ハタラクティブ
ハタラクティブ

パワハラでの退職は会社都合?事前にすることや強要された際の対処法を解説

パワハラでの退職は会社都合?事前にすることや強要された際の対処法を解説の画像

この記事のまとめ

  • パワハラによる退職は、会社都合として処理するのが基本
  • パワハラで退職し会社都合退職すると、失業保険の受給期間が長くなるのがメリット
  • パワハラに当てはまる例としては、身体的・精神的な攻撃などがある
  • パワハラで退職に追い込まれたら、損害賠償や慰謝料、退職金の要求が可能

パワハラを受けて退職すると、会社都合になるのか、自己都合になるのか気になる方もいるでしょう。パワハラを受けて退職すると会社都合か自己都合かが分からないと、失業保険を受け取れる期間や金額が計算できずスケジュールを立てるのが難しくなりますよね。

パワハラが原因で退職する場合、「会社都合」になるのが基本です。パワハラの事実や会社都合を認めない企業もあるので、しっかり証拠を残しておくと良いでしょう。

このコラムでは、キャリアアドバイザーの北島さんのアドバイスを交えながら、パワハラで退職すると会社都合になるかを解説しています。また、会社を辞める前にすべきことや退職を強要されたときの対処法もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

パワハラを理由に退職するのは会社都合になる?

パワハラを理由に退職する場合、「会社都合」になるのが基本です。ただし、企業によって、会社都合と認めない場合もあるので注意しましょう。

「自己都合」と「会社都合」どちらを選択するかによって、申請できる保証に差が生まれたり、転職活動に関わったりすることもあるので、違いも理解しておくことが大切です。

パワハラであると認められれば会社都合

パワハラを原因として仕事を辞めることは、解雇ではなく会社都合として処理することが原則です。厚生労働省の「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準(p.2)」によると、「事業主または当該事業主に雇用される労働者から就業環境が著しく害されるような言動を受けたことによって離職した」場合、会社都合退職となりうると表記されています。

また、産前休業、育児休暇、介護休暇、看護休暇、介護休暇の申請・取得を理由とする不利益取扱いを受けたと判断した場合も、パワハラに該当するので会社都合退職になるでしょう。「上司の指示に耐えられない自分のせいで退職するから自己退職になるのは仕方がない」と弱気になる必要はないので、パワハラを受けたと感じたら「会社都合での退職」になると理解しておくことが大切です。

参照元
厚生労働省
基本手当について

企業側が会社都合と認めないこともある

一部の企業はパワハラの事実や会社都合での退職を認めず、自己都合での退職を求めることがあります。パワハラによる会社都合を認めないのは、パワハラに関する調査や指導を受けるのを避けるための措置といえるでしょう。

ただし、前述したとおり、自己都合退職と会社都合退職では、失業手当の受給条件に差異があります。自己都合で仕事をやめた方が待機期間が長く、受給期間も短くなるため、就活中の生活も苦しくなる可能性があるでしょう。

そのため、自己都合で仕事を辞めることを勧告された場合は、抗議することが適切です。抗議するにあたって、特定受給資格者や特定退職事由に認定されるためには、同僚2名以上の証言証拠の提出を求められることがあるでしょう。

必要に応じて、弁護士や労働基準監督署といった専門の機関に相談することも検討するのがおすすめです。「退職で嫌がらせを受けたときの対処法は?ヤメハラの例や回避する方法を解説」のコラムでは、労働基準監督署での支援内容を解説しているので、チェックしてみてください。

自己都合と手続きされても会社都合に変更が可能

特定理由離職者と認められれば、自己都合と手続きされても会社都合に変更が可能です。退職理由を変更したい場合は、ハローワークへ相談しましょう。

ただし、変更に値する証拠を求められる場合があるので、あらかじめ用意しておく必要があります。場合によっては、医師の診断書の提出や監督機関、弁護士などによる事実関係の調査が必要となる場合もありますが、自己都合を認めたあとでも会社都合に変更することは不可能でないことは知っておきましょう。

自己都合退職と会社都合退職の違い

「会社都合退職」とは、会社の倒産や解雇など会社側の都合によって雇用契約が終了することを指します。一方「自己都合退職」とは、転職や結婚、転居など労働者側の個人的な都合で雇用契約が終了することです。

これらの違いによって失業手当の受給条件が異なるため、事前に把握しておきましょう。また、退職理由は離職票に記載されているので、退職後手元に届いたら相違がないかしっかり確認することが大切です。

ハタラクティブ プラス在籍アドバイザーからのアドバイス

北島愛純

北島愛純

パワハラでの退職の場合には、会社都合退職として扱われることとなります。会社都合退職のほうが失業保険を受給する際に有利になる場合があるでしょう。

ただし、転職活動では、退職した理由を詳しく聞かれることもあるので不利になる可能性も。会社都合の退職にするために会社との交渉を有利に進めるには、パワハラの証拠を集めたり、弁護士に相談したりするなどの手段が有効ですよ。

転職活動で不利にならないためにも、退職した理由をしっかり説明できるようにしておきましょう。

パワハラで退職するときの具体例

パワハラとは職場や社会での権力や地位を利用して、他者を不当に攻撃したり威圧したりする行為です。厚生労働省の「パワーハラスメントの定義について(p.3)」によると、「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」の5つの行為が該当すると定義付けられています。

以下で、それぞれ解説するので、パワハラに該当するか判断に迷ったときの参考にしてみてください。

身体的な攻撃

殴打や足蹴りなど、肉体的な傷害を与える行為は、パワハラに該当します。また、暴力を振るわれなかったとしても、胸ぐらを掴まれたり、力をかざすふりをされたりする場合も、身体的な攻撃として認められることがあるでしょう。

精神的な攻撃

過度に厳しい叱責やほかの従業員の面前での威圧的な叱責など、精神的な苦痛を与える行為もパワハラといえるでしょう。精神的な攻撃は実態が見えにくく、判断が難しい場合があります。

たとえば、「やる気がないのか」「学生からやり直せ」といった人格を否定するような発言が日常的に続くのであれば、精神的な攻撃としてパワハラの認定を受けられるでしょう。

人間関係からの切り離し

意図的に会議や打ち合わせから外したり、仕事を割り振らずに孤立させたりして人間関係から切り離す行為もパワハラです。過剰な指導の例とは異なり、組織的なパワハラ行為ともいえるでしょう。

この場合、「いじめ」と取れる行為のため、パワハラと認識されやすいです。職場での人間関係が原因で退職するか悩んでいる方は、「仕事に行けない理由が分からない…避けるべき行動や続くときの対処法を解説」のコラムで避けるべき行動を解説しているのでチェックしてみてください。

過大な要求

業務で過大な要求をされるのも、パワハラを受けている可能性があるでしょう。過大な要求とは、業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制する、仕事の妨害をするなど、過度な要求をする行為を指します。

ただし、社員育成のために少しレベルの高い業務を任されることは、パワハラに該当しないので注意しましょう。

過小な要求

過大な要求とは反対に、過小な要求をされるのもパワハラに該当する場合があります。たとえば、業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた難易度の低い仕事を命じることが挙げられるでしょう。

また、退職を促すために仕事を与えないといった行為も該当します。ただし、繁忙期や閑散期、本人の能力によって仕事量を増減することはパワハラには当たらないことも留意しておきましょう。

個の侵害

私的なことに過度に立ち入る、機微な個人情報を無断で暴露するなど、プライバシーの侵害にあたる行為もパワハラといえます。ただし、プライバシーの侵害は判断基準が難しいことを理解しておく必要があるでしょう。

たとえば、「休日何をしているか」という質問を例にしても、不快に思う方もいれば、興味を持ってくれていると感じ、会話に華が咲くこともあるでしょう。このように、相手の捉え方の基準によって、パワハラの線引が変わることも理解する必要があります。

過度な監視もパワハラの対象になる

職場での過度な監視は、パワハラとみなされるでしょう。たとえば、仕事用パソコンの画面を頻繁に覗き見したり、トイレ休憩の回数を厳しく監視したりする行為などです。このような行為は、個人のプライバシーを侵害していることにつながるでしょう。

参照元
厚生労働省
第8回労働政策審議会雇用環境・均等分科会

パワハラで会社都合退職するメリット

パワハラを受けないに越したことはありませんが、パワハラを理由に会社都合退職をした場合、給付金の面で優遇を受けることができます。以下で詳しく解説しますので、参考にしてください。

失業給付金の受給までの期間が短い

会社都合で退職すると、基本手当の申請から受給までの期間は比較的短くなることがメリットです。パワハラによる会社都合退職の場合、最初の給付は失業給付申請から約1ヶ月後に振り込まれます。

一方、自己都合退職の場合は、7日間の待機期間のあと2ヶ月間(5年間で3回目以降の退職の場合は3ヶ月間)給付が制限されることも。したがって、自己都合退職の場合、仕事をやめてから給付を受けるまでに時間がかかることを把握しておきましょう。

雇用保険の基本手当の給付日数が多い

会社都合退職は、自己都合退職よりも失業保険の基本手当の支給期間が長くなることがあります。会社都合退職の場合、特定理由離職に該当し給付日数は90~330日までありますが、自己都合退職では90~50日までしかありません。

また、失業手当の3分の1以上の支給日数を残した状態で再就職すれば、「再就職手当」の申請が可能です。就活後、再び仕事を再開した後も給付金を受け取れるため、収入が増える可能性があります。

失業保険を自己都合退職後にもらうには?給付制限期間や計算方法を解説!」のコラムで、失業保険の受給条件や計算方法を解説しているので、チェックしてみてください。

会社都合退職をするデメリットはある?

退職をしたという事実だけでは、転職活動の際に不利になることもあるため注意が必要です。次の仕事を探す就活の際には、「会社都合退職」であることを履歴書に記載しましょう。

また、解雇された場合も同様に会社都合と見なされることがあるため、採用担当者からの不信感を避けるためにも、就活の際は具体的な退職理由を併記することが重要です。

パワハラで退職する際に会社に請求できるもの

パワハラで退職を余儀なくされた場合、損害賠償や慰謝料などのお金を請求できる可能性があります。パワハラで退職することが悔しいと感じる方もいるかもしれませんが、仕返しをしてしまうと逆に法的措置を取られる可能性もあるため避けましょう。

以下で、パワハラで退職する際に会社に請求できるものをまとめています。すべて個人で申請することが難しいと感じる場合は、弁護士や専門機関に相談してみるのも良いでしょう。

パワハラで退職する際に会社に請求できるもの

  • 損害賠償・慰謝料
  • 未払の残業代やボーナスを含む給与
  • 労災保険
  • 退職金

損害賠償・慰謝料

パワハラによって仕事を辞める場合には、加害者と会社に対して損害賠償や慰謝料を求めることが可能です。企業は従業員の働きやすい環境を提供する義務があるため、パワハラの防止に失敗した場合、会社も責任を負うことになります。

参照元
e-Gov法令検索
労働基準法 第四百十五条(債務不履行による損害賠償)

未払の残業代やボーナスを含む給料

パワハラによる退職後は、未払いの給料や残業代を請求できます。請求できる対象は定期賃金、一時金(賞与・ボーナス)、割増賃金、有給休暇の賃金、休業手当など、労働の対価として支払われるすべてのものです。

また、退職日までに支払われなかった賃金には遅延利息が付きます。厚生労働省の資料「未払賃金が請求できる期間などが延長されています」によると、2020年4月以降、賃金の請求が有効な期間が3年(退職金は5年)となっていますので、知っておくと良いでしょう。

参照元
厚生労働省
資料

労災保険

身体的または精神的な暴行を受け、体調が悪化して病院を受診した場合、労災保険が適用されることがあります。労災は、場所や時間帯を問わず、仕事とは直接関係のない私的な恨みによる暴行である場合まで適用範囲が広いです。

また、厚生労働省の「精神障害の労災認定基準に「パワーハラスメント」を明示します」では、2020年6月から精神障害の労災補償基準にパワーハラスメントが明記されました。労働者はパワーハラスメントによる身体的または精神的な疾病について労災を請求できます。

ただし、精神疾患の場合、ストレスの原因が複数あることから労災として認められにくい場合もあるため、しっかりと証拠を残しておくことが大切です。

参照元
厚生労働省
精神障害の労災補償について

退職金

会社に退職金制度があれば、退職時に退職金を受け取る権利があります。パワハラ被害を受け、会社都合退職の場合は退職金の増額を請求できる可能性もあるでしょう。

退職金の受け取りに必要な勤続年数は定められてはいませんが、多くの企業では3年以上の勤務で設定されていることが多いようです。一年未満の勤務で退職金を受け取れるかどうかは会社によって異なるので、就業規則で退職金の有無や条件を事前に確認しておきましょう。

退職金の種類や特徴は、「退職金は勤続何年目から支給される?制度の概要やもらえる金額を知ろう!」のコラムで解説しているので参考にしてみてください。

パワハラで退職する前にやるべき5つのこと

パワハラを受けた場合、退職を考えるのは当然ですが、退職前や就活前に解決の道を模索することも方法として考えられます。あとで後悔しないためにも、できることを知っておきましょう。

以下では、退職する前にやるべきことを5つ解説するので、参考にしてください。

パワハラで退職する前にやるべきこと

  • 相談窓口に相談する
  • 休職も視野に入れる
  • パワハラの証拠を集めておく
  • 就業規則を確認する
  • 退職前に転職先を探しておく

1.相談窓口に相談する

パワハラを受けたと感じた場合、まずは社内のコンプライアンス窓口に相談しましょう。会社は労働者が安全に働く環境を整える責任があるので、パワハラは即刻解決すべき問題として企業が解決に向けての対応策を取ってくれるかもしれません。

社内のみで解決しない場合は、労働条件相談ほっとラインや総合労働相談コーナーなどの国や各都道府県のサービスを利用するのも良いでしょう。また、弁護士に相談して慰謝料や損害賠償の請求も検討できますが、法的に訴える場合には費用がかかるので目的を明確にすることが重要です。

2.休職も視野に入れる

心身の不調で出勤できない場合は、休職することも選択肢の一つです。パワハラが原因の場合は、休業補償として平均賃金の一部が支給されることがあり、労災と認められれば、労災保険から賃金の一部が補償されるでしょう。

また、休職中も、医師の診断に基づき傷病手当金や労災保険給付を受けることが可能です。休職後に転職したいと考える場合は、「休職後の転職は不利になるって本当?おすすめのタイミングとその理由も紹介」のコラムで休職後の転職を成功させるポイントを解説しているので、参考にしてみてください。

3.パワハラの証拠を集めておく

パワハラで退職を検討するときは、あらかじめ証拠を集めておくのがおすすめです。パワハラを立証するためには、それを裏付ける証拠が求められることがあるでしょう。

具体的な証拠としては、音声や動画の録音、身体的な証拠、電子メールやメモなどが挙げられます。また、パワハラを受けた日時や場所、目撃者などを記した日記も重要な証拠とされるため、日頃からメモをつけておくのも手です。

身体的攻撃を受けていた場合は診断書も用意しよう

診断書や通院記録もパワハラの証拠になります。暴行や暴言によってケガをしたり、精神的苦痛を受けたりした場合は、主治医の診断書を用意しましょう。

受診時に被害内容を詳しく説明することが大切です。また、精神的な不調で病院に行った場合でも、診断書は忘れずに保管しておきましょう。

4.就業規則を確認する

パワハラで退職する前に就業規則を確認し、会社が適切な対応をしているか判断しましょう。「パワーハラスメント防止法」によって企業にはパワハラ対策や就業規則でもパワハラに関する措置を定める義務があります

また、退職後のトラブルを避けるためにも、給与や退職金の支払いに関する規定も確認しておきましょう。

参照元
e-Gov法令検索
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律

5.退職前に転職先を探しておく

可能であれば、退職前に転職先を探しておくのがおすすめです。失業保険を受け取りながら転職活動をするのも方法の一つですが、あらかじめ転職先を見つけておけば空白期間ができるのを避けられ、収入源も途絶えずに済むでしょう。

ただし、在職中に転職先を探していることは、先輩や同僚に伝えないほうが賢明です。パワハラが退職の理由となる場合、退職前に転職することが周囲にばれると嫌がらせや退職妨害に遭う可能性があるので注意しましょう。

職場に転職する旨を伝える必要がある場合も

前述したとおり、パワハラによる転職の場合、転職の意思を伝えることでエスカレートしてしまう可能性があるため、伝えないほうが良いでしょう。転職や就活、退職は労働者の自由であり、会社に伝える義務はありません。

ただし、転職先の入社日が決まっており、会社に事情を伝えなければならない場合もあります。その際に、パワハラが起きる可能性があれば、録音して証拠を残せるようにしておくと良いでしょう。

退職届は退職日の2週間前までに提出すれば、労働者が契約を解除できます。転職する際は、内定を得てから退職届を提出しましょう。

転職や就活を行うときのパワハラを少しでも避けたい方は「退職で嫌がらせを受けたときの対処法は?ヤメハラの例や回避する方法を解説」のコラムで回避する方法を解説しているので参考にしてみてください。

パワハラを理由に職場を退職するまでの流れ

パワハラがあることで今すぐに辞めたいと思っても、無断欠勤や突然退職を告げてしまうとトラブルの原因や損害賠償を請求される可能性があるので注意しましょう。以下で、退職するまでの流れを解説するので、慎重にかつ確実に行動できるよう参考にしてみてください。

1ヶ月前までに退職の旨を会社に伝える

パワハラで退職する場合でも、即日すぐに辞めるということは難しいでしょう。就業規則に明確な期限がない場合は、1ヶ月前までに退職届を提出するのが一般的です。

就業規則に明確な記載がある場合は、規則に従って直属の上司に退職の意思を伝えましょう。ただし、正社員の場合、法律上退職日の2週間前までに退職の意思を伝えれば、契約を解除できます。

有給休暇の消化と業務の引継ぎの準備をする

有給が残っている場合、退職前に消化することをおすすめします。特に、パワハラが原因で退職を決意した場合、退職後の出社が苦痛になる可能性があるため、有給休暇を活用してパワハラを行う上司との接触を避けるのも良いでしょう。

また、業務の引継ぎも退職前に行う必要があります。あらかじめマニュアルを作っておけば、スムーズに業務内容を伝えられるでしょう。

退職届にはパワハラについて記載しても良い

パワハラが原因で退職する場合は、退職願にその理由を明記しましょう。明記することで、退職後に損害賠償を請求する権利を守れます。

一方、会社都合による退職の場合、「一身上の都合」という表現は避けましょう。このような表現を使ってしまうと、会社都合の退職とは認められにくくなってしまいます。

退職願と退職届の違いに注意

退職を通知する書類として、退職願と退職届は基本的に同じ役割を果たします。法的には、これらが会社に届けば2週間後に労働契約を終了させることが可能です。

したがって、どちらを選択しても特に問題ありませんが、退職届は「通告」意味合いが強く、一般的に正式な手続きとして認識されています。

健康保険と年金に関する手続きを行う

退職後は、健康保険と年金に関する手続きを行う必要があります。健康保険は、以下の選択肢のなかから方法を選んで手続きを進めましょう。

  • ・国民健康保険に加入する
  • ・家族の医療保険の被保険者になる
  • ・会社の健康保険を任意的に継続する

前職の健康保険を抜ける場合は、国民健康保険に加入する必要があります。任意継続する場合は、会社の医療保険の加入期間が2ヶ月以上あると2年間延長できるでしょう。

また、退職すると自動的に厚生年金から国民年金に切り替わります。国民年金への切り替えに特別な手続きは必要ありません。

ただし、失業期間中に年金の納付が困難になった場合は、保険料の納付猶予制度を利用することができます。納付を怠ると将来の受給額に影響することがあるので、必ず納付猶予制度の手続きを行いましょう。

退職後の手続きは「会社を辞めたあとにやることを解説!退職後は保険や税金の手続きをしよう」のコラムで詳しく解説しているので、抜けがないかチェックするときの参考にしてみてください。

パワハラで退職を強要されたときの対処法

必要以上な「退職勧告」もパワハラとしてみなされるでしょう。解雇とは異なり、繰り返し「辞めてほしい」といった要求を続けることで、退職せざるを得ない状況に追い込むという会社もあるようです。

以下では、パワハラとみなされる退職勧奨に対する対処方法について解説します。

退職勧奨には応じる必要はない

企業からの退職勧奨は拒否することが可能なので、会社に退職を強要されても「退職するつもりはない」と明確に伝えましょう。さらに強要された場合は、明確なパワハラと見なされ、慰謝料を求めることも可能です。

退職勧奨を認めないことで不当解雇された場合、弁護士に相談することを検討しましょう。不当解雇されたときの対処法は「仕事をクビになったらどうする?解雇される理由や不当解雇の対処法を解説」のコラムで解説しているので、参考にしてみてください。

条件を提示して退職する

退職を受け入れる場合は、退職金や退職日、理由などの条件を提示して交渉するのも手です。会社は、解雇するよりも労働者に自ら退職してもらいたいと考えているため、交渉に応じる可能性が高いでしょう。

退職勧奨を受ける場合、退職金が通常よりも増額されたり、退職日も会社から強制されたりすることはありません。ただし、一般的に、退職勧奨における退職理由は「会社都合」ですが、自己都合に迫られても拒否することが重要です。

パワハラで退職したあとの転職活動では伝え方に注意しよう

パワハラが原因で転職する場合であっても、転職先企業から転職理由を尋ねられた場合は、そのまま理由を伝えることは避けたほうが良いでしょう。パワハラは本来あってはならないものですが、捉え方によっては「ストレス耐性が低い」「本人に問題があるのでは」と疑念を抱かれる可能性があるためです。

新しい環境でスタートを切るためにも、パワハラで退職をしたという伝え方ではなく、なるべく前向きな理由で就活を進められると良いでしょう。

「パワハラで退職したことで悪印象にならない伝え方を知りたい」「働きやすい職場を見つけたい」という方は、就職・転職エージェントのハタラクティブへご相談ください。ハタラクティブは、若年層に特化した就職・転職エージェントです。

専属のキャリアアドバイザーが悩みや希望を丁寧にヒアリングを実施。ヒアリングした内容を元にあなたにぴったりな求人や企業をご紹介致します。

ご紹介する企業は担当者が実際に足を運んだ優良企業なので、社風や業務内容などもお伝え可能。また、応募書類の添削や面接対策も実施するので、パワハラで退職したことで悪印象を与えるのを避けられるでしょう。

後藤祐介

監修者:後藤祐介

京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。
ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。

資格 : 国家資格キャリアコンサルタント国家資格中小企業診断士
メディア掲載実績 : 「働く」をmustではなくwantに。建設業界の担い手を育て、未来を共創するパートナー対談定時制高校で就活講演 高卒者の職場定着率向上へ【イベント開催レポート】ワークリア障がい者雇用セミナーSNS : LinkedIn®YouTube