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経歴詐称は罪?バレる理由や該当する刑事罰について解説

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この記事のまとめ

  • 経歴詐称をすると、状況によっては罪に問われる
  • 経歴詐称には「学歴詐称」「職歴詐称」「犯罪歴詐称」がある
  • 経歴詐称は、面接時や入社後の手続きでバレる可能性が高い
  • 経歴詐称が罪に問われると、詐欺罪や私文書偽造罪などの刑事罰に該当する

自分の経歴に自信がないと、「経歴詐称は罪になる?」「バレた人はどうなる?」など、考えることがありますよね。経歴詐称をすると、内定が取り消されたり解雇されたりするのみではなく、状況によっては刑事罰を受ける可能性もあります。

また、経歴詐称は選考時のリファレンスチェックや、入社時の手続きなどで発覚することが多いようです。「バレないだろう」と安易な気持ちで経歴を詐称すると、今後のキャリアに傷を付けてしまうこともあります。

このコラムでは、キャリアアドバイザーの八木さんのアドバイスを参考に、経歴詐称の種類や罪に問われた場合に該当する刑事罰についてまとめました。経歴詐称はどのような状況であっても避けて、正直に伝えましょう。

経歴詐称とは?罪に問われる?

経歴詐称とは、自分の過去に関する事実を偽ることです。たとえば、学歴や職歴、犯罪歴などが該当します。自分の経歴を実際のものより良くして、採用側へ好印象を与えることを目的に行われるようです。

ここでは、経歴詐称の種類や「罪に問われるかどうか」について詳しく解説します。

経歴詐称の種類

経歴詐称には「学歴詐称」「職歴詐称」「犯罪歴詐称」など、さまざまな種類があります。いずれも発覚すると罪に問われる可能性があるため、「どのようなことが詐称に該当するのか」を理解しておくことが大切です。

学歴詐称

学歴詐称とは、自分の学業に関する経歴を偽ることをいいます。たとえば、「実際には卒業していない学校の卒業資格を持っていると偽る」「最終学歴が高校にも関わらず大学と偽る」などです。

選考時に有利に働くよう、実際の学歴より高い学歴に詐称することが多いですが、中には低学歴に詐称することもあります。採用試験の応募資格が高卒者だったり、卒業した学校名を伏せたかったりするときに行われるようです。

学歴詐称について詳しく知りたい方は、「学歴詐称はバレる?罪に問われる?就活や転職で経歴に嘘をつくリスクとは」のコラムも参考にしてください。

職歴詐称

自分が働いてきた経歴を偽ることを、職歴詐称といいます。職歴詐称に当たるのは、勤務先や業務内容、在職していた期間、就いていた役職などを偽ったときです。さらに、転職回数や保有資格の虚偽もこれに該当します。

ただし、転職活動では履歴書や職務経歴書に自分の経歴を書ききれず省略したり、身に付けたスキルの書き方が不十分で採用側に伝わらなかったりする場合は、職歴詐称とはいえません。相手から疑われないように、分かりやすい伝え方を考えておきましょう。

犯罪歴詐称

犯罪歴詐称は、自分の犯罪歴を隠すことです。履歴書に賞罰欄がある場合、有罪が確定した犯罪については記載する必要があります。ただし、不起訴になったものや執行猶予期間が経過したもの、少年犯罪などは記載しなくても詐称には当たりません。

経歴詐称をすると状況によっては罪に問われる

経歴詐称をすると必ずしも罪に問われるというわけではありませんが、状況によっては刑事罰を受ける可能性があります。経歴詐称が罪に問われたとき該当する刑事罰」で詳しく後述しますが、経歴詐称したことによって不正な利益を得たり、企業側に不利益を被らせたりしたときは、詐欺罪や私文書偽造罪に該当し刑事罰を受けることになるでしょう。

経歴詐称はこんな時に発覚する!3つのバレる理由

経歴詐称はこんな時に発覚する!3つのバレる理由

  • 面接やリファレンスチェック時
  • 雇用保険被保険者証や源泉徴収票の確認時
  • 人伝の情報やSNSの利用時

経歴詐称は、選考時のリファレンスチェックや入社時の手続きで発覚することが多いようです。「経歴詐称してもバレないのでは?」と考えている方は、以下を参考にして「経歴は決して誤魔化せないものだ」ということを認識してくださいね。

1.面接やリファレンスチェック時

経歴詐称は、面接時やリファレンスチェック時に発覚しやすいようです。面接では、応募書類に記載されていることと実際の話が噛み合わなかったり、面接官からの質問に上手く答えられなかったりすると、不信感や違和感を与えてしまうでしょう。

また、採用プロセスの一環としてリファレンスチェックを行っている企業も多く、そこで発覚することもあります。リファレンスチェックとは、過去の職場に連絡をして、応募者の経歴や人柄を確認することです。これによって、「前職での役職が違っていた」「在職期間が履歴書に書かれているものと異なる」など、職歴詐称が採用前に発覚します。

2.雇用保険被保険者証や源泉徴収票の確認時

経歴詐称が発覚するタイミングとして、入社の手続き中も挙げられます。転職先へ入社する際は、雇用保険の被保険者証の提出が必要です。被保険者証には前職を退職した日付や社名が明記されているため、実際に提出した経歴と一致しない場合、経歴詐称が疑われることになります。

また、年末調整の際に必要な源泉徴収票で経歴詐称がバレることも。前職の源泉徴収票からは、勤めていた企業名や収入が把握できるため、入社前に伝えていたことと異なっていると改めて確認される場合があります。

3.人伝の情報やSNSの利用時

人伝の情報やSNSから、経歴詐称が発覚することもあります。「前職の上司と転職先の上司がつながっていた」「営業先に前職の同僚がいた」などで、人伝に経歴を偽っていることがバレる可能性は十分考えられるでしょう。

さらに、SNSを利用している人が多い現代では、ネット上の投稿と実際の経歴が異なることで詐称が発覚することもあるようです。経歴や職歴詐称はバレない?バレた人はどうなるの?リスクと就職時の心構え」のコラムでも、経歴詐称が発覚する理由やバレたときの処分についてまとめられているので、あわせてご覧ください。

経歴詐称が罪に問われたとき該当する刑事罰

経歴詐称は状況によっては、詐欺罪や私文書偽造罪などに該当する場合があります。以下では、経歴詐称することで科せられる可能性のある刑事罰について詳しくまとめました。

詐欺罪

経歴詐称することで何らかの利益を得た場合は、詐欺罪に問われる可能性があります。たとえば、実際には持っていない学歴や資格を偽って働いたり、手当を受け取ったりするような場合です。詐欺罪は「刑法246条(第1項)」で、10年以下の懲役に処すると定められています。

私文書偽造罪

私文書偽造罪とは、第三者の名義を勝手に使用して文書を作成したり、改ざんを加えたりする行為です。たとえば、「卒業証明書や資格の取得証明書などを偽造する」「応募書類に偽名を使う」などがこれに該当します。私文書偽造罪は「刑法159条(第1項)」で、3ヶ月以上5年以下の懲役に処すると定められているものです。

公文書偽造罪

公的機関が作成する文書に虚偽の内容を記入したり、改ざんしたりする行為は公文書偽造罪に当たります。たとえば、保険証や運転免許証、国立教育機関の卒業証明書などです。公文書偽造罪は、「刑法155条(第1項)」で、1年以上10年以下の懲役に処すると定められています。

軽犯罪法違反

軽犯罪法違反は、社会の秩序や道徳に反する軽度の犯罪をいいます。虚偽の報告や申告など、比較的軽い経歴詐称も、場合によっては軽犯罪法に違反することがあるようです。

軽犯罪法第1条15号」では、「官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号もしくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称した者」、あるいは「資格がないのに、法令により定められた制服もしくは勲章、記章その他の標章に似せて作ったものを用いた者」を、拘留または科料に処するとしています。

たとえば、学校を中退している場合に「卒業して学位を得た」と偽ることは、軽犯罪法に触れる行為です。

民事責任

経歴詐称は、刑事罰を科せられるより民事責任が問われることが多い傾向があります。企業の就業規則に基づいて懲戒解雇や損害賠償の請求が行われる恐れもあるため、自身のキャリアだけではなく今後の人生に大きな影響を及ぼす可能性があるでしょう。

懲戒処分や内定取り消し

経歴詐称を行うと、企業の就業規則に則って内定の取り消しや懲戒処分を受ける可能性があります。処分の内容は企業によって異なりますが、企業にとって「重要な経歴」を詐称したと判断された場合、懲戒処分の中で最も重い「懲戒解雇」となる場合もあるでしょう。

懲戒処分の種類については、「仕事をクビになったらどうする?解雇される理由や不当解雇の対処法を解説」のコラムでも触れているので、あわせてご覧ください。

損害賠償の請求

詐称した経歴で採用され、企業に損失を与えた場合は損害賠償を請求される恐れもあります。たとえば、職歴や資格を詐称し手当を受け取っていたにも関わらず、それに見合った働きができず企業に損害を与えたときは、賠償金を支払わなければならないでしょう。

経歴詐称に時効はある?

経歴詐称に関する犯罪には、一定の期間が経過すれば公訴を提起できなくなる「時効」が存在し、具体的な時効の期間は該当する罪によって異なります。しかし、企業が労働者を懲戒する権利には、時効はないようです。入社してからの勤務態度や働きぶりによって処分されるか否かは変わりますが、経歴詐称が発覚してしまうと社会的信用を失うことは確かでしょう。

参照元
e-Gov法令検索
刑法
軽犯罪法

経歴詐称はどのような場合でも避けよう!

「自分の経歴に自信がない」「採用されないのでは」など不安になっても、経歴詐称は避けましょう。経歴詐称をすると会社からの信用を失うのみではなく、内定取り消しや解雇といった処分を受けたり、法的な責任を問われたりする可能性もあります。また、採用した企業側や同僚などにも迷惑が掛かるため、どのような状況であっても自分の経歴は正直に伝えましょう。

ハタラクティブ プラス在籍アドバイザーからのアドバイス

八木寛斗

八木寛斗

学歴やキャリア、スキルなどに自信がないと、「経歴を詐称して見栄えの良い履歴書を提出できたら…」と考える方もいますよね。しかし、経歴詐称を行うと社会的信用を失墜し、法的にも罰せられる恐れがあるので避けましょう。

自分に自信が持てず悩んでいる方は、転職エージェントを活用することをおすすめします。転職エージェントでは、転職のプロが自分だけでは気付かなかったあなたの強みを引き出し、最大限にアピールできる方法をアドバイス。また、見落としがちなミスを事前に回避し、意図せず経歴詐称となってしまうリスクが回避できるかと思います。

自分の経歴に自信がない方や伝え方が分からない方は、転職エージェントを活用してみるのも一つの方法です。若年層を中心に支援を行っているハタラクティブでは、専任のアドバイザーがマンツーマンでカウンセリングを行い、求職者の強みや企業へのアピールの仕方などをアドバイスしています。

また、未経験者やフリーターを歓迎している求人も取り扱っているので、自分の経歴に自信が持てなくても安心して応募できるのが特徴です。サービスはすべて無料でご利用いただけるので、「今の自分を受け入れてくれる企業を見つけたい」と考えている方は、ぜひ一度ご相談ください。

経歴詐称に関するFAQ

ここでは、経歴詐称に関しての疑問にQ&A形式でお答えしていきます。

経歴詐称が罪になる場合どの刑法が該当する?

経歴詐称が罪になる場合、詐欺罪や私文書偽造罪、公文書偽造罪に該当する可能性があります。たとえば、実際には持っていない学歴や資格を「持っている」と偽って働き、手当を受け取っていた場合は詐欺罪に当たるようです。詳しくは、このコラムの「経歴詐称が罪に問われたとき該当する刑事罰」を参考にしてください。

経歴詐称がバレた人はどうなる?

経歴詐称がバレた場合、社会的信用が失われるのみではなく、民事責任を問われたり刑事罰を科せられる可能性があります。問われる民事責任は企業が定めている就業規則によって異なりますが、経歴詐称は解雇事由に該当する場合が多いため、懲戒処分で最も重い懲戒解雇を受ける恐れも。

また、経歴詐称によって企業に与えた損害額が明確であれば、損害賠償を請求されることもあります。さらに、刑法に反する行為があったと認められれば刑事訴追され、罰金や懲役刑を受けて自身の人生に大きな影響を及ぼすでしょう。

経歴詐称して結婚すると罪になる?

経歴詐称して結婚した場合、それ自体が直接的に罪に問われることは少ないでしょう。なぜなら、結婚する理由は経歴のみではなく、性格や価値観などさまざまな要因によって決定するからです。
ただし、結婚した後に真実が明らかになったとき、パートナーとの信頼関係が破綻し、離婚や損害賠償の請求につながる可能性はあるでしょう。

社会保険の手続きで学歴はバレる?

社会保険の手続きで、企業側が学歴を確認することはないでしょう。
ただし、保険料の計算や雇用保険の適用範囲などの確認過程で、勤務実態と昔の記録が一致しないことから疑問が生じ、経歴を詳しく調査されることは考えられます。

後藤祐介

監修者:後藤祐介

京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。
ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。

資格 : 国家資格キャリアコンサルタント国家資格中小企業診断士
メディア掲載実績 : 「働く」をmustではなくwantに。建設業界の担い手を育て、未来を共創するパートナー対談定時制高校で就活講演 高卒者の職場定着率向上へ【イベント開催レポート】ワークリア障がい者雇用セミナーSNS : LinkedIn®YouTube