体的にも非常に困難です。
対して正社員は、月に約10日の休日を取りつつ、約20日間の勤務で同じ金額を得られます。これらの点から、「フリーターがより多く稼げる」というのは、身体的に負担をかけて長時間労働が可能な特殊な状況に限られます。
実際には、無休で働き続けることは身体的に非現実的なので、結果的に正社員と同等、あるいはそれ以下の収入になることが多いといえるでしょう。
参照元
厚生労働省
令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況
フリーターの手取りで生活できる?
フリーターとして働くと、「手取り額で生活できるかどうか」を不安に感じる方は多いですよね。ここでは、独身者の生計を立てる上で必要な支出額を基に、フリーターが一人暮らしをする際のポイントや注意点をまとめました。
独身者の生活費は月に約15~16万円
総務省統計局の「家計調査」によれば、フリーターを含む独身者の家計の平均的な月間支出は16万1,753円です。「フリーターの平均月収と手取りの計算方法」で先述したとおり、フリーターの手取り額は約16~18万なので、一人暮らしは不可能ではありません。
しかし、医療費や家具・家電の修繕・購入、また突然の出費が生じた際、利用可能な資金が限られるため、食費や光熱費の節約が必要になることもあります。フリーターの一人暮らしについて詳しく知りたい方は、「フリーターで一人暮らしはきついって本当?かかる費用や役立つ節約術を解説」で、必要な費用や節約して生活する方法をまとめているので、あわせてご覧ください。
何らかの事情でシフトが減ると生活維持が困難に
フリーターの収入は時給ベースであるため、実際に労働しなければ収入は得られません。病気や怪我で働けなくなった場合、収入が減って生活を継続するのが難しくなる可能性があります。社会保険に入っていない場合は、傷病手当金も受け取れないので、貯金を切り崩しながら生活する必要もあるでしょう。
また、フリーターの多くは契約更新が必要な有期雇用であり、雇用の安定性が低いといえます。病気やケガが長期化し、勤務できない期間が続いてしまうと、契約を打ち切られる恐れも。フリーターで一人暮らしをする場合は、社会保険に入ったり十分な貯蓄をしたりして、万が一の状況に備えておくことが大切です。
フリーターは賃貸の入居審査で不利になることもある
フリーターは賃貸住宅を借りる際に、審査に通らない可能性もあります。賃貸を契約する場合、家賃の支払い能力や入居者としての適性が判断される「入居審査」を通過しなければなりません。フリーターであることが直接的に契約拒否の理由にはなりませんが、正社員に比べ雇用や収入が不安定であるため、審査が厳しくなりがちです。審査を通過し賃貸契約を結ぶためには、「収入に合った家賃の物件を選ぶ」「連帯保証人を立てる」などの対策が必要になります。
参照元
総務省統計局
家計調査 結果の解説
フリーターが手取り額を増やす4つの方法
フリーターが手取り額を増やす方法
- 勤務時間を増やす
- 高時給のアルバイトへ転職する
- 個人事業主としての活動する
- 正社員になる
「手取り額を増やしたい」と考えているフリーターの方は多いですよね。フリーターが手取り額を増やすためには、勤務時間を増やしたり、高時給のアルバイトや正社員へ転職したりする方法があります。以下で詳しくまとめたので、収入アップを目指しているフリーターの方は、参考にしながら自分に合った方法を見つけてみましょう。
勤務時間を増やす
フリーターが手取り額を増やすために最も直接的な方法は、「勤務時間を増やす」ことです。たとえば、1日5時間働いているなら、それを8時間に延長することで収入は自然と増加します。
しかし、勤め先が既に人手が十分にある場合は、希望通りにシフトを増やせないこともあるでしょう。そのような場合は、複数のアルバイトをかけもちし、収入源を複数持つこともおすすめです。かけもちすることで、一つの職場でシフトが減っても収入が安定しやすいでしょう。ただし、勤務時間が重ならないように調整する必要があります。
高時給のアルバイトへ転職する
時給が高いアルバイトに切り替えることも、フリーターが手取りを増やす方法の一つの方法です。高時給の仕事に転職することで、これまでと同じ勤務時間でも収入を増やせるでしょう。
高時給のアルバイトには家庭教師やコールセンター、夜間の仕事などがあります。専門知識が必要な場合や体力を要する仕事も多いため、「自分に合っているかどうか」をよく考えることが大切です。
個人事業主としての活動する
フリーターが手取りを増やす方法として、アルバイトや正社員ではなく、個人事業主として働くことも挙げられます。個人事業主になることで、労働時間の制約がなく、自分の実力や実績に応じた収入を得られるでしょう。
ただし、個人事業主として収入を得ることは決して容易なことではありません。やりたいことが明確にあり、困難な状況でも前向きに取り組める姿勢を持っていなければ、成功させることは難しいでしょう。
正社員になる
フリーターから脱却し、正社員として働くことも、手取りを増やすことにつながるでしょう。「フリーターと正社員ではどちらの手取り額が大きい?」で先述したとおり、フリーターより正社員の方が収入が大きく、昇給の機会も多い傾向があります。昇給するだけではなく、ボーナスが得られたりスキルに応じた手当が付いたりする可能性もあります。
特に、若いうちに正社員としてのキャリアをスタートさせることで、将来的により高い収入が得られるでしょう。若いうちに正社員を目指した方が良い理由や、就職しやすい求人の特徴については、「20歳フリーターは正社員就職したほうがいい?将来のためにできること3選」のコラムを参考にしてみてください。
「フリーターから正社員になりたい」「手取りを増やしたい」と考えている方は、就職・転職エージェントのハタラクティブにご相談ください。ハタラクティブは、20代を中心とした若年層を中心に支援を行っている就職・転職支援サービスです。就活アドバイザーによる無料カウンセリングや面接対策はもちろん、入社後のフォローアップまで、就職・転職活動を一貫して支援しています。求人情報に合わせてアドバイザーがサポートしますので、関心がある方は気軽に相談してみてください。
監修者:後藤祐介
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。
ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。
資格 : 国家資格キャリアコンサルタント・国家資格中小企業診断士
メディア掲載実績 : 「働く」をmustではなくwantに。建設業界の担い手を育て、未来を共創するパートナー対談・定時制高校で就活講演 高卒者の職場定着率向上へ・【イベント開催レポート】ワークリア障がい者雇用セミナーSNS : LinkedIn®・YouTube