この記事のまとめ

  • 無期雇用とは、「期間の定めがない雇用」を指す働き方
  • 無期雇用とは正社員だけでなく、「無期契約社員」や「無期雇用派遣」も含まれる
  • 「無期転換ルール」は、有期雇用労働者と企業の契約期間が通算5年を超えた際に適用される
  • 無期雇用になるか迷ったら、希望するキャリアプランを明確にすることが大切
  • 自分に合った働き方がわからないときは、就職・転職エージェントに相談しよう

契約社員や派遣社員として働いている方のなかには、「無期雇用ってどんな働き方?」「どうすれば転換できるの?」と疑問を持っている方もいるでしょう。期間が定められている働き方をしていると、「このままでいいのか」「将来的に安定した働き方をしたほうがいいのでは」と不安になりますよね。

無期雇用とは、契約期間の定めがない雇用形態です。同じ会社で通算5年を超えて有期雇用契約が更新された場合に「無期転換ルール」が適用され、労働者は会社に無期雇用への転換を申し込めます。ただし、雇用は安定するものの、待遇面は有期雇用契約時の内容が引き継がれる点に注意が必要です。

このコラムでは、キャリアアドバイザーの中村さんの意見を交えながら、無期雇用の働き方について紹介します。無期雇用のメリットとデメリット、有期雇用から無期雇用になるときの注意点も解説するので、無期雇用になるか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

無期雇用とは?

「無期雇用」とは、契約期間の定めがない雇用形態のことです。契約期間に定めがある有期雇用と比べると、契約解除の心配がない無期雇用は安心感のある働き方といえるでしょう。

「無期雇用=正社員」というイメージがあるかもしれませんが、実際には正社員以外にも無期雇用に該当する雇用形態があります。以下で、無期雇用と正社員、そして無期雇用と有期雇用のそれぞれの違いを解説するので、理解を深めて自分に合った働き方を考えてみましょう。

無期雇用と正社員の違い

無期雇用と正社員の違いは、待遇面が挙げられます。以下で、非正規社員が無期雇用になった場合と、正社員の違いをみてみましょう。

項目正社員以外の無期雇用
(無期転換後)
正社員
雇用期間期間の定めなし期間の定めなし
賞与・退職金会社による
(なしの場合も多い)
基本的にあり
昇給・昇進限定的またはなし基本的にあり
福利厚生限定的な場合が多い充実している
仕事内容限定的な場合が多い幅広い業務を担当する

無期雇用になったからといって、正社員と同じ待遇を受けられるとは限りません。なぜなら、無期転換後も、元の有期雇用契約で定められていた勤務地や職務内容、勤務時間などの労働条件が原則として引き継がれるためです。

無期雇用は、働き方を変えずに雇用の安定だけを得られるメリットがある働き方です。正社員のような給与水準や昇進・昇格の機会が保証されているわけではないことを理解しておきましょう。

また、無期転換後も、元の契約で定められた勤務時間や勤務地・職務の限定は原則として引き継がれます。そのため、正社員のように全国転勤や広範囲な部署異動を命じられたり、急に残業やフルタイム勤務を命じられたりする可能性は低いようです。

そのため、「キャリアアップや高待遇」よりも「安定と柔軟性」を優先する人に適した働き方だといえるでしょう。なお、企業によっては、無期雇用社員から正社員登用制度を通じて、待遇やキャリアアップを目指せる場合もあります。

正社員登用制度に落ちる人の特徴とは?合格のコツ・落ちたときの対処法も!」のコラムでは、正社員登用制度の概要や利用するメリット・デメリットを解説しているので、あわせてチェックしてみてください。

無期雇用と有期雇用の違い

無期雇用と有期雇用の最も大きな違いは、「雇用期間に定めがあるかどうか」です。無期雇用と有期雇用の違いを、以下にまとめました。

項目無期雇用有期雇用
雇用期間定めがない(定年まで)定めがある
(最長3年)
契約満了原則としてない労働契約は原則として終了
雇用の安定性高い
(雇い止めの不安がない)
低い
(契約更新されないリスクがある)
対象となる職種正社員や無期契約社員、
無期雇用派遣など
契約社員や派遣社員、
パート、アルバイトなど
無期転換ルール適用されない適応される

有期雇用とは、3ヶ月や1年といったように、あらかじめ雇用期間が決められている契約形態です。契約期間が満了し、雇用契約終了になることを「雇い止め」といいます。

しかし、会社と労働者が合意すれば、新たな期間を定めて契約を結び直すことが可能です。契約を継続させる場合、更新審査が行われます。

一方で、無期雇用は期間の定めがないため、契約更新の手続きが必要なく、原則として定年まで働くことが可能です。「安定した働き方がしたい」「長期的なスキルを身につけたい」と考えている人にとって、無期雇用は「雇い止め」の心配がなくなり、安心して仕事に取り組めるおすすめの働き方といえるでしょう。

ただし、無期転換は労働者側からの申込みが必要なので、通算5年の条件を満たしたら、必ず自ら会社に申し出るように注意してくださいね。次の項で、「無期転換ルール」について解説します。

無期転換ルール(5年ルール)とは?

「無期転換ルール」とは、有期雇用で働く労働者と企業の雇用契約期間が通算5年を超えた際に、労働者からの申告によって無期雇用に転換できるという制度です。「労働契約法十八条」によって定められており、無期転換の申告を拒否するのは違反になります。

無期転換ルールが定められた背景

無期転換ルールが定められたのは、短期間で何度も契約を更新しなければならない有期雇用労働者の不安定性を解消し、雇用の安定を図るためです。

長期間同じ職場で契約を更新しているにもかかわらず、条件が不安定だったり、福利厚生が享受できなかったりと、さまざまな不公平が問題視されていました。そのため、労働者の雇用の質を向上させるために、無期転換ルールが作られたのです。

無期転換ルールが適用される対象者

無期転換ルールが適用される対象者は、「企業の雇用契約期間が通算5年を超えた有期雇用労働者」です。契約社員やパートスタッフなど名称にかかわらず、雇用期間が定められた労働者が対象となるでしょう。

厚生労働省の「無期転換ルールハンドブック」によると、契約期間が1年の方は5回目の契約更新後の1年間に無期転換申込権が発生し、契約期間が3年の方の場合は1回目の更新後の3年間に同様の権利が発生するとあります。

企業は、労働者からの無期転換の申込みを拒否することはできません。無期転換の申込みがなされた場合、申込み時の有期労働契約が終了する日の翌日から期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換します。

無期転換ルールにおける通算契約期間は、契約と契約の間に生じる空白期間(無契約期間)の長さによってリセットされることがあります。これを「クーリング」と呼びます。

原則として、直前の有期労働契約の通算期間が1年以上ある場合、間に6ヶ月以上の無契約期間があると、その期間より前の契約期間は通算されず、リセット(クーリング)されます。一方、無契約期間が6ヶ月未満であれば、前の契約期間も通算されます。

ただし、直前の通算契約期間が1年未満の労働者の場合は、無契約期間がその期間の半分以上かつ3ヶ月以上であるなど、より詳細な基準が適用されます。クーリングが成立すると、無期転換の通算期間はゼロから数え直しとなるので注意しましょう。

参照元:e-Gov法令検索「労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)
参照元:厚生労働省「無期転換ルールについて

無期雇用で働ける雇用形態の種類

無期雇用で働ける雇用形態には、「正社員」「無期契約社員」「無期雇用派遣」があります。それぞれの雇用形態によって、「期間の定めがない」という点では共通していますが、待遇や働き方、雇用の安定性に違いがあります。

それぞれの特徴を知ることで、自身のキャリアや生活設計において、目標に合った働き方を選択できるようになるでしょう。

正社員

正社員は、会社との間に期間の定めのない労働契約を結ぶ雇用形態です。フルタイム勤務が基本で、会社の中核業務を担当するのが特徴です。

正社員の主なメリットには雇用の安定性に加え、昇給や昇進のチャンス、賞与や退職金の支給、充実した福利厚生などがあります。一方で、残業や配置転換、転勤などの可能性があり、働き方に制約が生じることもあるでしょう。

『正社員になりたくない』と思う理由は?非正規雇用でいるリスクも解説」のコラムでは、正規雇用のメリットや「正社員になりたくない」と非正規雇用でいるリスクを解説しているので、正社員になるか迷っている方はチェックしてみてください。

無期契約社員

無期契約社員とは、期間の定めのない直接雇用契約を結んで働ける契約社員の雇用形態です。これは主に、無期転換ルールによって有期雇用から無期雇用に転換した労働者に適用される雇用区分です。

無期契約社員になると契約更新の心配がなく、安定した雇用で長期的に働ける点がメリットの一つです。

一方で、賃金体系や福利厚生は、正社員とは区別された独自の規定が適用され、無期転換前の条件がそのまま引き継がれるケースがあります。そのため、正社員と比較して待遇が限定的なケースは少なくありません。

仕事内容が限定される傾向があるため、専門性を活かした働き方ができる反面、キャリアアップの機会は正社員より少ない傾向にあります。しかし、職務や勤務地が限定されることで、転勤や広範な異動の心配が少なく、労働時間や業務負荷も予測しやすいため、ワークライフバランスを重視したい方にとっては適した選択肢となるでしょう。

無期雇用派遣

無期雇用派遣は、派遣会社と期間の定めのない(無期)雇用契約を結び、さまざまな企業に派遣されて働く形態です。無期雇用派遣は派遣先との契約が終了し、次の仕事が決まるまでの待機期間も派遣会社との雇用関係は継続するため、収入の安定が期待できます

また、派遣会社によるスキルアップ支援やキャリア形成のサポートを受けられることも魅力の一つでしょう。ただし、一般的な派遣と同様に派遣先での業務終了後は別の職場への異動があるため、働く環境や業務内容が変わることを理解しておきましょう。

正社員型派遣とはどんな働き方?正社員との違いやメリットを解説!」のコラムでは、正社員型派遣の働き方や
正社員型派遣になるメリット・デメリットを解説しているのでチェックしてみてください。

アルバイトやパートも無期雇用の対象になる

無期転換ルールは、雇用形態の名称にかかわらず、期間の定めのあるすべての労働者に適用されます。そのため、アルバイトやパートスタッフであっても、「同一の使用者との間で有期雇用契約期間が通算5年を超えている」という条件を満たしていれば無期雇用の対象となりますよ。

「1年契約をもう5回更新してるけど、パートだしな…」とあきらめている方は、通算5年を超えた後の契約期間中であれば、企業に申し込むことで無期雇用になれる権利があることを覚えておきましょう。

アルバイトと正社員の違いってなに?仕事内容や社会保険の差もご紹介!」のコラムでは、アルバイトと正社員の違いを紹介しているので気になる方はチェックしてみてください。

無期雇用で働くメリット

ここでは、無期雇用で働くメリットを解説します。無期雇用や正社員を目指すか迷っている非正規雇用で働いている方は参考にしてみてください。

雇用・収入が安定する

無期雇用で働くメリットは、雇用と収入が安定することです。フリーターや契約社員など有期雇用の場合、契約期間が満了すると次の仕事を探す必要があります。しかし、無期雇用の場合は会社に勤め続けられるため、有期雇用に比べて職を失う心配がありません

また、無期雇用は月給制で働くことが一般的であるため、毎月決まった給料がもらえます。収入が安定すると、社会的信用を得やすくなるのも無期雇用になるメリットの一つです。住宅ローンや車のローンを組んだり、クレジットカードの審査も通りやすくなったりするなど将来の計画が立てやすくなるでしょう。

フリーターでいることは何が悪い?就職しないリスクや改善策をご紹介!」のコラムでは、フリーターなど有期雇用のままでいるリスクやフリーターと正社員の収入差を解説しているのでチェックしてみてください。

契約期間を気にせず業務に取り組める

契約期間を気にせず業務に取り組めるのも、無期雇用で働くメリットの一つです。有期契約では「次の更新があるか」「次の仕事が見つかるか」と心配になることもありますよね。契約期間内に成果を出す必要があるため、どうしても短期的な視点で仕事を進めてしまいがちです。

しかし、無期雇用では雇用期限を気にする必要がないため、長期的に集中して業務に取り組めます。次の契約について気にしなくていいので、専門技術や資格取得に挑戦したり、中長期的なプロジェクトへ参加できたりするでしょう。

また、長期的な雇用関係により、チームメンバーと協力して働く期間が長くなるため、より深い信頼関係を構築し、チームワークを向上させられるでしょう。

福利厚生が充実する可能性がある

無期雇用では、正社員と同等または近い福利厚生を受けられる可能性が高まるというメリットがあります。健康保険や厚生年金、雇用保険などの法定福利厚生は、雇用形態にかかわらず条件を満たせば加入できますが、無期雇用では企業独自の福利厚生も充実していることがあります。それを、「法定外福利厚生」といいます。

法定外福利厚生の主な例は、以下のとおりです。

法定外福利厚生の例内容
住宅手当住宅にかかる費用の一部を会社から受け取れる手当
家族手当扶養家族がいる従業員に支給される手当
通勤手当勤務先までの通勤にかかる交通費を会社から受け取れる手当
住宅補助会社が提供する社宅や寮に住む、または家賃の一部を会社に負担してもらえる制度
財産形成支援制度会社が貯蓄や預金をサポートしてくれる制度
社員割引自社の商品やサービスを安く購入・利用できる制度
医療・保険補助法定の健康診断や保険に加えて、会社が費用を補助してくれることで、より手厚い医療サービスを受けられる制度
退職金制度退職する際に、会社から退職金を受け取れる制度
育児休業子どもの育児のために、一定期間仕事を休める制度
短時間勤務制度育児や介護などと仕事を両立させるために、勤務時間を短縮できる制度

福利厚生の充実は、実質的な収入アップや生活の安定につながるでしょう。企業によっては「同一労働同一賃金」の観点から、正社員との待遇差をなくす動きも進んでいます。

ただし、無期雇用といっても「無期契約社員」や「無期パート」など雇用形態によって福利厚生の内容は異なる場合があります。入社前や無期転換前に、具体的にどのような福利厚生が適用されるのか確認してみましょう。

キャリアアップを目指せる

無期雇用は、キャリアアップを目指せるのもメリットといえるでしょう。企業は、正社員をはじめとする無期雇用労働者の能力開発やスキルアップを目的とした研修制度を設けている傾向があります。

昇進や昇格、部署異動などを通じて、より責任のあるポジションに就いたり、新たな職種に挑戦したりするチャンスがあるでしょう。将来的にどのような自分になりたいか、どのような仕事をしてみたいかを考え、目標に向かって計画的にスキルを磨くことで、キャリアの可能性は大きく広がりますよ。

無期雇用で働くデメリット

雇用契約の定めなく働ける無期雇用は一見メリットしかないようにも感じるかもしれませんが、人によってはデメリットに感じる部分も隠れている可能性があります。自分に合った働き方ができるか確認するために、無期雇用で働くデメリットを確認してみましょう。

働き方の自由が減る

無期雇用で働くと雇用や収入が安定する一方、働き方の自由度が低くなることがあるため負担に感じる場合があります。企業の方針によっては、正社員と同じ週5日のフルタイム出勤を求められる場合もあるでしょう。

無期転換によって出勤日数や勤務時間が変更になる場合は事前に企業から説明がされるものの、「雇用が安定するから無期雇用になろう」と安易に決めてしまうと、働き方が自分のライフスタイルに合わなくなってしまう可能性があります。

無期転換を考える際は、給与や業務内容だけでなく、勤務時間や出勤日数についても企業に確認しておくことが大切です。自身のライフスタイルに合った働き方ができるか、慎重に検討しましょう。

業務の幅が広がったり責任が大きくなったりする

無期雇用への転換は業務の幅が広がり、より大きな責任を伴う可能性があるのでキャリアアップのチャンスであるものの、デメリットに感じる人もいるでしょう。

たとえば、有期雇用の際は任されなかったような、より難易度の高いプロジェクトやチームリーダーの役割を担うことになったり、長期的な視点での目標達成を求められたりするかもしれません。自身のスキルアップや成長につながりますが、大きなプレッシャーを感じ、ストレスに変わってしまう可能性もあるでしょう。

無期雇用への転換を検討する際は、無期雇用になる目的を明確にすることが重要です。目的がはっきりしていれば、新たな責任や業務範囲の拡大も、自身のキャリアプランに向けた前向きなステップとして捉えられます。

たとえば、「将来住宅ローンを組むために安定した雇用を得たい」「専門性を高めるために、より長期的なプロジェクトに関わりたい」といった目的があれば、プレッシャーを感じたときも「この経験は自分の目標達成に必要なものだ」と乗り越えやすくなるでしょう。

もし、特に目的がない場合は、一度立ち止まって、「無期雇用で何を成し遂げたいか」を考えてみるものおすすめです。無期雇用への転換が自分にとって本当にメリットのある選択かどうかがみえてくるはずですよ。

自分に合った仕事の見つけ方とは?見つけるメリットや注意点を解説」のコラムでは、自分に合った仕事を見つけるメリットや見つけ方を解説しているので参考にしてみてください。

ハタラクティブ プラス在籍アドバイザーからのアドバイス

中村凌河

中村凌河

有期雇用から無期雇用への転換に伴い業務内容や配属先が変更になる場合でも、会社はあなたのスキルや人柄を判断して配属先を選んでくれます。

「無期雇用になってから自分に合わない部署に異動させられた」「正社員より雑に扱われる」という企業がゼロとはいえませんが、ハタラクティブが保有する求人は企業の事前調査を徹底しており、転職のプロが厳選したお仕事のみをご紹介。理想の働き方ができる職場に転職したい方は、ぜひハタラクティブをご利用ください。

無期転換ルールで無期雇用になるための3つの条件

無期転換ルールは、いつでも適応されるわけではありません。無期雇用への転換を希望する場合でも、一定の条件を満たしている必要があります。そのため、まずは自分の働き方がその条件に当てはまるかを確認し、計画的に行動することが重要です。

以下で、無期転換ルールで無期雇用になるための条件を3つ紹介するのでチェックしてみてください。

無期転換ルールで無期雇用になるための条件

  • 通算の契約期間が5年以上である
  • 1回以上契約が更新されている
  • 労働者側から申し込む

1.通算の契約期間が5年以上である

無期転換ルールを適用するためには、同じ会社との有期雇用契約が通算で5年を超えている必要があります。この条件を満たすことで、労働者は無期雇用への転換を会社に申し込むことができる「無期転換申込権」を得ます。

たとえば、1年契約を5回更新して合計5年間働いた場合、その契約期間が終了した時点ではまだ権利は発生しません。しかし、その後契約が更新されて通算契約期間が5年を超えた場合に、無期転換申込権が発生します。

無期転換申込権は、通算契約期間が5年を超える期間の初日から最終日までの間に行使することができます。たとえば、1年契約を5回更新したあとの6年目の契約期間、または3年契約を1回更新したあとの2回目の3年間の契約期間に無期転換申込権が発生します。

ただし、「通算5年」という期間の間に、契約期間が終了してから、次の契約が開始されるまでの間に6ヶ月以上の空白期間がある場合、それ以前の有期契約期間は通算されないので注意が必要です。自身の契約期間を正確に把握し、計画的に行動しましょう。

2.1回以上契約が更新されている

契約更新が直接の条件ではありませんが、有期労働契約が通算5年を超えるのが無期転換ルールの条件になっているため、必然的に契約が更新されるケースが多いでしょう。有期労働契約の期間の上限は、特定の専門職種や高収入の専門職を除き、原則として3年です。そのため、3年契約が満了しても、無期転換申込権は発生しません。

自身の契約更新回数や契約期間は、「雇用契約書」や「労働条件通知書」で確認できます。口頭での更新は、あとから「契約が更新されていない」と会社側に言われたり、契約期間や労働条件で認識の相違が生じたりするといったトラブルに発展する可能性があるため、必ず書面で確認するようにしましょう。

また、同じ会社内で部署や職種が変わった場合でも、基本的には同一の使用者(会社)との契約とみなされるため、通算契約期間に含まれます。しかし、関連会社への転籍など、雇用主(会社)が変わるケースでは、通算契約期間として認められるかどうかの判断が分かれることも。不明な点があれば、会社の担当部署や労働局などに確認してみましょう。

3.労働者側から申し込む

無期転換は、労働者自身が「無期転換の申込み」を行う必要があります。5年を超えて働いていても、自動的に無期雇用になるわけではありません。無期転換の申込みは、口頭でも法的には有効とされていますが、トラブルを防ぐためにも書面で行うのが望ましいでしょう。

無期転換の申込み方法は、会社指定の無期転換申込書に記入します。会社に指定の書式がない場合は、自分で作成しても問題ありません。申込書には、無期転換を申し込む旨と、申込年月日、氏名、勤務先、そして無期転換を希望する期間などを明記しましょう。

申込書を提出する際は、内容証明郵便を利用したり、会社の担当者に受領印を押してもらったりして、「いつ、誰に、どのような内容で申し込んだか」という記録を残しておくと、後々のトラブル防止に役立ちますよ。

無期転換の申込みは、通算契約期間が5年を超える契約期間の初日から最終日までの間に行使することができます。この期間を過ぎると、無期転換申込権は消滅し、再度通算契約期間が5年を超えない限り、次の契約期間で改めて権利は発生しません。そのため、無期転換を希望する場合は、権利を行使できる期間を逃さないよう注意しましょう。

自分の状況をしっかり把握しておくことも大切

無期雇用への転換申請を行う際は、自分の雇用状況を正確に把握しておくことが重要です。雇用契約書や就業規則を確認して、勤続期間や契約回数を自分で記録しておきましょう。自分の雇用状況を把握していれば、適切なタイミングで行動しやすくなりますよ。

無期雇用へ転換する際の注意点

無期転換ルールを活用して無期雇用へ転換する前にいくつか知っておくべき注意点があります。後悔なくキャリアプランを立てるために、確認しておきましょう。

無期雇用になっても待遇が良くなるとは限らない

無期雇用になっても、待遇が良くなるとは限らないことも理解しておきましょう。有期雇用労働者が無期雇用への転換を望む理由として、待遇改善を期待している方もいるかもしれません。

しかし、無期転換によって雇用期間の定めがなくなるだけで、賃金や業務内容、勤務地といった労働条件は、原則として有期雇用契約時のものがそのまま引き継がれます。したがって、無期転換したからといって、必ずしも待遇が改善するとは限りません。

賃金や福利厚生の改善を望む場合は、別途、会社と交渉する必要があるか、正社員登用制度の利用や転職を検討する必要があります。ただし、条件だけで転職先を決めるのは危険です。

転職先を決める際は、給与や福利厚生といった待遇面だけでなく、仕事内容や企業の社風や働き方、キャリアアップの機会の点も確認することで、自分に合った仕事を見つけられますよ。

派遣社員の経験は職歴にならないの?履歴書の書き方やアピールのコツ」のコラムでは、派遣社員の職歴の書き方や派遣社員の職歴をアピールするときのコツを解説しているので、転職活動をするときの参考にしてみてください。

「無期雇用=絶対クビにならない」というわけではない

無期雇用になると、雇用期間の定めがなくなるため、雇用の安定性は高まります。しかし、無期雇用になったからといって「絶対に解雇されない」というわけではありません。無期雇用になったあとも、自身のキャリアを安定させるためには、日々の業務に真摯に取り組み、企業にとって不可欠な人材であり続けることが大切です。

無期雇用で契約解除になるケース

無期雇用でも、以下の状況では契約解除が可能です。
・業績不振や会社の倒産
・重大な規律違反
・能力不足
無期雇用であっても、会社には「解雇権」があることを理解しておく必要があります。ただし、解雇には「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が求められるため、無期雇用者は有期契約よりも保護されています。会社側は解雇回避のための努力義務も負うのが一般的です。

解雇予告手当の支払いや30日前の予告なども法律で定められているため、不当解雇の場合は労働局や弁護士に相談することも検討しましょう。

仕事をクビになったらどうする?解雇される理由や不当解雇の対処法を解説」のコラムでは、仕事をクビにできない「不当解雇」に該当する理由や仕事をクビになった理由が不当解雇だったときの対処法をまとめているので参考にしてみてください。

有期雇用から無期雇用へ転換するか迷ったときの対処法

有期雇用から無期雇用への転換は、キャリアの大きな分岐点となります。迷っている場合は、焦って決断するのではなく、自分自身と向き合う時間を取ることが大切です。慎重に検討することで、最適な選択につながるでしょう。

以下で、有期雇用から無期雇用へ転換するか迷ったときの対処法を4つ紹介するのでチェックしてみてください。

有期雇用から無期雇用へ転換するか迷ったときの対処法

  • 自身のキャリアプランを再確認する
  • 希望するキャリアを明確にする
  • 無期雇用になった人の話を聞く
  • 無期雇用を含めて多様な働き方を調べてみる

1.自身のキャリアプランを再確認する

無期雇用への転換を考える前に、自分のキャリアプランを見直すことが重要です。これまでどんなスキルを身につけてきたのか、今後どんな方向に進みたいのかを整理しましょう。長期的な目標があれば、今回の選択がその目標達成の手段として適しているかどうか判断できます。

キャリアプランを見直す際には、以下のポイントを確認してみましょう。

  • ・5年後や10年後にどんな仕事をしていたいか
  • ・身につけたいスキルや経験は何か
  • ・現在の職場環境や業務内容に満足しているか

自分のキャリアの方向性と現在の職場での可能性を比較することで、無期雇用への転換が自分の成長につながるかどうかが見えてくるはずです。

面接でのキャリアプランの答え方は?例文や思いつかない際の対処法もご紹介」のコラムでは、面接で高評価につながるキャリアプランの立て方や思いつかないときの対処法を解説しているので参考にしてみてください。

2.希望するキャリアを明確にする

希望するキャリアを明確にするのも、後悔しない選択をするうえで大切です。たとえば、特定の業務で専門性を高めたいのであれば、無期雇用で安定した立場で経験を積むのが近道となるでしょう。なぜなら、無期雇用でなければ、長期的なキャリアアップの機会が得られない場合があるからです。

一方で、いろいろな企業で経験を積んで、幅広いスキルを高めたい場合は、有期雇用やフリーランスとして働く方が良いかもしれません。自分の希望するキャリアを明確にすることで、どのような働き方が自分の理想に近いのかを判断しましょう

3.無期雇用になった人の話を聞く

働き方に迷っている場合、無期雇用になった人の話を聞くのもおすすめです。実際に有期から無期雇用に転換した人の経験は、貴重な情報源となります。同じ会社や同業種で無期雇用になった人に、転換後の変化や感想を聞いてみましょう。現実的な視点が得られ、自分の決断に役立ちますよ。

聞くべきポイントには以下のようなものがあります。

  • ・仕事内容や責任は変わったか
  • ・給与や待遇はどう変化したか
  • ・転換して良かったと思う点、後悔している点
  • ・転換前に知っておけばよかったこと

ただし、話を聞く際には個人の主観が含まれることを忘れないようにすることが大切です。複数の人から情報を集めることで、より客観的な判断材料を得られるでしょう

4.無期雇用を含めて多様な働き方を調べてみる

現代では、正社員や契約社員以外にも、フリーランスやパラレルワーカーなど多様な働き方があります。無期雇用を選ぶ前に、ほかの働き方についても調査してみると視野が広がるでしょう。

以下で、代表的な働き方の特徴をまとめました。

働き方の種類特徴
正社員(無期雇用)・安定性が高い
・福利厚生が充実している
・キャリアプランが立てやすい
契約社員(有期雇用)・雇用期間は限定的
・特定のプロジェクトに集中できる
・多様な職場で経験を積める
フリーランス・スキルを活かせる
・勤務時間や場所など働き方の自由度が高い
・収入が不安定になることもある
複業(副業)・複数の収入源を持てる
・本業とは異なるスキルや経験を積める
・人脈を広げられる

たとえば、今の会社で無期雇用になる前に副業を始めてスキルを広げる、または他社の求人情報をチェックして市場価値を確認するなど、選択肢を広げる行動も有効です。情報収集を怠らず、自分に合った働き方を見つけましょう。

【まとめ】自分に合った働き方がしたいならプロに相談しよう

無期雇用は雇用期間の定めがなく長期的な安定を得られる一方で、自由度や柔軟性が低下する可能性もあります。無期転換を検討する際は、自身のキャリアプランを見直し、他の働き方との比較も行いながら、慎重に判断することが大切です。正社員だけでなく、無期契約社員や無期雇用派遣など、さまざまな形態があるため、自分に合った選択をしましょう。

「無期雇用になるか迷っている」「自分に合った仕事がわからない」という方は、就職・転職エージェントのハタラクティブへご相談ください。20代を中心とした若年層向けの就職・転職エージェントです。

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