ハタラクティブ
ハタラクティブ

運輸業界とは?何をする仕事?職種一覧や働くメリット・デメリットを解説

運輸業界とは?何をする仕事?職種一覧や働くメリット・デメリットを解説の画像

この記事のまとめ

  • 運輸業界は人や物の輸送を担い、経済活動の基盤を支える重要な産業
  • 運輸業界の仕事内容は荷役や保管から出荷、配送まで多岐にわたる
  • 運輸業界は陸運・海運・空運の3分野に大別され、それぞれの職種で必要なスキルが違う
  • 社会に不可欠な仕事であることや仕事の安定性が運輸業界の魅力
  • 未経験から運輸業界へ就職・転職を考える場合は、自身の適性を見極めることが大切

運輸業界とはどのような仕事をする業界なのか知りたい方もいるでしょう。興味はあるものの、どのような業界なのか分からないと、目指すべきか迷いますよね。

運輸業界は人や物の移動を担う重要な産業として、日本の経済活動を支える基盤となる業界です。陸運・海運・空運に分かれて、配送業務をはじめ、輸送手段の選択と手配、通関手続きなども行います。

このコラムでは、キャリアアドバイザーの吉田さんのアドバイスを交えつつ、運輸業界とはどのような仕事をする業界なのかを解説しています。また、運輸業界にある代表的な職種の一覧や働くメリット・デメリットもご紹介しているので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

運輸業界とは

運輸業界とは、人や物を輸送するサービスを提供する産業分野を指します。経済活動の基盤となる重要な役割を果たしており、社会の円滑な運営に欠かせない業界です。

運輸業界には、陸上輸送、海上輸送、航空輸送などさまざまな形態が含まれています。日本の運輸業界は高度経済成長期に急速に発展し、現在も国内外の物流や人の移動を支える重要な産業となっているでしょう。

しかし、近年では人口減少や環境問題、デジタル化の進展などにより、業界を取り巻く環境が大きく変化しています。これらの変化に対応するため、運輸業界では効率化やサービスの多様化、環境への配慮などが求められるでしょう。

運輸業界に関連する業界

物や人の移動を担う運輸業界は、ほかの産業の発展や効率化に影響を与えるでしょう。ここでは、運輸業界と特に関連が深い業界を3つ解説します。

倉庫業界

倉庫業界は、運輸業界にとって、効率的な物流システムを構築するうえで欠かせない存在です。倉庫は物流の要となる施設であり、商品の保管や在庫管理、出荷準備などを行います。

近年では、eコマースの発展に伴い、倉庫業界の重要性が高まっている傾向にあるでしょう。たとえば、一部の大手ECサイトでは全国各地に大規模な物流センターを設置し、注文から配送までの時間を大幅に短縮することで、迅速な配送を実現しています。

EC(electronic commerce)業界

EC業界は、インターネットを通じて商品やサービスの売買を行う産業です。EC業界の発展に伴い、運輸業界では以下のような変化が起きています。

  • ・ラストワンマイル配送の重要性増大
  • ・配送の高速化や多様化(当日配送、時間指定配送など)
  • ・物流センターの自動化や効率化

オンラインショッピングの普及により個人向けの小口配送が急増し、運輸業界のビジネスモデルに変革をもたらしました。EC業界の成長は、運輸業界に大きな影響を与えているといえるでしょう。

旅行業界

旅行業界では、鉄道や航空、バスなどのさまざまな輸送手段を組み合わせて旅行プランを作成します。観光客や出張者の移動手段を提供する運輸業界は、旅行業界にとって重要な業界の一つです。

近年では、LCC(格安航空会社)の台頭や新幹線網の拡大などにより、国内外の移動がより手軽になっています。また、訪日外国人観光客の増加に伴い、多言語対応や観光地へのアクセス改善など、運輸業界と旅行業界が協力して取り組むべき課題もあるでしょう。

運送業と配送業の違い

運送業と配送業はどちらも物を届けるサービスを提供していますが、その規模や対象には違いがあります。これらの違いを理解することで、運輸業界の構造をより深く理解できるでしょう。

運送業は、主に企業間の大量輸送を担当します。たとえば、工場から倉庫への製品輸送や、卸売業者から小売店への商品輸送などがこれに該当します。一方、配送業は、主に企業から個人顧客への小口配送を担当します。オンラインショッピングで購入した商品の配達などが配送業の典型的な例です。

ルート配送の仕事とは?正社員として働くメリットや就職のポイントを解説!」のコラムでは、ルート配送の仕事内容や種類ごとに必要な資格を解説しているので、配送業に興味のある方はチェックしてみてください。

運輸業界の仕事内容

運輸業界は、物流の要として経済活動を支える重要な役割を担っています。この業界では多種多様な業務が連携して円滑な物流を実現しています。ここでは、運輸業界の主な仕事内容を6つの分野に分けて詳しく解説するので、チェックしてみてください。

運輸業界の仕事内容

  • 荷役業務
     
  • 保管業務
     
  • 流通加工業務
     
  • フォワーダー業務
     
  • 情報処理業務
     
  • 出荷・配送業務

1.荷役業務

荷役業務は物品の積み込みや積み降ろしのほかに、移動に関わる作業全般を指します。荷役業務は物流の効率性と安全性を確保するうえで、重要な役割を果たしているでしょう。

荷役業務には手作業による荷物の取り扱いから大型機械を使用した大量の貨物の移動まで、さまざまな作業が含まれます。主な荷役業務の内容は以下のとおりです。

積み込みトラックやコンテナへの商品の積み込み
荷降ろし到着した商品の倉庫や配送先での荷降ろし
仕分け配送先や商品種類ごとの仕分け
パレタイズ効率的な保管・輸送のための商品のパレット積み

荷役業務では、作業の効率化と安全性の確保が求められます。そのため、フォークリフトやコンベアベルトなどの機械設備を適切に使用する技術が必要です。未経験から挑戦する場合は、求人票の応募資格欄を確認しておくのが望ましいでしょう。

2.保管業務

保管業務は、商品や原材料を安全かつ適切な状態で保管することを主な目的とする業務です。保管業務の主な内容には以下のようなものがあります。

入庫管理新しく到着した商品の受け入れと適切な保管場所への配置
在庫管理保管中の商品の数量、状態、位置の正確な把握と記録
温度・湿度管理商品の特性に応じた保管環境の維持
セキュリティ管理盗難や損傷からの商品の保護
ピッキング出荷指示に基づいた商品の取り出し

保管業務では、商品の特性に応じた適切な保管方法を選択することが重要です。たとえば、食品や医薬品は温度管理が必須であり、精密機器は湿度管理が必要になります。

また、単に物を置いておくだけではなく、商品の品質を維持して必要なときに迅速に取り出せるようにすることが求められるでしょう。効率的な保管業務は、在庫管理の最適化やコスト削減につながる重要な要素です。

3.流通加工業務

流通加工業務は、商品の付加価値を高めるための作業を行う業務です。この業務は、製造業と小売業の中間に位置し、商品を消費者のニーズに合わせて加工・調整することで、より魅力的な商品として市場に提供することを目的としています。

流通加工業務の主な内容は以下のとおりです。

包装・梱包商品の保護や見栄えの向上のための包装、配送用の梱包
ラベリング商品情報や価格表示などのラベル貼付
組み立て部品の組み立てや簡単な製品の組み立て
キッティング複数の商品をセットにしての梱包
検品商品の品質チェックや数量確認

これらの業務は、商品の種類や顧客のニーズによってさまざまな形で行われます。たとえば、食品業界では賞味期限のラベリングや小分け包装が、電子機器業界ではソフトウェアのインストールやカスタマイズが主な流通加工業務となるでしょう。

市場のトレンドや消費者のニーズに素早く対応することで、商品の付加価値を高められます。そのため、流通加工業務では柔軟性と迅速性が求められるでしょう。

就職活動では、志望動機や自己PRで柔軟性と迅速性をアピールするのがおすすめです。変化に対応した経験や素早く行動して成果を出したエピソードを具体的に伝えてみましょう。
フリーターの自己PRはどう書く?書けないときの対処法や例文を解説」のコラムでは、フリーターの自己PRでアピールするときのポイントや書くときのコツを解説しているので参考にしてみてください。

4.フォワーダー業務

フォワーダー業務は荷主の代理人として、複雑な国際輸送の手配や通関手続きを一括して行う専門業者です。グローバル化が進んだ現代で、国際物流を支える重要な役割を果たしています。

フォワーダー業務の主な内容には、以下のようなものがあります。

輸送手段の選択と手配航空機や船舶、トラックなど最適な輸送手段の選択と予約
通関手続き輸出入に必要な書類の作成と手続き代行
倉庫保管の手配必要に応じて中継地点での保管サービスの手配
貨物保険の手配輸送中の貨物に対する保険の提案と手配
ドキュメンテーション各種輸送書類の作成と管理
複合一貫輸送複数の輸送手段を組み合わせたドア・ツー・ドアサービスの提供

フォワーダー業務の特徴は、顧客のニーズに合わせたカスタマイズされたサービスを提供できることです。また、フォワーダーは各国の輸出入規制や関税制度に精通しているため、スムーズな国際取引をサポートできます。たとえば、特定の国への輸出に必要な特別な許可や証明書の取得など、複雑な手続きも代行することがあるでしょう。

国際物流に関する専門知識と経験を活かせれば、コストと時間の最適化を図れます。業務に必要な知識は入社後に学べる企業を見つければ、未経験から挑戦できるでしょう。

海外と関わる仕事に興味がある方は、「珍しい仕事って何?メリット・デメリットや正社員を目指しやすい職種を紹介」のコラムで世界で活動する珍しい仕事を解説しているので、あわせてチェックしてみてください。

5.情報処理業務

情報処理業務は、物流に関するさまざまなデータを収集、処理、分析し、効率的な物流システムの運営をサポートする仕事です。物流の全プロセスを支える重要な役割を果たしています。

情報処理業務の主な内容は、以下のとおりです。

受発注管理顧客からの注文情報の処理と供給者への発注管理
在庫管理リアルタイムでの在庫状況の把握と分析
配送計画最適な配送ルートの設計と配車計画の立案
トラッキング商品の現在位置や状態のリアルタイム追跡
データ分析物流データの分析による業務改善提案
システム管理物流管理システムの運用とメンテナンス

情報処理業務の特徴は大量のデータを迅速かつ正確に処理し、今後の行動や対応を考えるために役立てることが大切です。たとえば、過去の配送データを分析することで、需要予測や最適な在庫量の算出が可能になります。また、リアルタイムでの情報共有により、問題発生時の迅速な対応もできるようになるでしょう。

6.出荷・配送業務

出荷・配送業務は、倉庫から商品を出荷し、効率的なルートで配送先まで運び、確実に届けることを目的としています。商品を最終的に顧客の手元に届けるまでの一連のプロセスを担う重要な業務です。
出荷・配送業務の主な内容には以下のようなものがあります。

ピッキング出荷指示に基づいて倉庫から商品を取り出す作業
梱包配送中の商品保護のための適切な梱包
出荷検品数量や品質の最終確認
配送ルート計画効率的な配送ルートの設計
配送実際に商品を運搬し、指定の場所に届ける作業
配達確認配達完了の確認と記録

出荷・配送の質は顧客満足度に直接影響を与えるため、正確性とスピードが求められます。特に、EC(電子商取引)の普及により、同日配送や翌日配送など短納期のサービスを導入する企業もあるでしょう。これに対応するための効率的な業務システムの構築が求められています。

また、配送の正確性も重要です。誤配送や配送遅延は顧客満足度を大きく下げる要因になります。バーコードやRFIDタグを使用した商品管理システムの導入や、GPSを活用したリアルタイムの配送状況把握などが行われているでしょう。

運輸業界の代表的な職種一覧

運輸業界は陸運、海運、空運の3つの主要分野に分けられ、それぞれ人や物を運ぶ重要な役割を担っています。以下では、運輸業界の代表的な職種を陸運、海運、空運に分けて一覧にしました。運輸業界にどのような職種があるか気になる方は、チェックしてみてください。

陸運

陸運は、道路や鉄道を利用した輸送を担います。陸運にある代表的な職種は、以下のとおりです。

職種主な仕事内容
トラック運転手商品や原材料を目的地まで運ぶ仕事です。長距離ドライバーや配送ドライバーなど、仕事の内容によってさまざまな種類があります。
タクシー運転手乗客を目的地まで安全に送り届ける仕事です。地理に詳しいことや接客スキルが求められます。
バス運転手路線バスや高速バスなどを運転し、乗客を運ぶ仕事です。定時運行と安全運転が重要です。
電車運転士電車やモノレールなどを運転する仕事です。正確な時間管理と安全運転が求められます。
倉庫作業員物流センターで商品の入出荷や在庫管理を行う仕事です。効率的な作業と正確な管理が必要です。

これらの職種は、安全性と正確性が求められます。私たちの日常生活に密接につながっており、社会を支える重要な役割を果たしている仕事といえるでしょう。

海運

海運は、船舶を使って人や物を海上で輸送する分野です。この分野には、以下のような職種があります。

職種主な仕事内容
船員貨物船や旅客船などで働く仕事です。航海士や機関士、甲板員など、さまざまな役割があります。
港湾作業員港で船舶の積み降ろしや荷物の管理を行う仕事です。クレーン操作やフォークリフト運転などのスキルが必要です。
海運会社の オフィスワーカー船舶の運航管理や顧客対応を行う仕事です。国際的な業務も多く、語学力が求められることがあります。
船舶管理者船舶の安全運航や保守管理を行う仕事です。技術的な知識と管理能力が必要です。
水先案内人大型船舶を安全に港に導く専門家です。高度な技術と経験が求められる仕事です。
海運は国際貿易や物流において重要な役割を果たしており、グローバル経済を支える基盤となっています。これらの職種は、長期間の乗船や不規則な勤務形態が特徴です。

 

たとえば、船長や航海士は数ヶ月にわたる航海に従事することもあります。また、海上での安全確保や環境保護に関する国際的な規制にも精通している必要があるでしょう。

空運

空運は主に航空機による輸送を担います。この分野にある主な職種は以下のとおりです。

職種主な仕事内容
パイロット航空機を操縦する仕事です。国内線や国際線のさまざまな路線を担当します。
客室乗務員機内で乗客のサービスや安全管理を行う仕事です。語学力やホスピタリティが求められます。
航空管制官航空機の安全な離着陸や飛行をサポートする仕事です。高度な専門知識と冷静な判断力が必要になります。
航空整備士航空機の点検や修理を行う仕事です。高度な技術知識と細心の注意力が求められます。
グランドスタッフ空港で乗客のチェックインや搭乗手続きを行う仕事です。接客スキルと正確な業務遂行能力が必要です。

空運はグローバル化が進む現代社会において、人や物の迅速な移動を可能にする重要な役割を果たしている仕事です。また、空運は世界中とつながる国際物流の最前線で、日々変化するスケジュールや突発的な対応が求められる傾向があります。そのため、柔軟性や挑戦心がある人が向いているでしょう。

必要な資格やスキルは仕事によって異なる

運輸業界の仕事に必要な資格やスキルは、職種によって異なります。たとえば、トラック運転手には大型自動車免許、船員には海技士の資格、パイロットには操縦士の免許が必要です。

また、技術的なスキルだけでなく、安全意識や時間管理能力、コミュニケーションスキルなども求められるでしょう。接客を伴う職種では、語学力やホスピタリティが必要になります。

運輸業界で働く際には自分の興味や適性に合った職種を選び、必要な資格取得やスキル向上に努めることが大切です。自己分析をしっかりと行うことで、自分の興味や適性が明確になれば、向いている仕事も見極めやすくなりますよ。

自分に合う仕事をする大切さって?その特徴や仕事探しの方法」のコラムでは、自分に合う仕事に就くことが大切な理由や自分に合う仕事を見つけるための方法を解説しているので参考にしてみてください。

ハタラクティブ プラス在籍アドバイザーからのアドバイス

吉田 聖斗

吉田 聖斗

運輸業界には、「旅客輸送」と「貨物輸送」の2つがあります。
旅客輸送とは人々を目的地まで運ぶ事業で、バス、タクシー、鉄道、航空、船舶などが含まれるでしょう。近年は、MaaS(Mobility as a Service)といった新たな移動サービスの登場や、自動運転技術の開発など、変化の激しい業界でもあります。
貨物輸送はモノを目的地まで運ぶ事業で、トラック、鉄道、航空、船舶などが含まれます。貨物輸送は、効率的な輸送、安全な荷扱い、コスト削減などが求められるでしょう。近年は、EC市場の拡大に伴う宅配需要の増加や、物流の自動化・効率化への取り組みなどが注目されています。

運輸業界の平均年収

運輸業界の平均年収は、個人のスキルや経験、勤務する企業によって異なります。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査の概況(5)産業別にみた賃金(p.10)」によると、運輸業・郵便業の平均賃金は30万4,700円です。12ヶ月分で計算した場合、運輸業界の平均年収は365万6,400円となります。ただし、これには各種手当や残業代が含まれていないため、あくまで目安程度に捉えておきましょう。

また、平均年収は職種によっても変動します。職業情報提供サイトjobtagによると、陸運の職種の一つである「倉庫作業員」の平均年収は約393万円です。海運の「港湾荷役作業員」の平均年収は約605万円、空運の「パイロット」は1779万円と、職種によって差があることが分かります。

一般的に、大手企業や専門性の高い職種ほど年収が高い傾向にあるためだと考えられるでしょう。また、未経験から挑戦する場合、平均年収を下回る可能性があることも念頭に置いておくことが大切です。

高収入を目指したい方は、「高収入の仕事を一覧でご紹介!役立つ資格や就職するときのポイントも解説」のコラムもあわせてチェックしてみてください。

参照元
厚生労働省
令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況
職業情報提供サイトjobtag
トップページ

運輸業界の現状

運輸業界は、日本の経済活動を支える重要な役割を担っています。市場規模の推移や人手不足の問題など、業界を取り巻く環境は大きく変化しているでしょう。
ここでは、運輸業界の現状について、市場規模の推移と人手不足の問題に焦点を当てて説明します。

市場規模の推移

運輸業界の市場規模は、日本経済の動向や社会構造の変化に影響されやすいといえるでしょう。国土交通省の「我が国の物流を取り巻く状況 国内貨物輸送量の推移(p.5)」によると、国内貨物輸送量は、ほぼ横ばいで推移していたが2020年度は大幅に減少していることが分かります。

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大によって工場が稼働停止したり、イベントや観光が中止になったりして経済活動の停止が影響していると考えられるでしょう。2021年には回復傾向がみられます。

また、同資料の「直近の物流の変化 (BtoB物流)(p.6)」をみると、物流件数は倍増し、物流の小口多頻度化が急速に進行しています。近年、eコマースの急成長に伴い、宅配便やBtoCの物流サービスの需要が拡大。これにより、特に陸運分野での市場規模が拡大傾向にあるといえるでしょう。

人手不足の問題

運輸業界において、人手不足は深刻な問題です。国土交通省の「総合物流施策大綱の概要 総合物流施策大綱(2021年度~2025年度) 概要(p.2)」にもあるように、「生産年齢人口減・ドライバー不足」が物流業界において課題となっています。

日本全体の少子高齢化により、若年労働者の確保が難しくなっている傾向があるでしょう。また、長時間労働や不規則な勤務形態、賃金水準の問題など労働条件に関する課題も人手不足の要因の一つです。

この人手不足問題に対し、業界全体でさまざまな取り組みが行われています。たとえば、働き方改革による労働環境の改善、賃金水準の引き上げ、女性や高齢者の活用、外国人労働者の受け入れなどがその例です。

しかし、人手不足の傾向がある業界は、学歴や経験を問わずに就職を目指しやすいといった魅力があります。「新しいことに挑戦してみたい」「誰かの役に立つ仕事がしたい」「これからスキルを身につけたい」という方には、適した職場を見つけられる可能性がありますよ。

誰でもできる仕事とは?在宅や高収入など職種を一覧で紹介」のコラムでは、誰でも挑戦できるおすすめの仕事や、誰でも挑戦できる仕事で自分らしく働く方法を紹介しているのでチェックしてみてください。

参照元
国土交通省
物流関連データ

運輸業界の課題

運輸業界は日本の経済活動を支える重要な役割を担っています。しかし、先述したように人手不足や高齢化、環境問題への対応などの課題に直面しています。これらの課題は若年層の運輸業離れや労働条件の厳しさが主な原因となっており、サービスの質の低下や配送遅延、運賃の上昇などにつながる可能性があるでしょう。

環境問題への対応も避けて通れない課題です。運輸業界はCO2排出量の多い産業の一つとされており、環境負荷の低減が求められています。電気自動車やハイブリッド車の導入、モーダルシフトの推進など、さまざまな取り組みが行われていますが、コストや技術面での課題も多く、継続的な努力が必要です。

2024年問題の影響を理解しておこう

2024年問題とは、トラックドライバーの働き方に関するルールが2024年に変わり、残業時間に上限ができたことで起きる問題のことです。これまで運輸業界では、長時間働くことで荷物を多く運んできましたが、時間の上限ができたことで、これまで通りの量を運ぶのが難しくなるでしょう。

その結果、「荷物の到着が遅れる」「ドライバーが足りない」などの影響が心配されています。特にネット通販や宅配の需要が増えているため、物流の安定は重要な課題です。

この問題をきっかけに、運輸業界では働き方を見直す動きが進んでいます。たとえば、ITの導入による業務効率化や人材確保・育成などです。2024年問題への対応は、運輸業界の持続可能性を左右する重要な課題であり、官民一体となった取り組みが求められているでしょう。

業界全体が変わろうとしているタイミングだからこそ、若く新しい人材が求められています。そのため、志望動機や自己PRなどで熱意やマッチ度をアピールすれば、未経験から採用される可能性もあるでしょう。

フリーターから就職するのは難しい?就活成功の秘訣をご紹介」のコラムでは、フリーターの就職活動の成功につながある要件やフリーターの就職成功事例をご紹介しているので、参考にしてみてください。

運輸業界の将来性

運輸業界は課題に直面しながらも、将来性のある産業として注目されています。特に、テクノロジーの進化や社会のニーズの変化に伴い、新たな事業機会が生まれています。

運輸業界における今後の動向

運輸業界の今後の動向として、デジタル化の進展や自動運転技術の発展、環境にやさしい輸送手段の普及などが注目されているでしょう。AIやIoTを活用した配車システム、ビッグデータ分析による需要予測、ブロックチェーン技術を用いた物流管理など、さまざまな分野でデジタル化が進んでいます。

自動運転技術の発展は、特にトラック輸送において長距離輸送の実用化が進んでおり、人手不足の解消や安全性の向上に期待できるでしょう。また、環境問題への対応として、電気自動車や燃料電池車などのクリーンエネルギー車の導入が進んでいます。

運輸業界は今後さらなる成長が期待されているでしょう。物の流れを支える重要な仕事として、やりがいを感じながらキャリアを積んでいけるチャンスが広がっている業界ですよ。

自分の希望するキャリアプランを考えておくと、入社後のミスマッチを防げるでしょう。「面接でのキャリアプランの答え方は?例文や思いつかない際の対処法もご紹介」のコラムでは、キャリアプランの意味やキャリアプランが思いつかないときの対処法を解説しているので、参考にしてみてください。

運輸業界で働くメリット・デメリット

運輸業界にも働くメリットとデメリットがあります。両方を理解することで、自分に合った職業選択ができるでしょう。

運輸業界で働くメリット

運輸業界で働くメリットには、以下が挙げられます。

  • ・社会に不可欠な仕事である
  • ・仕事が安定している
  • ・幅広いキャリアパスがある
  • ・新しい知識やスキルを身につける機会がある

運輸業界は経済活動の基盤です。運輸業界の従事者として社会の円滑な運営に直接貢献していることを実感できれば、仕事へのモチベーションにつながるでしょう。

運輸業界は人々の生活に必要不可欠なサービスを提供しているため、長期的な雇用も期待できます。また、運輸業界にはドライバーや船員といった現場の仕事から、物流管理、経営企画、顧客サービスなど、さまざまな職種があります。幅広い選択肢のなかから、自身の適性や興味に合ったキャリアを積めるでしょう。

運輸業界はテクノロジーの進化に伴い、新しい知識やスキルを身につける機会があるのもメリットの一つです。AIやIoTを活用した物流システムの運用、自動運転技術の開発など、最先端の技術に触れることができる可能性があるでしょう。

運輸業界で働くデメリット

運輸業界で働くデメリットは、以下のとおりです。

  • ・勤務時間が不規則になりがち
  • ・体力が求められる
  • ・人手不足で業務量が増える可能性がある

運輸業界は夜間や早朝に仕事を行ったり、土日祝日も関係なく働いたりする傾向があるため、プライベートの時間を調整しづらい可能性があります。荷物の積み下ろしや長時間運転が求められる職場では、心身的な負担も掛かりやすくなるでしょう。

また、対策はされているものの、人手不足の状況は続いていることから一人ひとりの業務量が増える可能性も考えられます。そのため、繁忙期や納期に追われると、仕事のプレッシャーが大きくなる場合もあるでしょう。

精神的に楽な仕事がしたい方は、「精神的に楽な仕事の特徴とは?見つけ方やおすすめの職業を紹介」のコラムで該当する職業例を挙げています。精神的に楽な仕事に就くメリットとデメリットも解説しているので、チェックしてみてください。

運輸業界はどのような人が向いている?

運輸業界に向いている人にみられる特徴には、以下が挙げられます。
・責任感がある
・時間管理能力がある
・柔軟性がある
・コミュニケーション能力がある
運輸業界では約束した時間通りに配送を完了させる責任感と、効率的な時間管理能力が必要です。また、天候の変化や交通状況など予期せぬ事態に直面した場合、状況に応じて臨機応変に対応できる柔軟性が求められます。

顧客や同僚、取引先との円滑なコミュニケーションは、業務を円滑に進めるうえで重要なスキルです。顧客対応で説明したり、クレームの対応をしたりする場合もあるので、コミュニケーション能力があると業務で役立つでしょう。

未経験から運輸業界へ就職・転職するならプロに相談しよう

未経験から運輸業界への就職や転職を考えている方は、就職・転職エージェントのプロに相談するのがおすすめです。プロ視点で自分のスキルや経験がどのように活かせるか、どのような準備が必要かといったアドバイスを受けることで、選考がスムーズに進みやすくなるでしょう。

「未経験から運輸業界に挑戦したい」「自分に合った仕事の探し方が分からない」という方は、就職・転職エージェントのハタラクティブへご相談ください。ハタラクティブは、フリーターや既卒など若年層の就職・転職支援に特化しています。

経験やスキルではなく、あなたの個性や自分では気がつけていない得意なこと、興味のあることを活かせる仕事をご提案。ご紹介する企業は未経験者を積極的に採用しているため、研修制度が充実しているのもポイントです。

また、応募書類の添削や面接対策も行うので、未経験の職に挑戦する方や就職・転職活動をしたことがない方も、安心して取り組めるでしょう。サービスはすべて無料なので、お気軽にお問い合わせください。

運輸業界に関するQ&A

ここでは、運輸業界に関する疑問をQ&A形式で解説します。

「運輸業界はやめとけ」といわれる理由は?

「運輸業界はやめとけ」という意見もありますが、すべての人に該当するわけではありません。コラムの「運輸業界で働くメリット・デメリット」で解説したように、運輸業界にも、働くメリット・デメリットが存在するように、人によって向き不向きがあります。

たとえば、運輸業界は勤務時間が不規則な傾向があるので、ライフワークバランスを重視したい方は、希望する働き方が難しいと感じる可能性があるでしょう。運輸業界の現状と将来性を十分に理解したうえで、自分に合っているかどうかを見極めることが重要です。

未経験から大手企業に就職するのは難しいですか?

未経験者が運輸業界の大手企業に就職することは可能ですが、ハードルは高めでしょう。大手企業や有名企業は知名度が高かったり、待遇が良かったりするため、スキルや経験が豊富な人が集まりやすいためです。
未経験者が大手企業に就職するためには、業界知識の習得や関連資格の取得が有効です。また、中小企業にも優良企業はあるため、視野を広げて求人を探すと内定獲得に近づけるでしょう。
優良中小企業で働きたい!特徴や探し方は?メリット・デメリットも解説」のコラムでは、優良中小企業の特徴を解説しているので、参考にしてみてください。

運輸業界に挑戦したいけど志望動機が思いつきません

運輸業界への志望動機を考える際、自分の興味や価値観と業界の特性を結びつけることが重要です。業界研究を深めて自分なりの志望動機を見つけ、自身の経験と関連付けて具体的に説明できるよう準備しておきましょう。
就職・転職エージェントのハタラクティブでは求人の紹介はもちろん、志望動機を含む履歴書・職務経歴書の効果的な書き方をアドバイス。添削も行っているので、書類選考通過率UPを目指せますよ。ビデオ電話のみではなく、LINEを通して気軽に相談できるので、お気軽にお問い合わせください。

後藤祐介

監修者:後藤祐介

京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。
ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。

資格 : 国家資格キャリアコンサルタント国家資格中小企業診断士
メディア掲載実績 : 「働く」をmustではなくwantに。建設業界の担い手を育て、未来を共創するパートナー対談定時制高校で就活講演 高卒者の職場定着率向上へ【イベント開催レポート】ワークリア障がい者雇用セミナー
SNS : LinkedIn®YouTube