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大卒認定試験はある?大卒資格の取り方や就活でのメリットを解説します!

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この記事のまとめ

  • 大卒認定試験という資格はなく、大学で必要な単位を修得しないと大卒資格は得られない
  • 「大卒認定資格がある」という誤解は、「高卒認定試験」はあることが原因と考えられる
  • 大卒資格を得るには、大学の夜間部や通信制大学で学ぶ方法がある
  • 大卒資格を得ると、大卒が条件の求人に応募できたり賃金が増えたりといった強みがある
  • 大卒認定試験はないため、大卒資格取得にはある程度の時間とお金が掛かる

「大卒認定試験を受けたら大卒資格が手に入る?」と考えている方もいるでしょう。キャリアに役立てたり豊かな人生を送ったりと、自分の目標を叶えるために大卒資格の取得を検討している方は多いようです。

大学を卒業して大卒資格を得るためには、大卒認定試験に合格するのではなく、定められた単位を修得する必要があります。また、単位を修得する方法は複数あるため、「働いていて昼間は学校に通えない」という方も取得は可能です。

このコラムでは、キャリアアドバイザーの太田さんのアドバイスを交えながら、大卒資格の取得方法や就活でのメリットについて解説します。また、働きながら大卒資格を目指すときの注意点もご紹介。大卒認定試験や大卒資格について正しい情報を知り、あなたの希望に合った進路選択を実現させましょう。

大卒認定試験とは?

結論からいうと、「大卒認定試験」は存在しない試験です。以下で大卒資格とはどのようなものか、取得するための要件の概要について解説します。

大卒資格は試験だけでは取得できない

大卒資格を取得するには、「大学設置基準」によって定められた要件を満たす必要があります。卒業のために必要な単位の修得方法と、卒業要件は以下のとおりです。

  • ・単位の授与(第二十七条)
  • 大学は、一の授業科目を履修した学生に対しては、試験その他の大学が定める適切な方法により学修の成果を評価して単位を与えるものとする。
  • ・卒業の要件(第三十二条)
  • 卒業の要件は、百二十四単位以上を修得することのほか、大学が定めることとする。

上記から、大卒資格を得るには、大学の講義を受けて124単位以上を修得することが条件であることが分かります。単位を修得するためには試験が必要な場合があるものの、卒業要件に試験は含まれていません。

参照元
e-Gov法令検索
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「大卒認定試験がある」という誤解が生じる原因は?

「大卒認定試験」という誤解が生じる原因として、「中学校卒業程度認定試験」や「高等学校卒業程度認定試験」の存在が考えられます。それぞれ一般的に「中卒認定試験」「高卒認定試験」と呼ばれているため、「大卒認定試験もある」と思われてしまうのかもしれません。

働きながら大卒資格を得るための代表的な手段

働きながら大卒資格を得るための代表的な手段

  • 1.夜間部のある大学で学ぶ
  • 2.通信制大学で学ぶ
  • 3.専門学校の併修制度を利用する
  • 4.大学改革支援・学位授与機構を利用して単位を取得する

「大学に通う」と聞いて、昼間部の4年制大学に進学することをイメージする方もいるでしょう。ただし、大卒資格の取り方は一つではありません。「夜間部」「通信制大学」といったいくつかの選択肢から、あなたに合った学び方の大学を選ぶことが可能です。

ここでは、働きながら大卒資格を得るための手段について解説します。大卒資格の取得を考えている場合は、参考にしてみてくださいね。

1.夜間部のある大学で学ぶ

大学の夜間部に入学すれば、夜の時間帯に学べるため、働きながら勉強を両立できます。多くは平日午後6時から授業が行われているほか、土曜日の昼に授業が行われる場合もあり、「平日は仕事や家事で大学に通えない」という場合におすすめの方法です。

また、夜間部の学生とコミュニケーションが取れたり、大学の図書館をはじめとする設備が利用できたりするのもメリットでしょう。

ただし、夜間部で大卒資格を取るには、仕事が終わってから講義を2~3コマ受け、124単位を修得する必要があります。会社の残業が多かったり理解が得られなかったりすると、途中で挫折してしまう恐れがあるため、よく考えて進学を決めましょう。

2.通信制大学で学ぶ

働きながら無理なく学びたいという場合は、通信制大学を活用するのが良いでしょう。通新制大学とは、テキストやオンライン授業を使用した自宅学習で単位が修得できる大学のこと。通信制大学のほか、通信教育課程のある私立大学でも受講できます。

シフト制の仕事で決まった時間に通学できない方や、働きながら自分のペースで学びたいという方におすすめです。

ただし、通信制大学で必要単位を取る場合も、一部の講義は対面授業(スクーリング)となることが多いようです。近年ではオンライン授業で代用できたり、「スクーリングなし」としている通信制大学・学部もあるため、学びたい分野や希望の大学のカリキュラムを事前によく確認しておきましょう。

3.専門学校の併修制度を利用する

専門学校のなかには、卒業と同時に短大や大学の卒業資格を得られる「併修制度」を採用している学校があります。この制度を活用すれば、専門学校でより専門的な知識や技術を学びながら、就職に役立つ大卒資格も取得可能です。

学びたい分野が明確な場合は、併修制度を活用することでより将来の可能性が広がるでしょう。

併修制度では、専門学校で学びつつ、提携している短大・大学の通信教育を受けられます。また、なかには専門学校の卒業後は大学に編入できるという学校も。専門学校のみに通う場合と比べ、学費は高い傾向にあるものの、専門的なスキルと教養のどちらも身につけたいという方は活用を検討してみても良いでしょう。

4.不足単位を修得して大学改革支援・学位授与機構を利用する

最終学歴が短大や高専・専門学校だったり、大学を中退していたりする場合、条件を満たしていれば大学改革支援・学位授与機構を利用することで大卒資格が取得可能です。同機構の資料をもとに、基礎資格の一部(第一区分)を紹介します。

  • ・2年制専門学校修了者
  • ・2年制短期大学卒業者
  • ・高等専門学校卒業者
  • ・高等専門学校卒業者

卒業資格を得るには、不足している単位を修得したのちに、機構の審査と試験を通過する必要があります。単位を修得する方法は、「大学の科目等履修生制度を使って学ぶ」「通信制大学で必要な単位だけ履修する」など。また、機構が認定した短大や高専の認定専攻科で学ぶことも可能です。

参照元
独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構
申請案内書「新しい学士への途」、「学位授与申請書類」等

大学中退している人は、「卒業していることにしてしまえば?」と考えるかもしれませんが、中退を「卒業」と偽るのにはリスクがあります。「学歴詐称はバレる?罪に問われる?就活や転職で経歴に嘘をつくリスクとは」を確認し、正規の手順で学士の取得を目指しましょう。

大卒資格が就職にもたらすメリット

大卒資格が就職にもたらすメリット

  • 1.大卒が条件の求人に応募できる
  • 2.大卒資格取得に向けた努力をアピールできる
  • 3.将来的に得られる賃金が増える
  • 4.専門的な知識や技術・教養を学べる
  • 5.より豊富な資格取得が目指せる

大卒資格を取得することで、選べる求人が増えたり、アピールできる要素になったりと多くのメリットが考えられます。大卒資格が就職にもたらすメリットについて解説するので、学び直しをするか悩んでいる方は参考にしてみてくださいね。

1.大卒が条件の求人に応募できる

大卒資格を取得する大きなメリットは、「大卒以上」が条件の求人に応募できる点です。学歴を書類選考の評価基準の一つとしている企業もあり、高卒や大学中退の場合は選べる求人の幅が狭まってしまうことも。

しかし、大卒資格を取得すれば、大卒を条件としている求人に応募できるようになるため、選択肢を広げられます。学歴が原因で仕事探しに不都合が生じている場合は、大卒資格を得ることで解消されるでしょう。

2.大卒資格取得に向けた努力をアピールできる

大卒資格を取得すると、就職活動で取得までの道のりや努力をアピールできます。たとえば、「仕事と勉強を両立させるなかで自己管理力を高められた」「忙しいなかでも知的好奇心と向上心を忘れず、専門知識や教養を幅広く身につけた」など、自分の成長した点や強みを示すことで、企業側に興味をもってもらえるでしょう。

努力をアピールするときは、成果や強みをただ述べるだけではなく、苦労や頑張ったことが客観的に伝わるエピソードを交えるのがポイントです。「苦労をどのように乗り越えたのか」「努力して何を得たのか」を具体的に伝えると、より説得力のあるアピールになるでしょう。

3.将来的に得られる賃金が増える

大卒資格を取得することで、将来にわたって得られる賃金が増える可能性があります。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査 学歴別にみた賃金」によると、最終学歴別の賃金(男女計)は年齢ごとに以下のように推移しています。

年齢高卒大卒
年齢計28万1,900円36万9,400円
20~24歳21万6,200円23万9,700円
25~29歳24万700円27万2,600円
30~34歳25万8,500円30万9,000円
35~39歳27万6,800円35万4,100円
40~44歳29万3,400円39万4,700円

引用:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況(学歴別)

統計から、最終学歴が高卒と大卒の場合、全年齢では平均賃金に9万円近くの差が生じていることが分かります。また、年齢層ごとに見ても、年齢を重ねるにつれ平均賃金の差額は開いていく傾向に。もっとも差がある55~59歳の賃金差はおよそ18万円となり、学歴によってもらえる賃金が大きく異なることが読み取れます。

上記はあくまで統計のため、高卒で平均賃金を上回る稼ぎを得ている場合もあるでしょう。しかし、大卒資格を取得したほうが基本給が高かったり、より高収入を得やすかったりといったメリットがあるといえます。

参照元
厚生労働省
令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況

4.専門的な知識や技術・教養を学べる

大学や専門学校などで学ぶ過程で、専門的な知識や技術・教養への理解を深められることも大きなメリットの一つ。学んだ分野が就職先の業務に直接役立つものであれば評価されやすくなるほか、社会人としての一般教養を身につけられます。

5.より豊富な資格取得が目指せる

大卒資格を取得することで資格が取得できたり、さまざまな資格取得に向けた道が開けたりします。たとえば、文部科学省の「教員免許状に関するQ&A」によると、学校の教員になるには「教職課程のある大学・短期大学等に入学し、法令で定められた科目及び単位を修得」することが条件の一つ。

また、大卒でなくても取得可能なものの、大学で必要な単位を履修することで取得しやすくなる資格もあります。たとえば、文部科学省の「司書について 1.司書になるためには」によると、司書になるには司書補として3年以上経験を積むか、短大や専門学校を卒業したあとに司書講習を受ける必要があります。しかし、司書課程のある大学で必要な科目を履修すれば、卒業と同時に資格を取得可能です。

大学では資格取得に向けた科目があったり、民間資格の取得をサポートする講義が開かれている場合もあります。大学で学びながら取得したい資格や、将来的に目指している資格がある場合は、指定科目や受験条件について確認しておくのがおすすめです。

まずは高卒で取れる資格を目指すという方は、「高卒でも取れる資格で高収入は目指せる?おすすめの資格を紹介」のコラムをご覧くださいね。

参照元
文部科学省
教師の養成・採用・研修等
社会教育主事・社会教育委員・司書に関すること

大卒資格を取得するときの注意点

大卒資格を取得するときの注意点

  • 1.必要な費用を計算する
  • 2.取得までに掛かる時間を把握する

大卒資格を取得すると豊富なメリットがあるものの、一方で費用や時間といったコストが掛かることに注意しましょう。大卒資格を取得するときの注意点を解説するので、ご参照ください。

1.必要な費用を計算する

大卒資格の取得を検討している場合は、まず必要な費用を計算してみましょう。学校や学部によって異なるものの、入学金や授業料、テキスト代など、大学で学ぶにはまとまったお金が必要です。

文部科学省の「大学通信教育制度について」によると、通信制大学の卒業までにかかる費用は、約70万円。比較対象である国立大学の約240万円よりは安く済むものの、大きな額であることに変わりありません。自分の収入や貯蓄状況を見返し、「生活に支障が生じないか」「いざというときのためのお金は確保できるか」を確認しておくと安心です。

参照元
文部科学省
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2.取得までに掛かる時間を把握する

大学を卒業するには124単位を修得するのが条件のため、ある程度長い目で見てスケジュールを立てておく必要があります。多くの場合は4年制で卒業可能なものの、在籍期間を4年以上に延長し、少しずつ単位を修得することもあるようです。

また、日々の勉強に掛かる時間も確認しておくのがおすすめ。夜間部の大学なら毎日勤務後に通学して3時間ほどの講義を受けたり、通信制なら継続的な自宅学習が必要だったりと、仕事とプライベート、勉強を両立するには努力が必要です。

「×歳までに大卒資格を得たい」「4年にこだわらず、在籍可能期間内で無理なく学びたい」など、あなたの生活スタイルや希望に合わせて学び方や進学先を選ぶと良いでしょう。

大卒資格を最短で取得する方法は?

大学卒業までに必要な時間は、すでに修得している単位数や、学び方によって大きく異なります。大学中退や短大卒業によって62単位以上を修得している場合は、残りの単位を修得すれば卒業資格は取得可能です。そのため、単位数によっては最短で半年や1年ほどで大卒資格を得られるでしょう。

高卒から大学に挑戦するなら、124単位を修得する必要があるため、多くの大学で最短4年掛かります。ただし、通信大学のなかには最短3年で卒業できる、早期卒業制度を採用しているところもあるようです。

ハタラクティブ プラス在籍アドバイザーからのアドバイス

太田雅子

太田雅子

中途採用では職歴を重視する企業もあるため、大卒資格よりも仕事の経験を積むことを優先したほうが良い場合もあります。希望の職種に大卒資格は必要なのか、実務経験を積んだほうがキャリアが広がるのか、入学を決断する前にじっくり考えてみましょう。

判断に迷う方は、「高卒就職のメリット・デメリットとは?就活に学歴は関係ある?」のコラムをご覧くださいね。

私たちハタラクティブは、一人ひとりの適性や希望に合った求人情報をご紹介し、仕事探しをお手伝いしています。職業ごとに求められる資格やスキルについてのアドバイスもしているので、大学進学を迷っている方はぜひご相談くださいね。

大卒資格にこだわらず適性に合う仕事を見つけるのが大切

仕事を長く続けるうえで大切なのは、大卒資格の有無よりも、あなたの適性に合う仕事を見つけることです。漠然とした理由で大卒資格が欲しい場合は、決断する前に「自分のキャリアに大卒資格は必要か」を検討してみることをおすすめします。

大学受験か就職か迷ったら第三者に相談してみよう

「大学受験に挑戦するか就職するか迷っている」という方は、第三者に相談してみると新たな視点を得られる場合も。家族や友人といった信頼できる相手に悩んでいる理由を相談したり、客観的な意見を聞いてみたりしましょう。

もしも身近に相談できる相手がいないときは、ハローワークや就職・転職エージェントに相談してみるのもおすすめです。専門的な知識のある相談員から、希望する仕事における大卒資格の必要性や、キャリアプランについてアドバイスがもらえますよ

「大卒資格はないが就職を成功させたい」という方は、就職・転職エージェントのハタラクティブにご相談ください。ハタラクティブは、学歴や職歴を問わず、20代から30代の若年層に特化した支援を行っています。

専任のキャリアアドバイザーが丁寧なヒアリングを行い、あなたの適性に合った求人情報を厳選してご紹介します。若手を積極的に採用している企業の求人を多く扱っているため、業界や職種を問わず、豊富な選択肢からあなたに合った仕事が見つけられるでしょう。

また、応募書類の添削や模擬面接といった選考対策や、就活やキャリアに関する相談もお任せください。「大学受験を考えている」「高卒でキャリアが不安」といった疑問や不安にお答えし、キャリアの道筋についてアドバイスやご提案をします。

サービスはすべて無料で受けられますので、まずはお気軽にご相談くださいね。

大卒資格に関するQ&A

ここでは、大卒資格に関するよくある質問について、Q&A方式でお答えしています。大学受験についての情報や、大卒認定試験についても解説しているため、進路選択にお役立てください。

大卒資格を働きながら取得するのは難しいでしょうか?

仕事と勉強を両立させるのは簡単なことではありませんが、不可能ではありません。文部科学省の「参考資料集 社会人入学者の動向」によると、2021年度の学部への社会人入学者数は推計で約1万9,000人となっています。通信教育で学んでいる割合が高く、社会人として仕事を続けながら、自分のペースで学べる手段を取っている人が多いようです。

参照元
文部科学省
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通信制の大学は入学の難易度が比較的低いと聞いたのですが…

通信制大学は書類審査のみで入学できることが多いため、働きながら入学を目指す場合も比較的挑戦しやすいといえます。ただし、なかには面接や小論文が課される大学もあるため、事前に希望する大学の募集要項を確認しておきましょう。

大卒認定試験を受験して、専門卒から大卒になりたいです

「大卒認定試験」は存在しない試験であり、大卒資格を得るには大学で学びなおす必要があります。ただし、専門学校を修了している場合は、不足している単位を修得して大学改革支援・学位授与機構の審査を受けることで大卒資格が手に入ります。詳しくはこのコラムの「4.不足単位を修得して大学改革支援・学位授与機構を利用する」をご確認ください。

高卒認定試験の合格だけでなく、大卒資格もないと就職は難しい?

大卒資格がないからといって、就職が難しくなるとは限りません。学歴を問わず人材を求めている企業や職種を狙うことで、就職を成功させることは十分に可能です。ただし、大卒資格が必要な仕事を希望している場合は、大卒資格の取得を検討しても良いでしょう。

「高卒から活躍できる仕事が知りたい」という方は、ハタラクティブにご相談ください。人柄を重視した採用を行っている企業の求人を多く扱っているため、学歴に不安のある方も安心です。

後藤祐介

監修者:後藤祐介

京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。
ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。

資格 : 国家資格キャリアコンサルタント国家資格中小企業診断士
メディア掲載実績 : 「働く」をmustではなくwantに。建設業界の担い手を育て、未来を共創するパートナー対談定時制高校で就活講演 高卒者の職場定着率向上へ【イベント開催レポート】ワークリア障がい者雇用セミナーSNS : LinkedIn®YouTube