この記事のまとめ
- 国民年金は、ニートやフリーターであっても納付の義務がある
- ニートが年金をいくらもらえるかは未納期間によって異なり、期間が長いほど金額が少なくなる
- 長期間にわたって年金を払っていない場合は、財産を差し押さえられる恐れがある
- 何らかの事情により年金を払えないニートの方は、免除・納付猶予申請を行う方法もある
- もらえる年金を増やしたいニートの方には、就職をして厚生年金に加入するのがおすすめ
「ニートは年金をいくらもらえる?」「払わないとどうなるの?」と疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。「収入がない場合は免除されるはず」と考えるニートの方もいるかもしれませんね。
日本では20歳以上60歳未満であれば年金納付の義務があります。そのため、実家暮らしのニートやフリーター、学生であっても年金を支払うのが基本です。払っていないと将来もらえる年金額が少なくなったり、財産を差し押さえられたりする恐れもありますよ。
このコラムでは、キャリアアドバイザーの荒井さんのアドバイスを交えつつ、年金制度の基礎知識を解説。また、年金を払えない場合に利用できる、免除・納付猶予申請の方法もご紹介します。「年金の払い方が分からない」「ニートは年金をもらえるのか知りたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
ニートは年金をいくらもらえる?
日本年金機構の「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額 年金額(令和7年4月分から)」によると、20歳から60歳になるまでの40年間の保険料をすべて納めると、基礎年金の満額である83万1,700円受け取れます。もし、保険料を納めていない期間がある場合、受給額は次の計算式で求められます。
基礎年金額 = 満額(83万1,700円) × (保険料納付済期間 + 免除期間×免除率) ÷ 480ヶ月
たとえば、30歳までニートで保険料未納、その後10年間全額免除を受け、40歳から60歳まで20年間納付した場合は以下のようになります。
| 期間区分 | 期間 | 月数 |
|---|---|---|
| 未納期間 | 10年 | 0ヶ月 |
| 全額免除期間 (全額免除月数×2分の1) | 10年 | 120ヶ月×2分の1=60ヶ月 |
| 納付期間 | 20年 | 240ヶ月 |
| 合計 | 40年 | 300ヶ月 |
受給額は83万1,700円×(240+60)÷480=51万9,812円となります。これは満額の約62%です。未納期間が長いほど、受け取れる金額は少なくなるのです。
参照元
日本年金機構
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老後のための年金受給資格とは
老後の年金を受け取るには、一定期間の保険料納付が必須となります。国民年金の加入者は20歳から60歳までの40年間が加入対象期間です。
この期間中、保険料を納めるか免除・猶予の手続きをしておかなければ、将来の年金受給に影響が出るでしょう。前述したように、ニート期間中に何も手続きをしないと、その分の期間は年金計算から除外されてしまいます。
受給資格期間は10年
年金をもらうためには、保険料納付期間と免除期間を合わせて10年以上の期間が必要です。以前は25年でしたが、2017年8月から10年に短縮されました。この変更により、短期間の加入でも老後に基礎年金を受け取れるようになっています。
10年を超えたぶんの年金は、払いたくても払えなくなってしまいます。未納期間が10年以内であれば遡って追納できるので、生活の状況を見ながら全額払っておいたほうが安心ですよ。国民年金保険料の追納申請は、市区町村役場の「国民年金担当窓口」や「年金事務所」で行えます。
ただし、繰り返しになりますが納付期間が短いと受け取れる年金額は少なくなるため注意が必要です。
年金はいつからもらえる?
日本年金機構の「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額 受給開始時期」によると、年金は原則として65歳から受け取れるとしています。65歳以降に受給資格期間の10年を満たした方は、受給資格期間を満たしたときから老齢基礎年金を受け取れます。
また、60歳から65歳までの間に繰上げて減額された年金を受け取る「繰上げ受給」や、66歳から75歳までの間に繰下げて増額された年金を受け取る「繰下げ受給」という制度を選択することも可能です。
参照元日本年金機構
老齢年金(受給要件・支給開始時期・年金額)
年金受給の基礎知識
年金制度は老後の生活を支える社会保障制度の一つです。日本の年金制度は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2つで成り立っています。年金について基本的な知識を持つことで、将来の生活設計に役立てられるでしょう。
国民年金と厚生年金の違い
国民年金と厚生年金には、加入対象者や保険料、受給額などに違いがあります。
| 国民年金(基礎年金) | 厚生年金 | |
|---|---|---|
| 加入対象者 | 日本国内に住む20歳〜60歳のすべての人 | 会社員や公務員など |
| 保険料 (2025年7月時点) | 1万7,510円 | 基本月額報酬×18.3%(労使折半) |
| 受給開始年齢 | 原則65歳から | 原則65歳から |
| 満額の目安(月額) | 6万9,308円 | 基礎年金+報酬比例(平均で約14〜15万円) |
| 加入方法 | ・自営業者などは自分で手続き(第1号被保険者) ・会社員などは会社が手続き(第2号被保険者) ・扶養配偶者は自動加入(第3号被保険者) | 会社が手続き |
参照:日本年金機構「国民年金保険料」、厚生労働省「厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて」
正社員として就職すると、会社の厚生年金に加入するのが一般的です。厚生年金とは、国民年金に上乗せして支払う年金のこと。厚生年金料のなかに国民年金料が含まれているので、厚生年金加入者は別途国民年金を支払う必要はありません。
厚生年金は、会社と従業員が半々で年金保険料を納付する仕組みとなっています。支払うべき金額の半分を会社が負担してくれるので、自分の負担額を軽減することが可能です。
また、年金は加入している期間が長いほど、将来もらえる年金額も多くなるといった特徴があります。
参照元
日本年金機構
標準報酬月額、賞与等
厚生労働省
年金・日本年金機構関係
ニートが年金を払っていないことによるリスク
ここでは、ニートの方が年金を払っていないことによるリスクを具体的に解説します。「実家暮らしだから分からない」「親が払っているかもしれない」というニートの方は以下の内容を読み、一度家族に確認してみましょう。
定年後に年金をもらえなくなる恐れがある
将来もらえる年金額は、働いた期間や支払った金額によって決まるため、年金を払っていない期間があると、そのぶん受け取る年金額も減ります。また、未納期間が長く、払った期間が合計10年未満の場合、年金を受け取れなくなる恐れも。これは大きなリスクですよね。
先述したように、年金は万が一のときや老後の生活のために、あらかじめ納付しておくものです。親の収入に頼っているニートの方は、親が高齢になったときや働けなくなった場合のことを考えておく必要があるでしょう。
財産を差し押さえられる可能性がある
日本年金機構の「日本年金機構の取り組み(保険料徴収)」によると、年金は法律によって支払いを義務付けられているため、払っていない期間が続くと、催促状が届いたり電話が掛かってきたりします。
それでも支払わない場合、最低限の生活費は保護されるものの、預金や不動産などの財産を差し押さえられるリスクも。また、滞納した期間に応じた延滞金が年金保険料に加算されるため、未納期間が長くなるほど支払い合計金額は増えていきます。
参照元
日本年金機構
日本年金機構の取り組み(厚生年金保険)
就職時、国民年金の未納期間が会社にバレることはない
正社員として就職すると厚生年金の加入手続きを行います。その際、国民年金の未納期間があったとしても会社にバレることはありません。これは、プライバシー保護によって、国から会社へ個人の年金納付状況を開示することが禁止されているためです。
年金の未納期間があることを理由に面接時の印象が変わったり、就職後の評価が下がったりすることもないので、心配する必要はありませんよ。ハタラクティブ プラス在籍アドバイザーからのアドバイス

荒井幹太
現在ニートの状態にある方も、国民年金保険料の納付期間が10年以上あれば、65歳を迎えたときに年金をもらえます。督促状が届いているにもかかわらず、「払えない」「払いたくない」などの理由から何もせず放置するのは避けましょうね。
年金を払えない事情がある場合や、未納分を分割で払いたいニートの方は、次項で紹介する国民年金保険料の免除・納付猶予制度を活用してみてください。
ニートで年金を払えない場合は免除・納付猶予申請を行おう
ここでは、国民年金を払えない場合に申請できる、保険料免除制度と納付猶予制度の概要をご紹介します。申請の方法も解説しているので、年金免除・納付猶予申請書の書き方が知りたいニートの方は以下を参考にしてみてください。
免除制度とは
国民年金保険料の免除制度とは、保険料の支払いが難しい場合に、一部または全額の支払いが免除される制度を指します。免除の種類は、「全額」「半額」「4分の3」「2分の1」の4種類です。どのくらい免除されるかは、申請者本人だけでなく世帯主や配偶者の所得額をもとに審査が行われたあとに決定します。
免除が認められると、保険料を払っていない期間の年金が保障されるメリットがあるので、国民年金が払えない場合は申請してみましょう。
納付猶予制度とは
国民年金保険料の納付猶予制度は、決められた期間内の支払いを一時的に止められる制度を指します。たとえば、急な病気やケガで働けなくなり年金を払えない、あるいは学生やフリーター、ニートの方などが「払えるような状況になったときに払いたい」という意思を示すことが可能です。
なお、納付猶予申請は「将来的に未納期間分の国民年金を支払うこと」を約束する制度のため、20歳〜50歳未満の年齢制限が設けられています。
免除・納付猶予申請をしておくと年金が受け取れる
国民年金保険料の免除または納付猶予申請を行うことで、年金を受け取る権利を保てます。しかし、これは一時的な解決策に過ぎないということも、念頭に置いておきましょうね。やむを得ない事情がある場合を除き、なるべく早めに年金の支払いを再開できるよう努力することが大切ですよ。国民年金保険料免除・納付猶予申請の方法
国民年金保険料の免除・納付猶予申請は、市区町村役場の「国民年金担当窓口」または「年金事務所」で行います。マイナポータルを利用し、スマホから電子申請を行うことも可能です。申請書は、窓口のほか日本年金機構の「ケース11:国民年金保険料の免除を受けるとき」からもダウンロードできます。
申請のときに準備するもの
申請書には、国民年金の個人番号(または基礎年金番号)を記載する必要があります。個人番号は国民年金手帳や、基礎年金番号通知書に書いてあるので手元に準備しておきましょう。申請書に基礎年金番号を記載する場合は、基礎年金番号通知書または年金手帳(氏名の記載ページ)のコピーの添付が必要です。
生活保護や特別障害給付金を受け取っている方は、公的機関が発行した証明書のコピーをあわせて提出します。失業や退職が理由で国民年金保険料の免除・納付猶予申請を行う場合は、その事実を証明するための「雇用保険受給資格者証」「雇用保険受給資格通知」「雇用保険被保険者離職票」など書類のコピーを準備します。また、本人確認のため身分証明書も忘れずに持って行きましょう。
国民年金保険料免除・納付猶予申請書の書き方
まずは「A.基本情報」の欄に、自分の国民年金の個人番号(または基礎年金番号)をはじめ、名前・世帯主名・生年月日・電話番号を記入しましょう。続いて「B.申請内容」に、申請期間や扶養家族などを書きます。免除等区分・特例認定区分・備考欄については、該当する場合のみ記入が必要なので、基本的には無記入で問題ありません。
国民年金保険料免除・納付猶予申請書の書き方に不安があるニートの方は、窓口もしくは日本年金機構のWebサイトで確認してみてください。また、申請書に記入した内容を確認するためのセルフチェックシートがあるので、活用してみてくださいね。
参照元
国民年金機構
国民年金保険料の免除・猶予
ニートが年金の支払い免除・納付猶予を申請する注意点
ここでは、ニートの方が国民年金の免除・納付猶予申請を行ううえでの注意点をご紹介します。申請を行うことによって生じるデメリットを理解したうえで、適切な選択をしましょう。
ニートが年金の支払い免除・納付猶予を申請する注意点
- 制度を利用すると、もらえる年金が少なくなる
- 免除・納付猶予が認められない場合もある
- 制度利用期間の年金は就職後に納付する
制度を利用すると、もらえる年金が少なくなる
免除や納付猶予制度を利用すると、受け取れる年金が少なくなる可能性があります。将来、年金をいくらもらえるかは、納付した期間や納付金額によって決められるからです。
つまり、国民年金保険料の免除や納付猶予を利用し支払い額が減ると、将来もらえる年金の総額も減ることを覚えておく必要があります。
免除・納付猶予が認められない場合もある
国民年金の免除・納付猶予は、申請を行ったとして必ず認められるわけではありません。収入や生活状況などによっては、申請が認められない可能性もあります。
国民年金の免除・納付猶予申請は、経済的に困難な状況における一時的な救済措置のため、すべての人が対象ではないのです。
制度利用期間の年金は就職後に納付する
免除・納付猶予制度を利用した期間の国民年金保険料は、就職後に納付を行うことになります。ニートの方が正社員として収入を得られるようになったら、遅れていたぶんの支払い(追納)を速やかに行いましょう。
免除・納付猶予期間の翌年から数えて3年度目以降に追納する場合、本来支払うべき保険料に加算額がプラスされます。
ニートが将来もらえる年金を増やす方法
ニートの方が将来もらえる年金を増やすためには、正社員として就職し厚生年金に加入するのがおすすめです。厚生年金は働いて得た給与に基づく年金で、国民年金に比べ高額な年金が受け取れるでしょう。
また、厚生年金の支払い額は勤務年数や給与額によって変動するので、長期勤務をすることで将来もらえる年金額を増やせますよ。
また、正社員以外の非正規雇用で働くフリーターの方も、一定の条件を満たせば厚生年金に加入できる場合があります。厚生年金加入の条件は、「週の所定労働時間が20時間以上ある」「賃金の月額が8万8,000円以上である」「学生でない」のすべてに該当する方が対象です。
ただし、条件に満たないフリーターの方や、そもそも従業員が厚生年金に加入できない職場の場合は、引き続き国民年金を支払うことになります。フリーターの年金については「フリーターとは?正社員で働くメリットや転職活動を成功させるコツを解説!」のコラムでも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
【まとめ】ニートは年金をいくらもらえる?と不安なら正社員就職を目指そう
ニート期間が長いと年金受給額が大幅に減少します。無職の期間も免除・猶予申請をしておくことで受給資格期間にカウントされますが、将来の年金額は納付した場合の50〜80%に減額されます。
経済的に安定した老後を迎えるには、正社員就職を目指すのが理想的だといえるでしょう。厚生年金に加入すれば、国民年金よりも多くの年金を受け取れます。早めに就職活動を始め、年金未納期間を最小限に抑えることが大切なのです。
「ニートのままでは将来が不安…」「就職したいけど働くのが怖い…」と不安を抱えている方は、就職・転職エージェントのハタラクティブにご相談ください。ハタラクティブでは、求人紹介だけでなく就職時の不安や悩みも丁寧に伺います。
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「ニートは年金いくらもらえる?」という疑問に関するよくある質問
ここでは、「ニートは年金をいくらもらえるか」という疑問に関連する質問をまとめました。ぜひご覧ください。
ニートは年末調整の対象になる?
無職のニートは収入がないため、年末調整の対象にはなりません。
年末調整は会社員など給与所得者に対して行われる手続きです。ニートの場合、そもそも所得税を納めていないため、年末調整は関係ありません。ただし、副業などで一定以上の所得がある場合は確定申告が必要となる場合があります。
親に扶養されている場合のニートの年末調整は?
親の扶養に入っているニート本人の年末調整は発生しません。
親の年末調整では、ニートの子を扶養家族として申告することで親の所得控除を受けられます。ただし、ニート本人の年齢が16歳以上で、年間所得が48万円以下であることが条件となります。
実家暮らしのニートの年金は親が払う?
基本的に、国民年金は本人が支払う義務があり、親に法的な支払い義務はありません。
ただし、実家暮らしのニートの場合、親が経済的な援助として代わりに支払うケースはあります。この場合でも納付書の名義は本人のままで、単に親が経済的に援助しているだけです。なお、経済的に困難な場合は、本人が免除・猶予申請を行うことがおすすめです。
