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公務員が失業保険を受け取れない理由は?代わりにもらえる手当や条件を解説

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この記事のまとめ

  • 公務員が失業保険をもらえない理由は、民間企業に比べて雇用が安定しているから
  • 公務員は失業保険の代わりに「退職手当」を受け取れる
  • 退職手当の受給条件は「勤続期間が12ヶ月以上」「待機日数を超えても失業中」など
  • 退職手当と失業保険相当額の差額は「失業者の退職手当」として受給可能な場合もある
  • 公務員から転職する際は、転職エージェントに相談するのもおすすめ

公務員から退職を検討する際に、「失業保険の代わりの手当はあるのか」「なぜ公務員は失業保険を受け取れないの?」と疑問に思う方もいるでしょう。退職後の支援がないと、就活できるのか不安になりますよね。

公務員は失業保険の代わりに「退職手当」を受け取れます。公務員は、民間企業に比べ雇用が安定していることから、雇用保険の加入対象外になっているためです。

このコラムでは、キャリアアドバイザーの中村さんのアドバイスを交えつつ、公務員が退職手当を受け取る条件や公務員から民間企業へ転職するコツを解説しています。公務員から転職を検討されている方はぜひご一読ください。

公務員が失業保険をもらえない理由

公務員は、基本的に失業保険を受け取れません。その理由は、雇用保険法第6条で適用外と定められているからです。公務員のなかでも、日本郵政株式会社や国立大学といった雇用保険法の適用事業所に勤務していた場合は、退職後に失業保険の受給手続きをすることで受給が可能です。

参照元
e-Gov法令検索
雇用保険法

公務員は失業保険の代わりに退職手当が支給される

公務員は失業保険を受け取れない代わりに、条件を満たしていれば「退職手当」が支給されます。以下の内容を参考に、退職手当を受け取れる条件や退職手当の支給額を決める基準をチェックしてみましょう。

【公務員が退職手当を受け取れる条件】

  1. 1.原則として、勤続期間が12ヶ月以上である
  2. 2.退職手当の額が雇用保険法の失業等給付相当額に満たない
  3. 3.原則として、退職日の翌日から起算し1年以内に失業している
  4. 4.待機日数を超えて失業している

上記4点が、国家公務員の退職手当支給条件として内閣官房が公表しています。すべての条件を満たしている場合、退職手当を受給することが可能です。

なお、退職手当は、勤務先で離職票を受け取りハローワークに提出することで受け取れます。

【退職手当の支給額を決める基準】

  • ・退職前の給与額
  • ・勤続年数
  • ・退職時の年齢
  • ・退職理由(定年や自己都合、任期満了など)

基本的な退職手当を決める基準は上記のようになります。なお、地方公務員の場合は、各地方自治法により退職手当が支給されるため、地域によって支給額が異なる可能性もあるでしょう。

公務員で失業保険を受け取れる場合とは

期間雇用で公務員として勤務していた場合は、失業保険を受け取れる可能性があります。期間雇用とは、公務員として雇用される期間が決められている雇用形態のこと。期間雇用で公務員として勤める場合は、人員整理がしやすいことから雇用保険の加入対象になります。

しかし、期間雇用で採用されても18日(1日8時間)以上勤務した月が連続で6ヵ月を超えた場合、退職手当法が適用されます。退職手当法が適用されると、正規雇用の公務員と同様に加入対象外になるので注意が必要です。
 

ハタラクティブ プラス在籍アドバイザーからのアドバイス

中村凌河

中村凌河

公務員であっても、失業して期間が空くのであれば、審査が通れば失業保険を受給できます。また、 給付額や期間については人によって異なることも。自身が支給対象かどうかを確認したい場合は、ハローワークに相談してみてください。ハローワークのサービス内容は、「ハローワークとは?詳しいサービス内容や利用時の流れなど分かりやすく解説」のコラムで確認できます。

失業保険とは?

失業保険とは、労働者が失業した場合に、一定の経済的な支援を受けるための制度です。この制度は、労働者の生活と雇用の安定や就職の促進をさせることが目的となっています。

以下では、失業保険に加入できる条件や受給条件をついて詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

失業保険(雇用保険)へ加入できる条件

失業保険への加入条件は、厚生労働省の「雇用保険の適用範囲が拡大されました!」で、以下のように定められています。

  • ・雇用期間が31日以上の見込みであること
  • ・1週間あたりの所定労働時間が20時間以上であること

民間企業で勤務する正社員は、勤務先で雇用保険の加入手続きを行います。

失業保険を受給できる条件

ハローワークインターネットサービスの「基本手当について」によると、失業保険を受給できる条件は以下のようになっています。

  • ・ハローワークで求職申込みをしており、就職の意思があるも「失業の状態」であること
  • ・離職する前の2年間に、1年以上雇用保険に加入していること

なお、失業状態であっても、病気・けが・妊娠・出産などですぐに就職が難しい場合は対象外になります。失業保険の受給対象になっている場合は、「失業したらやることは何?必要な手続きや失業保険を申請する方法を解説」のコラムも参考に必要な手続きを行いましょう。

参照元
厚生労働省
雇用保険の適用範囲が拡大されました!
ハローワークインターネットサービス
基本手当について

公務員の退職手当と失業保険の差額があったら?

「公務員の退職手当と失業保険の差額は受け取れないの?」と疑問に思いますよね。条件を満たしていれば、差額を「失業者の退職手当」として受け取れます。

「失業者の退職手当」とは、退職時に支給された退職手当の額が失業保険相当額に満たない場合に受け取れる手当のこと。公務員のなかでも、勤続年数が3年以内と短い人が退職手当と失業保険の支給額相当額に差額が発生しやすいでしょう。

以下では、公務員の退職手当と失業保険に差額があった場合の対処法を解説しています。手続きの手順や必要書類は、地域によって異なる可能性があるので事前に確認しましょう。

退職手当が失業保険相当額より少ない場合の対処法

退職手当が失業保険相当額より少ない場合は、以下の対処法を参考にしてみてください。

1.差額を請求できるか確認する

退職手当が失業保険相当額より少ない公務員は、差額を請求できるかどうかを確認してみましょう。差額を請求する際は、以下の条件を満たしている必要があります。

  • ・勤続期間が12ヶ月以上(6ヶ月以上の場合は12ヶ月に切り上げ)であること
  • ・退職手当の金額が失業保険相当額に満たないこと
  • ・退職日の翌日から1年以内で、就職意思があるが失業していること
  • ・所定の待期日数を超えて失業している

請求できる金額も勤続年数や年齢などによって条件が変わる可能性があります。

2.教育委員会で請求の手続きをする

失業者の退職手当は、勤務地を管轄する教育委員会を通じて差額を請求することが可能です。必要な提出書類は地域によって異なりますが、基本的には退職前6ヶ月分(あるいは1年分)の給与明細の写しを提出します。

具体的な持ち物や手続きの方法については、事前に電話や各都道府県にある教育委員会に問い合わせてみましょう。

3.ハローワークで求職申し込みをする

教育委員会に提出する書類のなかに「求職申込証明書」や「失業証明書」があります。これらは、ハローワークで求職申込みを行うと、受け取ることが可能です。

求職申込みをするときは、ハローワークにある「求職申込書」に希望職種や勤務地を記入し、窓口に提出します。求人申込みをする際は、自分の住んでいる地域の管轄ハローワークに行きましょう。最寄りのハローワークは「全国のハローワーク」から確認できます。

差額の請求は一定の期間内に行う必要があるため、金額を確認し早めに手続きを進めましょう。ハローワークを初めて利用する際は、「ハローワークの利用方法とは?初めての方へ使い方を解説!」のコラムが参考になります。

参照元
厚生労働省
ハローワーク

公務員を退職し転職活動するときの3つのコツ

公務員退職後、民間企業へ転職を考えている人もいるでしょう。民間企業は公務員に比べて仕事の自由度が高いことが多く、年齢に関わらず年収アップを狙えるのが特徴です。ここでは、公務員を退職して転職活動するときのポイントをご紹介します。

1.やりたいことを考える

公務員が民間企業に転職するときは、「自分が何をしたいか」を明確にするための自己分析を行いましょう。自己分析をすることで、自分の興味や関心、能力、経験を掴め、何を実現したいのかを明確に理解できます。

公務員として培ってきた経験やスキルは、民間企業の分野でも役立てることが可能です。「これまでの知識を活かした働き方を実現したい」「まったく新しい分野に挑戦したい」というように、どのようなキャリアを積んでいきたいのかじっくりと検討してみましょう。

未経験分野を目指す方は、「未経験者の転職におすすめの業界・職種は?仕事探しのポイントを解説」のコラムをご覧ください。

2.希望条件を明確にする

公務員から民間企業に転職する際は、希望条件を明確にすることも大切です。希望条件が曖昧なまま転職活動を進めてしまうと、ミスマッチの環境に就いたり仕事でやりがいを見出だせなかったりします。

給与や福利厚生、勤務地、休日日数など、民間企業への転職で何を大事にしたいのかを洗い出しましょう。希望条件が複数ある場合は優先順を決めることで、仕事探しの軸が固まりやすくなります。希望条件を明確にすることは、転職先を選ぶ際の基準を設定する上で不可欠なステップとなります。

3.転職エージェントに相談する

公務員から民間企業に就職したい場合は、転職エージェントに相談するのも一つの方法といえます。転職エージェントは、その名のとおり就職や転職を支援する民間のサービスです。

転職エージェントでは、求職者それぞれに専任の担当者がヒアリングを行い、プロの視点で就活のアドバイスを受けられます。自分では気づかなかった仕事の探し方や、アピール方法を見つけられますよ。

「公務員から民間企業への転職活動に不安がある」「自分にどんな仕事が向いているかわからない」という方は、就職・転職エージェントのハタラクティブをご利用ください。

ハタラクティブでは、応募書類の添削や面接対策、内定後の相談まで一貫してサポートするので、公務員から民間企業への転職が不安な方も安心して就活できます。ご登録・ご利用はすべて無料なので、お気軽にご相談ください。

公務員の失業保険に関するQ&A

ここでは、公務員の失業保険に関する疑問について、Q&A形式で解説していきます。

公務員の任期付職員は失業保険を受け取れますか?

任期付職員は公務員として雇用されるため、失業保険を受け取れません。ですが、任期付職員以外の公務員と同様に退職手当を受給できるでしょう。任期によって支給される額は変わりますが、2年程度の任期の場合、1ヵ月分ほど支給されることが多いようです。

公務員で懲戒免職にあった場合、退職手当は受け取れる?

公務員で懲戒免職を受けた場合の退職手当は、全額または一部が支給されない可能性があります。

国家公務員退職手当法第十二条」に即した処分が行われます。また、退職金の支給に関して不服であれば申立てることも可能です。「基準に比べて処罰が明らかに重い」「そもそも事実と異なる」といった場合は、速やかに審査を請求しましょう。

公務員の退職手当の計算方法は?

退職手当の基本額は「基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続期間別支給率×調整率)+調整額」 の計算式を基に算出されます。

また、支給割合や調整額は職時の俸給月額や退職理由、勤続期間によって変動することも。各地方公共団体によって異なる場合もあるので、正しく計算したい場合は条例および規則を確認することが重要です。

公務員を辞めて仕事が見つかるか心配です。

公務員を辞める前に「公務員を辞めたい」と思った理由と、企業に求める条件を明確にすることで、転職活動で仕事が見つかりやすくなります。

公務員からの転職が不安であれば、転職エージェントに相談するのも方法の一つです。転職エージェントに相談することで、公務員で得たスキルや経験を有効にアピールする方法をプロ視点からアドバイスを受けることができます。就職・転職支援サービスを利用するなら、ハタラクティブにご相談ください。

後藤祐介

監修者:後藤祐介

京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。
ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。

資格 : 国家資格キャリアコンサルタント国家資格中小企業診断士
メディア掲載実績 : 「働く」をmustではなくwantに。建設業界の担い手を育て、未来を共創するパートナー対談定時制高校で就活講演 高卒者の職場定着率向上へ【イベント開催レポート】ワークリア障がい者雇用セミナーSNS : LinkedIn®YouTube