転職理由の書き方は？理由別でみる例文や面接で伝えるときのポイントを解説

転職活動で履歴書を作成する際に、転職理由の書き方で悩む方もいるでしょう。正しい書き方が分からないと「書類選考で落とされるのでは」と不安になりますよね。

転職理由を書くときは、「一身上の都合により退職」「会社都合により退職」といった定型文を記載すれば問題ありません。企業側は転職理由から応募者と自社とのマッチ度を確認する傾向があるので、企業研究を行い、応募先企業に合った内容を記載しましょう。

このコラムでは、キャリアアドバイザーの吉田さんのアドバイスを交えつつ、転職理由の基本的な書き方をまとめています。また、理由別でみる例文や面接で伝えるときのポイントもご紹介しているので、これから転職活動を始める方は、ぜひ参考にしてみてください。

転職理由の基本的な書き方

転職活動で履歴書に転職理由を書くときは、「一身上の都合により退職」「会社都合により退職」といった定型文を使用するのが一般的です。転職理由を記載する職歴欄は記載できるスペースが限られています。詳細を書くと見づらくなるため、省いて完結にまとめるのが望ましいでしょう。

自己都合で退職した際は「一身上の都合により退職」を使用します。リストラや倒産など会社の都合で退職した場合は「会社都合により退職」と記載すれば問題ありません。状況に合った書き方を理解することで、採用担当者に好印象を与えられるでしょう。

ただし、自己都合退職か会社都合退職かのどちらかによって、選考が不利になるとは限りません。「会社都合退職は転職が不利になる？ばれる原因や履歴書の書き方を解説」のコラムでは、会社都合退職は転職で不利にならない理由や自己都合退職との違いを解説しているので、チェックしてみてください。

職務経歴書に転職理由を記載する必要はない

履歴書のほかに、職務経歴書を作成する場合は転職理由を記載する必要はありません。職務経歴書は、スキルや経験、実績を客観的に示すのが目的の書類だからです。

転職理由を記載すると情報が過多になり、かえって重要な情報が埋もれてしまう可能性があります。会社から指示がない限り、職務経歴書に転職理由を書くのは避けるのが望ましいでしょう。

「職務経歴書に退職理由を書かないのはOK？必要な状況と書き方の例文を解説」のコラムでは、職務経歴書に退職理由を記述したほうが良い状況や書き方の例文を解説しているので、チェックしてみてください。

履歴書と面接での転職理由の伝え方の違い

転職理由の伝え方は、履歴書に記載する場合と面接で口頭説明する場合とで異なります。履歴書では、簡潔に転職理由を記載しましょう。スペースが限られているため、要点をまとめて分かりやすく記載することが重要です。

面接では、履歴書よりも詳細に転職理由を説明することが求められます。履歴書に書き記せなかった補足や具体的なエピソードを将来のビジョンを交えて伝えることで説得力が上がるでしょう。

面接官が転職理由を確認する目的

面接官が転職理由を確認する意図を理解することで、より効果的な回答ができる可能性があります。以下で、面接官が転職理由を確認する目的を3つ解説するので、チェックしてみてください。

1.自社と応募者のマッチ度を見極めるため

面接官が転職理由を確認するのは、自社と応募者のマッチ度を見極めたいといった目的が挙げられます。企業側は自社と相性が良い人を採用して、長期的に活躍してほしいと考える傾向があるでしょう。

転職理由を聞いて「応募者が持っている価値観と自社の理念や社風が合っているか」「応募者が希望するキャリアビジョンは自社で実現できるか」を確認します。仕事の価値観や適性が応募先企業の社風や仕事内容と合っていると判断されれば、内定獲得に近づけるでしょう。

2.志望動機と一貫性があるか確認するため

転職理由と志望動機に一貫性があるかを確認するために、面接官から質問される場合もあります。たとえば、面接で転職理由を聞かれた際に「チームワークで進められる事業に参加したいと感じたため」と伝えたのにもかかわらず、履歴書の志望動機には「黙々と作業を進められるのが得意だから」といった内容を記載した場合、採用担当者に「志望動機を使いまわしているのでは」「入社意欲が低い」とネガティブな印象を与える可能性があるでしょう。

転職理由と志望動機に一貫性を持たせることで、入社意欲や熱意が伝わりやすくなります。「志望動機書の書き方やコツは？第二新卒や未経験から転職する際の例文も紹介」のコラムでは、志望動機書の基本的な書き方やコツを解説しているので、思いつかないと悩んでいる方は参考にしてみてください。

3.問題解決に向けて行動できるか判断するため

問題解決に向けて行動できるか判断するために、転職理由を聞く企業もあるでしょう。転職したいと思った原因によっては、適切な対策を行うことで問題が解消され、退職を避けられる場合があります。

改善策をしないまま退職したと判断されると、「不満が出てきたらすぐ退職するのでは」と懸念されることが考えられるでしょう。転職したいと思ったきっかけに対して、改善するために行動したことや工夫したことを伝えることで、問題解決能力のアピールにつながります。

転職理由の書き方を知りたい！理由別でみる例文

「転職したい」と思うきっかけは、人によって異なります。ハタラクティブが若年層（18～29歳）を対象に実施した独自調査「若者しごと白書2025」による正社員が就職活動・転職活動を始めたきっかけのなかで多いものは、以下のとおりです。

参照：ハタラクティブ「若者しごと白書2024 3-4. 就職活動・転職活動を始めたきっかけ（p.29）」

転職活動では、転職理由の伝え方によっては選考に影響する可能性があります。企業側の不安を払拭しつつ、採用担当者に好印象を与えられる伝え方を理由別に例文で解説するので、うまく説明できるか不安な方は参考にしてみてください。

ただし、面接では、自分の経験や言葉に置き換えて伝えることが大切です。例文はあくまで参考程度にとどめて、オリジナルの転職理由を考えてみましょう。

参照元
ハタラクティブ
若者しごと白書2025

給与が低い場合

前項の表から、給与が低いことがきっかけで転職したいと考える人は43.4%と最も多いことが分かります。給与が低い場合の転職理由の例文は、以下のとおりです。

• 「前職では営業の業務に従事し、お客さまとの良好な関係を築くことで前年度よりも△%の売上向上に貢献できました。しかし、成果と評価制度がうまく連動していないことから評価されにくい状況でした。
  
  年齢だけではなく、実力や実績を正当に評価していただける環境で、さらに貢献し、自身のキャリアを積みたいと考え、転職を決意しました。」

給与が少ないことへの不満を述べると、「業務内容よりも給与面しか着目していない」「仕事へのモチベーションが低いのではないか」とネガティブな印象を与える可能性があるので注意しましょう。キャリアアップやスキルアップと関連付けて、前向きな転職であることをアピールすることが大切です。

キャリアチェンジを希望する場合

希望していた仕事も、実際に入社してみると「自分がしたいと思っていた仕事と違う」とミスマッチを感じる場合もあるでしょう。ミスマッチを感じたまま業務のモチベーションを保つのは難しい傾向があるため、よりやりがいを感じられる仕事へ転職したいと思うきっかけになり得ます。
以下で、キャリアチェンジを希望する場合の例文を解説します。

• 「これまでの経理職で培った数字への理解と分析力を活かし、より顧客と直接かかわる営業職にチャレンジしたいと考えています。そのために、休日を利用して営業に関する書籍を読んだり、ボランティア活動で顧客対応の経験を積んだりしてきました。将来的には、営業マネージャーとしてチームを率いることを目標としています。」

未経験の業界や業種へ挑戦する場合は、なぜそのキャリアチェンジを選んだのか、どのように準備してきたのか、どのようなキャリアプランを描いているのかを具体的に説明しましょう。単なる思いつきや現状からの逃避ではなく、十分な自己分析と将来展望に基づいた決断であることを示すことが重要です。

「職種を変えるのは難しいって本当？おすすめの職種や転職もポイントを解説」のコラムでは、職種を変える転職のパターンや成功させるポイントを解説しているので、参考にしてみてください。

スキルアップのために転職したい場合

仕事をするうえで目標がなかったり、スキルアップができなかったりすると、達成感が得られずモチベーションが低下する可能性もあるでしょう。以下で、スキルアップのために転職したい場合の例文を解説します。

• 「私は将来、マーケティング戦略の立案にかかわる仕事を目指して、前職ではデータ分析スキルを磨いてきました。しかし、以前の職場ではマーケティング戦略は外注しているケースが多いことが分かり、希望するキャリアを実現できないと感じたため転職を希望しました。
  
  前職で身につけた技術と知識を活かして、さらなるスキルアップを目指し、貴社で活躍したいと考えております。」

スキルアップを目的とした転職の場合、前職で身についたスキルと、それを活かしたい分野や目標、そしてなぜ現職ではそれが難しいのかを明確に示すことが大切です。スキルアップを目的とした転職理由は企業にとってポジティブな理由と判断されやすいです。漠然とした「スキルアップ」ではなく、具体的な学習意欲と目標を伝えることで、企業への貢献意欲をアピールできるでしょう。

人間関係が良くない場合

人間関係の悪さが原因で、転職を決断する人も一定数います。職場の人間関係は業務効率やパフォーマンスに影響する可能性があるので、仕事をするうえで重要な要素といえるでしょう。
人間関係が良くないのがきっかけで転職を希望した場合の例文は、以下のとおりです。

• 「私は人とコミュニケーションをとることが好きなので、チームワークで業務に取り組んで成長できる環境で働きたいと考えています。しかし、前職では、チームワークよりも個人の実績が重視される環境でした。
  
  そのため、多様な価値観を持つ人々と協働し、互いに刺激し合いながら成長できる貴社の社風に興味を持ち、自分の力を発揮したいと考えたため転職を希望しました。」

 

人間関係の悪化を直接的に述べるのではなく、応募先企業に転職することで問題が解決できることを伝えましょう。また、異動願いを出したり、周囲と積極的にコミュニケーションをとったりするなどの対策をしたうえで、改善されなかったことを盛り込めば、問題解決能力があることをアピールできますよ。

「人間関係で仕事を辞めるのは甘え？悪くなる原因や転職する際の注意点を解説」のコラムでは、人間関係が原因で仕事を辞めても良い理由や人間関係で仕事を辞める前に試すべき対処法を解説しているので、チェックしてみてください。

ワークライフバランスが取りにくい場合

残業や休日出勤が多いといったワークライフバランスの取りにくさも、退職につながる場合があります。ワークライフバランスが取りにくい場合に転職を決意した場合は、以下の例文のように伝えましょう。

• 「前職では就業規則で認められていない休日出勤を求められることが多く、休みが少ない環境でした。私は、メリハリのある働き方を通して、仕事と私生活の両方を充実させ、結果的により高いパフォーマンスを発揮できる環境でチャレンジしたいと考えています。上司や人事部に改善を求めましたが、状況が変わらなかったため転職を決意しました。」

 

「休日出勤が多い」「残業時間が長い」といった不満を述べるのではなく、より高いパフォーマンスを発揮したいという意欲を伝えるとネガティブな印象を避けられるでしょう。「不満があるとすぐ退職するのでは」といった企業側の不安を払拭するために、問題を解決するために対策を講じたことも伝えるのがおすすめです。

会社の業績不振が不安な場合

会社の業績不振が不安で、転職を決断する場合もあるでしょう。以下で、例文を解説します。

• 「企業の業績悪化により事業が縮小し、営業職への異動を指示されました。しかし、私は技術職でスキルを磨き、将来CTOとして活躍したいという思いが強く、転職を決意しました。貴社でさらなる知識や技術を磨き、業績向上に貢献したいと考えています。」

 

会社への批判を避けて、自身のキャリアプランに焦点を当てた前向きな理由を述べることが大切です。自身のキャリアプランを具体的に説明し、応募先企業を選んだ理由も明確に伝えましょう。

転職理由を面接官に伝えるときの3つのポイント

ネガティブな転職理由であっても、採用担当者が納得できる内容を説明できれば、好印象を与えられて内定獲得につながる可能性があるでしょう。以下で、転職理由を面接官に伝えるときのポイントを3つ解説するので、転職理由を考えるときの参考にしてみてください。

1.嘘の転職理由を伝えない

転職活動の面接では、嘘の転職理由を伝えるのは避けましょう。嘘の転職理由を伝えると、面接官から深掘りされた質問をされた際に、具体的な説明ができず、嘘がばれてしまうリスクがあります。

答えづらい転職理由であっても嘘をつくのは避けて、言い方に注意して本当のことを伝えるのが望ましいでしょう。

2.ネガティブな理由は避ける

転職理由を面接官に伝えるときは、ネガティブな理由は避けるのが望ましいでしょう。面接官が転職理由を確認するのは、応募者と自社とのマッチ度を見極めたいのが目的です。前職の不満やネガティブな感情を伝えると、かえって悪印象を与える可能性があります。

たとえば、転職理由を聞かれた際に、「上司との人間関係が悪く、仕事がやりにくかったため転職を決意しました」とネガティブな表現で伝えるのではなく、「より自分の能力を発揮できる環境で働きたいと考え、転職を決意しました」というポジティブな表現を心掛けましょう。前向きな内容を伝えられれば、入社熱意が伝わりやすくなるので「活躍してくれそう」と好印象につながりますよ。

3.転職理由と志望動機に一貫性を持たせる

面接で転職理由を伝えるときは、志望動機と一貫性を持たせることが大切です。転職理由と志望動機に一貫性を持たせることでキャリアプランが明確になり、面接官に納得してもらいやすくなるでしょう。

応募先企業だから実現できることやオリジナルのエピソードを交えることで、より説得力が上がります。転職理由と志望動機に一貫性を持たせるには、自己分析と企業研究を入念に行うのがおすすめです。自己分析で自分が仕事に求めるものを洗い出し、企業研究で応募先企業の特徴や取り組んでいる事業の理解を深めればミスマッチも防止できるでしょう。

転職理由の書き方が不安ならプロに相談しよう

転職理由の書き方が不安なら、就職・転職エージェントのプロに相談するのがおすすめです。就職・転職エージェントはサービスの一環として、応募書類の作成支援や添削、面接対策を行っている場合があります。

プロ視点で退職理由の書き方や転職した理由の伝え方のアドバイスを受けられれば、面接官から好印象を得やすくなるでしょう。

「転職理由の書き方が分からず選考に通過できるか不安」「転職活動でなかなか内定を得られない」という方は、就職・転職エージェントのハタラクティブへご相談ください。ハタラクティブは、フリーターや第二新卒など20代の就職・転職支援に特化しています。

専属のキャリアアドバイザーがヒアリングを行い、あなたの不安や希望を把握したうえでおすすめの求人をご提案。ご紹介する企業はすべて担当者が足を運んだ優良企業なので、仕事内容や社風をお伝えできます。

また、応募書類の添削や面接対策も行うので、就活や転職活動をしたことがない方も自信をもって臨めるでしょう。サービスはすべて無料なので、お気軽にご相談ください。

転職理由の書き方に関するQ＆A

ここでは、転職理由の書き方に関する疑問をQ＆A形式で解決します。