人のためになる仕事とは？やりがいと満足度の高い職業一覧

「人のためになる仕事に就きたいけど、どのようなものがあるのか分からない」とお悩みの方もいるでしょう。「誰かの役に立てる仕事に就きたい」とは思っていても、どのような仕事があるのかが分からないと、就職・転職活動を進めるのはなかなか難しいですよね。

人のためになる仕事には、社会貢献になるものや人々の生活を支えるものなどがあります。やりがいが得られるぶん、心身の負担や大きな責任を伴う場面もあるため、メリット・デメリットを理解したうえで仕事を選ぶ必要があるでしょう。

このコラムでは、キャリアアドバイザーの中村さんのアドバイスを交えつつ、人のためになる仕事の定義と意義、おすすめの職種などをご紹介。自分に合った「人のためになる仕事」の見つけ方も解説するので、就職・転職活動の際の参考にしてみてください。

人のためになる仕事の定義と意義

特定の仕事に限らず、世の中にある仕事はそれぞれいろいろなかたちで社会や人のためになる仕事といえます。人のためになる仕事とは、「社会や個人の生活の質を向上させ、他者の幸福や成長に貢献する仕事」といえるでしょう。
このような仕事は、収入を得るだけでなく、社会に価値を提供し、人々の暮らしを豊かにする役割を担っています。

社会貢献度の高さが特徴

人のためになる仕事の特徴は、社会貢献度の高さです。人々の幸福や社会全体の発展に直接的に寄与する仕事は、働く人にとって自分の仕事が世の中に与える影響を実感しやすいというメリットがあるでしょう。

たとえば、教育の仕事は子どもたちの成長を支援し、医療の仕事は患者の健康を守ります。このように、他者の人生に影響を与えていることを実感できる仕事は、やりがいを感じやすく、働く人の満足度が高まることも。自分の仕事が世の中に必要とされている実感をもつことは、自己肯定感や自己実現にもつながるでしょう。

直接的・間接的に人々の生活を支える

人のためになる仕事は、直接的または間接的に人々の生活を支えています。インフラ系の電力・ガス・水道の供給、道路や鉄道の維持管理、通信ネットワークの構築・保守といった仕事が、安定して機能することで社会全体が円滑に回るからです。

たとえば、電力が途絶えれば医療機関や企業活動に支障が出るため、電力会社の仕事は人々の生活を根本から支えているといえます。同様に、道路や鉄道が整備されていなければ、物流が滞り生活必需品が届かなくなるため、これらのインフラを維持する仕事も社会に欠かせません。

また、研究者や技術者は、新しい技術や知識を生み出すことで間接的に社会全体の発展に貢献しているでしょう。たとえば、医療分野の研究者が新薬を開発することで患者の治療法を進展させたり、技術者が成果を基に製品やサービスを実用化し、効率的で安全な生活を実現したりすることが挙げられます。

人のためになるやりがいと満足度の高い仕事一覧

人のためになる仕事は、社会貢献と自己実現を両立できる選択肢です。日々やりがいを感じて働きたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。このコラムでは、人のためになる仕事の代表的な例をいくつかの分野に分けてご紹介します。

医療・福祉分野の仕事

医療・福祉分野は、人々の健康と個人・社会がポジティブな状態に直接的に貢献できる分野です。患者の方や利用者の方の笑顔や感謝の言葉は、大きなやりがいとなります。

医師

医師は、人々の命と健康を守る重要な職業です。病気やケガの診断、治療を通して、人々の生活の質の向上に貢献します。医師になるためには、医学部での6年間の学習と2年間の臨床研修、専門医資格の取得など、長期間の学習と研鑽が必要です。

参照：職業情報提供サイト（日本版O-NET）「内科医- 職業詳細」

たとえば、適切な治療によってがん患者さんが健康を取り戻し、家族と笑顔で日々を過ごせるようになったとき、医師として大きなやりがいを感じられるでしょう。

看護師

看護師は、医師と連携して患者さんの身体的・精神的なケアを提供。日常生活のサポートから医療処置の補助まで、幅広い業務を担当します。看護師になるためには、看護専門学校や大学の看護学部で学び、国家試験に合格しなければなりません。コミュニケーション能力や共感力、状況に応じた的確な判断力も求められます。

参照：職業情報提供サイト（日本版O-NET）「看護師- 職業詳細」

看護師の仕事は、長期入院中の患者さんの不安や悩みに寄り添い、精神的なケアを行うことで、患者さんが治療に前向きに取り組めるよう支援する必要があるでしょう。

介護福祉士

介護福祉士は、高齢者や障がいのある方の日常生活を支援します。食事や入浴、排泄の介助から、レクリエーションの企画・実施まで、さまざまな業務を通して利用者の自立と生活の質の向上をサポート。介護福祉士になるには、「介護福祉士養成施設で学ぶ」または「実務経験を積んだうえで国家試験に合格する」必要があります。体力や精神力に加え、利用者の方の状況を理解し、適切な対応をするための観察力や判断力も必要です。

参照：職業情報提供サイト（日本版O-NET）「施設介護員- 職業詳細」

たとえば、根気強い支援によって、寝たきりだった高齢者が歩行器を使って歩けるようになったとき、介護福祉士として喜びを感じられるでしょう。

教育・人材育成関連の仕事

教育・人材育成関連の仕事は、未来を担う人材の育成に携わり、個人と社会の成長に貢献します。子どもたちや学生、クライアントの成長を間近で見守れるのがこの分野の魅力です。

学校教師

学校教師は、児童・生徒の学習指導や人格形成に関わる重要な職業。教科指導に加え、生活指導や進路指導など、多岐にわたる役割を担います。教師になるには、大学で教職課程を履修し、教員免許を取得したり、教員採用試験に合格したりしなければなりません。

参照：職業情報提供サイト（日本版O-NET）「中学校教員- 職業詳細」

また、生徒一人ひとりの個性や特性を理解し、適切な指導を行うことが求められるでしょう。たとえば、不登校の生徒に寄り添い学校復帰を支援することで、生徒が自信を取り戻し将来への希望をもてるよう導きます。

塾講師

塾講師は、学校の授業を補完し、生徒の学力向上をサポートする仕事です。個別指導や少人数制の授業を通して、生徒一人ひとりのニーズに合わせた学習指導を行います。塾講師になるために特別な資格は必要ありませんが、高い学力と指導力、生徒とのコミュニケーション能力が求められるでしょう。

参照：職業情報提供サイト（日本版O-NET）「学習塾教師- 職業詳細」

たとえば、丁寧な指導によって生徒が苦手科目を克服し、目標を達成できたときに、塾講師として大きなやりがいを感じられるでしょう。

キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントは、個人のキャリア設計や能力開発を支援する専門家です。就職や転職、キャリアアップなど、クライアントのさまざまなニーズに対応します。キャリアコンサルタントになるには、国家資格であるキャリアコンサルタント試験に合格しなければなりません。クライアントの状況や希望を的確に捉え、適切なアドバイスをするための傾聴力や分析力、専門知識が求められます。

参照：職業情報提供サイト（日本版O-NET）「キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント- 職業詳細」

たとえば、キャリアに関する悩みに寄り添い、クライアントが自分らしいキャリアプランを描けるように支援することで、人生における大きな転換をサポートできます。

「世の中の面白い仕事とは？やりがいを感じる職種を見つけよう！」のコラムでは、やりがいを感じる仕事をまとめているので、ぜひご一読ください。

公共サービスや社会インフラを支える仕事

公共サービスや社会インフラを支える仕事は、私たちの安全な暮らしを支えています。以下で詳しく紹介するので、ぜひご一読ください。

消防士

消防士は、火災や災害現場で人命救助や消火活動を行います。火災予防の啓発活動や救急救命活動などを担うことも。消防士になるには、各自治体の消防職員採用試験に合格しなければなりません。体力や精神力、冷静な判断力、チームワークなどが求められます。

参照：職業情報提供サイト（日本版O-NET）「消防官- 職業詳細」

たとえば、迅速な消火活動によって火災の被害を最小限に抑え、人々の命や財産を守れたときに、消防士としての使命感と誇りを感じられるでしょう。

警察官

警察官は、犯罪の捜査や検挙、交通整理、地域のパトロールなどを通して、社会の安全と秩序を維持します。警察官になるには、各都道府県警察の採用試験に合格しなければなりません。体力や判断力、倫理観などが求められます。

参照：職業情報提供サイト（日本版O-NET）「警察官（都道府県警察）- 職業詳細」
※上記の平均年収は、求人賃金（月額）×12（ヶ月）で算出

たとえば、地道な捜査によって事件を解決し、被害者やその家族に安心を届けられたときに、警察官としてのやりがいを感じられるでしょう。

3.公務員

公務員は、国や地方自治体で働き、さまざまな行政サービスを提供する仕事です。福祉や教育、環境保護など、幅広い分野で市民生活を支えています。公務員になるには、各種公務員試験に合格しなければなりません。公共心や倫理観、法令遵守の意識、公平性などが求められます。

参照：職業情報提供サイト（日本版O-NET）「地方公務員（行政事務）- 職業詳細」

たとえば、地域住民の声を反映させた政策を実現し、地域社会の発展に貢献できた際に、公務員としてのやりがいを感じられるでしょう。

公務員就職については、「公務員就職は既卒で目指せる？試験概要やうまくいかないときの対処法を解説」のコラムでも解説しているので、あわせてチェックしてみてください。

参照元
厚生労働省
職業情報提供サイト（日本版O-NET）

人のためになる仕事に就くメリットとデメリット

人のためになる仕事には、メリットだけでなくデメリットも存在します。これから就職や転職を考えている人は、両方を理解したうえで仕事選びをすることが大切です。このコラムでは、人のためになる仕事に就くメリットとデメリットについて解説します。

【メリット】モチベーションと自己成長につながる

人のためになる仕事に就くメリットは、やりがいを感じやすく、自己成長につながりやすい点です。まず、自分の仕事が直接的に誰かの役に立っていることを実感できるため、やりがいを感じられるでしょう。人のためになる仕事に就くメリットの例は、以下のとおりです。

• ・医療従事者：患者の回復に貢献することで感謝の言葉を直接もらう機会がある
  ・福祉の仕事：利用者の生活の質向上に貢献することで、笑顔や感謝の言葉につながる

このように、目に見えるかたちで人の役に立っている実感は、大きなモチベーションにつながることもあるでしょう。
次に、人のためになる仕事は常に新しい課題に直面し、それらを解決していく必要があるため、自己成長の機会が多いというメリットもあります。たとえば、教育の現場では生徒一人ひとりの個性や学習状況を把握し、それぞれに合った指導方法を工夫しなければなりません。このような経験を通して、指導力やコミュニケーション能力、問題解決能力など、さまざまなスキルを磨けます。

【デメリット】責任の重さとストレスを感じる

人のためになる仕事に就く主なデメリットは、以下のとおりです。

• ・責任を重く感じる可能性がある
  ・精神的な負担を感じやすいこと

人のためになる仕事は、人の命や生活、人生に直接関わる仕事である場合が多く、大きな責任を伴います。医療従事者であれば、医療ミスが患者の命に関わることも。福祉の仕事であれば、不適切な対応が利用者の生活に悪影響を与えることもあるでしょう。このような責任の重さは、プレッシャーとなり、精神的な負担につながる恐れもあります。

たとえば、介護の仕事では利用者のさまざまな感情に寄り添い、適切なケアを提供しなければなりません。常に相手の感情に配慮し、自分の感情をコントロールすることは、ストレスとなる可能性があります。さらに、人のためになる仕事のなかには、給与や待遇が仕事内容に見合わないこともあるでしょう。保育士や介護士などは、社会的に重要な役割を担っているにもかかわらず、ほかの職種に比べて給与水準が低い場合があるようです。このような待遇面での不満は、仕事へのモチベーションの低下につながる可能性があります。

「仕事に限界を感じるときの休むべきサインは？気づけない理由や対処法を解説」のコラムでは、仕事に限界を感じた場合の対処法をまとめているので、ぜひご一読ください。

自分に合った「人のためになる仕事」の見つけ方

「人のためになる仕事」は、生活のための収入を得るだけでなく、自己実現や充実感につながるやりがいのある選択肢です。このコラムでは、自分に合った仕事を見つけるための具体的な方法を紹介します。

自己分析と価値観の明確化する

自分に合った「人のためになる仕事」を見つけるためには、まず自己分析を行い、自分の価値観を明確にすることが重要です。自分自身をよく理解することで、「どのようなかたちで人の役に立ちたいのか」「どのような分野で貢献したいのか」を具体的にイメージできるようになります。自己分析では、自分の強みや興味、価値観を把握しましょう。それにより、仕事の方向性が見えてきます。具体的な自己分析の方法は以下のとおりです。

• ・16Personalities（性格タイプ）
• ・過去の経験の振り返り
• ・価値観の明確化
• ・将来のビジョンの作成

16Personalities（性格タイプ）は、自分の性格や行動パターンを客観的に知るのに役立つ可能性があります。ただし、診断結果はあくまで参考情報として捉え、絶対的な指標ではないことを理解しておきましょう。過去の経験の振り返りでは、学生時代の部活動やアルバイト、ボランティア経験などを振り返り、どのような活動に充実感や達成感を得たか分析します。
また、価値観を明確にするために、自分にとって大切な価値観をリストアップし、優先順位をつけてみましょう。その際に、「他者の成長を支援すること」「環境保護に貢献すること」「地域社会の発展に寄与すること」など、さまざまな切り口で考えてみるのがポイントです。

さらに、将来のビジョンの作成のために5年後、10年後の理想の自分像を具体的にイメージして書き出してみましょう。どのような仕事に就き、どのように社会に貢献したいかを自由に想像することが大切です。

自分に向いてる仕事が分からない場合は、「自分に向いてる仕事に出会うには？見つけるメリットや探し方を解説」のコラムも参考にしてみてください。

業界・企業研究と実際の現場を知る

自己分析を行ったあとは、具体的な職業について研究し、実際の現場の様子を知ることがポイント。そうすることで、仕事のイメージと現実のギャップを理解し、より現実的な職業選択が可能になります。職業研究の方法は、以下のとおりです。

• ・インターネットや書籍での情報収集
  ・職業人へのインタビュー
  ・インターンシップやボランティア活動への参加
  ・業界セミナーや説明会への参加

インターネットや書籍で情報収集をする際は、各職業の概要や必要なスキル・資格・平均年収・労働環境などの基本情報を調べましょう。また、実際にその仕事に就いている人にインタビューすることで、仕事内容のリアルな側面や、やりがい、苦労などを知れる可能性があります。

さらに、インターンシップやボランティア活動に参加して実際に現場を体験することで、その仕事の魅力や課題を肌で感じられるでしょう。業界セミナーや説明会への参加を通してさまざまな企業や団体の取り組みを知り、業界全体の動向を把握できます。
たとえば、教育分野に興味があるなら、学校でのボランティア活動や学習支援のアルバイトを経験してみるのも良いでしょう。環境問題に関心があるなら、環境NPOでのインターンシップや地域の清掃活動に参加してみるのも有効です。実際の現場を知ることで、仕事に対するイメージと現実のギャップを認識し、より具体的な目標設定ができることもあるでしょう。

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人のためになる仕事に関するよくある質問

自分の能力を活かしながら、社会貢献できる仕事に就きたい方もいるでしょう。ここでは、人のためになる仕事に関するよくある質問について、詳しく解説します。