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住宅手当がないと一人暮らしはきついって本当?種類や支給される基準を解説
この記事のまとめ
- 住宅手当がない場合でも一人暮らしは可能だが、収入と支出のバランスが大事
- 住宅手当がない企業があるのは、労働基準法に規定されていない手当のため
- 住宅手当がない企業の割合は60%で、支給している企業のほうが少ないのが現状
- 住宅手当の相場は企業規模や産業によって異なる
- 就職・転職の際は、企業の福利厚生と手当を確認しておくことが大切
「住宅手当がないと一人暮らしはきついのではないか」といった疑問を持つ方もいるでしょう。一人暮らしをしたくても、生活できるのかが分からないと不安になりますよね。
収入と支出のバランスを調整すれば、住宅手当がなくても一人暮らしできるでしょう。ただし、住宅手当がない企業もあるので、入社前に福利厚生や手当を確認することが大切です。
このコラムでは、キャリアアドバイザーの中村さんのアドバイスを交えながら、住宅手当の種類や支給される基準を解説しています。また、住宅手当を受け取るメリット・デメリットもご紹介。住宅手当がないと生活が厳しくなるのか不安な方や就職・転職をして一人暮らしをしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事にコメントしているアドバイザー
住宅手当がないと一人暮らしは難しい?
住宅手当がない会社に新卒で就職してしまうと、最初は給料も低いため「一人暮らしがきついのでは」と考える方もいるかもしれません。ここからは、住宅手当がない一人暮らしに掛かる生活費を参考に、本当に難しいのか考えてみましょう。
住宅手当がなくても一人暮らしはできる
住宅手当がなくても、家賃相場の低い地域を選んだり、収入を多く得られたりすれば一人暮らしをすることは可能です。ただし、給与が少ないうちは選択肢が限られるので希望する生活ができず、多少の我慢が必要になるでしょう。
たとえば、「自炊を習慣化して食費を抑える」「携帯の契約を見直し通信費を抑える」「駅から遠い物件を借りて家賃を抑える」などの工夫をするのが有効です。収入と支出のバランスをうまく調整すれば、問題なく一人暮らしができるでしょう。
一人暮らしに掛かる生活費
総務省が実施した「家計調査」を参考に、一人暮らしに掛かる生活費を以下にまとめました。(住居費を除く)
費目 | 月平均額 |
---|---|
食料 | 43,276円 |
光熱・水道 | 13,098円 |
家具・家事用品 | 5,613円 |
被服及び履物 | 5,280円 |
保健医療 | 7,441円 |
交通・通信 | 19,344円 |
教育 | 2円 |
教養娯楽 | 18,700円 |
交際費 | 25,678円 |
引用:総務省統計局「2022年(令和4年) 家計の概要」
上記から、一人暮らしに掛かる費用は約14万円だと分かります。また、総務省の「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要(p7)」によると、専用住宅の1ヶ月あたりの家賃平均は5万5,695円。家賃を約6万円とすると、上記の費目と合わせた支出は約20万円になるので給料の総支給額が約24万円ほど必要といえるでしょう。
支給される住宅手当の額は企業によって異なりますが、受け取れれば生活に余裕が生まれやすくなります。また、「正社員の給料を分類別に紹介!病欠時の給与計算や前払いの可否も解説」のコラムで正社員の平均収入をまとめたので、参考にしてみてください。
参照元
総務省統計局
家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)
総務省
平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果
住宅手当について理解しよう
住宅手当とは、従業員が住む住宅の一部費用を勤め先企業が補助する福利厚生の一つです。住宅手当は労働基準法で規定されていないため、大手企業でも住宅手当を導入していない企業もあるでしょう。
また、住宅手当は所得と同様に課税対象となる点には注意が必要です。住宅手当の具体的な内容は家賃補助として支給する場合や住宅ローンの費用を一部負担する場合など企業によってさまざま。住宅手当といった法定外の福利厚生は、支給額や条件も企業が決めるのが基本です。
一般的な住宅手当の種類
企業から支給される住宅手当の種類は、「住宅ローン補助」と「家賃補助」の2種類が一般的です。それぞれの違いと支給方法について解説します。
住宅ローン補助
賃貸物件ではなく、持ち家を所持している場合、住宅ローンの一部を企業が負担するという形で住宅手当が支払われる場合があるでしょう。ただし、住宅ローンを組む金融機関に会社から指定があることも。会社によってそれぞれ規定が異なりますので、しっかりと確認しておくようにしましょう。
家賃補助
賃貸物件を借りている場合には、毎月家賃の一部を企業が負担する家賃補助という形式で住宅手当が支払われます。従業員が借りている賃貸物件家賃の一部を会社が負担してくれます。
住宅手当と社宅手当との違いは何?
住宅手当と似たものとして、社宅手当があります。社宅手当は、企業側が賃貸物件を借り、そこに従業員が住むという形式における手当です。
社宅手当は一般的に、現金支給ではなく給与から家賃の一部が差し引かれるという形で実質的な支給となることがほとんど。また、住宅手当と社宅手当の最大の違いとしては、社宅手当は給料から差し引かれる形となるので課税対象となりません。
住宅手当の相場
「実際に住宅手当ではどれぐらいの金額がもらえるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。令和2年に厚生労働省が実施した「令和2年 就労条件総合調査の概要(p14)」の結果によれば、調査対象企業による住宅手当の平均支給額は1万7,800円となっています。
企業や産業によって住宅手当の金額は変わる
住宅手当は支給額や条件は各企業で定めるので、企業規模や産業によって金額が異なります。厚生労働省の「令和2年 就労条件総合調査の概要(p14)」を参考に、以下で企業規模ごとの住宅手当額をまとめました。
企業規模 | 住宅手当の平均支給額 |
---|---|
1,000人以上 | 2万1,300円 |
300~999人 | 1万7,000円 |
100~299人 | 1万6,400円 |
30~99人 | 1万4,200円 |
引用:厚生労働省「令和2年 就労条件総合調査の概要 第19表 諸手当の種類別支給された労働者1人平均支給額(令和元年11月分)」
上記の表では、従業員数が1,000人以上の企業規模であれば、平均支給額は2万1,300円、従業員数が30~99人の企業規模だと、平均支給額は1万4,200円となっています。このことから、企業規模によって支給される住宅手当の額も異なるといえるでしょう。
また、同じく厚生労働省が平成27年に行った「平成27年 就労条件総合調査の概況(p21)」によれば、調査対象となる産業のなかで、最も住宅手当の平均支給額が多いのは情報通信業で2万5,312円です。一番少額なのは電気・ガス・熱供給・水道業の1万775円であることから、産業によっても住宅手当の支給額は異なることが分かるでしょう。
また、情報通信業を含むIT関連の業界は、優良企業が多い特徴もあります。そのほかに、優良企業が多い業界・職業は「高卒で入れる優良企業とは?よくある特徴や内定に近づくための方法を解説」のコラムで解説しているので、興味がある方はチェックしてみてください。
参照元
厚生労働省
令和2年 就労条件総合調査の概要
平成27年就労条件総合調査結果の概況
住宅手当がないのはなぜ?支給される基準
前述のとおり、住宅手当は企業が個別に定める福利厚生となっており、誰でももらえるわけではありません。ここでは、一般的な住宅手当の支給条件となっている基準を紹介します。
雇用形態
一般的な住宅手当の支給条件として、正規雇用であることが挙げられます。企業にもよりますが、正規雇用の社員の場合転勤が発生しやすく、その際の引っ越し費用や住居の確保するコストなどが掛かるでしょう。社員の継続勤務へのモチベーション低下を防止するために、住宅手当が支給されることが多いようです。
世帯主であるかどうか
一般的に、世帯主であることが住宅手当の支給条件となる場合があります。世帯主でない人が住宅手当を受け取ってしまうと、住宅費を負担していない従業員が住宅手当を受給できてしまいます。
これを防ぐため、住宅手当は基本的に世帯主にのみ支給され、同居人がいる場合には減額されることがあるでしょう。
同居人の有無
住宅手当の支給条件として、一人暮らしであることを条件としている企業も見受けられます。一人暮らしをしている場合には、家賃や光熱費などの生活費が掛かるのが基本。企業が住宅手当を支給することで従業員の生活を支援し、モチベーションを維持するという目的があるでしょう。
実家暮らしで同居している家族に対して毎月支払いを行っている場合でも、基本的に支給さません。現在実家暮らしをしている方で、一人暮らしできるか不安は、コラム内の「フリーターで一人暮らしはきついって本当?かかる費用や役立つ節約術を解説」で節約術を解説しているので、参考にしてみてください。
扶養家族の有無
扶養家族の有無を、住宅手当の支給条件としている企業もあります。扶養家族がいることで、一人暮らしよりも家賃の高い住居に住む必要性や、毎月かかる生活費が増加するなどの理由から、住宅手当の支給が行われているでしょう。
ただし、扶養家族がいる場合には、住宅手当以外にも扶養手当や配偶者手当といったその他の手当が支給されるので住宅手当が対象外となる場合もありますので、確認しておきましょう。
住宅手当がない企業の割合とその理由
東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)(p50)」によると、「住宅手当の支給なし」と答えた企業は60%となり、「支給あり」の39.7%を上回った結果となっています。このことから、住宅手当を支給しない企業のほうが多いといえるでしょう。
以下では、住宅手当の支給を行わない企業の割合が多い背景として、考えられる3つの理由を見ていきましょう。
参照元
東京都産業労働局
中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)
従業員のライフスタイルの多様化
以前より職種や働き方は多様化してきていることが一つ目の要因として挙げられます。働き方が多様化した背景には、従業員のライフスタイルに合わせて自由な時間に仕事ができるフレックスタイム制や在宅ワークなどが普及してきたためといえるでしょう。
また、固定賃金制だけではなく成果報酬による賃金増加が望まれるようにもなり、企業に求められる手当の形態が多様化してきています。
その結果として、住宅手当という形で一定額の支給を受けるよりも、その他のさまざまな手当の支給を従業員が求めるようになったという背景も考えられるでしょう。
自分に合った働き方の見つけ方は「仕事の決め方で大切なことは?自分に合ってるか不安なときの対処法を解説」のコラムで解説しているので、参考にしてみてください。
働き方改革による賃金の一律化
近年では、同一労働同一賃金を求める風潮も強くなり、企業側がその要望に応えようとしているという理由も考えられるでしょう。同一労働同一賃金とは、正規雇用・非正規雇用に関わらず、同じ賃金を支払うべきという考え方です。
最近では、正規雇用よりも非正規雇用を望む従業員も増えています。正規雇用と非正規雇用の待遇にできるだけ差を付けないようにするために、住宅手当という形態を廃止して一律化させようという企業の意図もあるでしょう。
企業のコストカット
前述の同一労働同一賃金の導入の兼ね合いも含め、企業側がコストカットをしたいという意図も考えられます。正規雇用だけでなく非正規雇用の従業員にも住宅手当を導入しようとすると、企業側のコストは非常に大きくなってしまうでしょう。
また、コロナ禍の影響もあり業績が芳しくなく、出来るだけ企業の経営コストを割かなければならないということも考えられます。
ハタラクティブ プラス在籍アドバイザーからのアドバイス
中村凌河
現代だと、住宅手当はない企業のほうが多いようです。住宅手当も給料と同じように従業員への資源の還元なので、これがない企業はその分教育制度や給与の上がり幅で還元している企業もあるでしょう。
正社員の最初は給料が低いですが、昇給や昇進、賞与によって給与は上がっていく可能性があるので、住宅手当がなくても苦労する可能性は低いです。 ただし、フリーターは昇進や賞与が条件に含まれないことも。「一人暮らしがしたい」「家を建てたいから住宅手当を受け取りたい」という方は、正社員への就職がおすすめですよ。
住宅手当がないことで起きるメリット
住宅手当は課税所得の対象となるので、受け取らないことで負担する税金が増えないのがメリットです。住宅手当を受け取ることにより、住民税や所得税が増加するだけでなく、受け取る条件として所得制限がある公的補助の受け取り金額も低下する可能性があるということも忘れてはいけません。
住宅手当があれば生活の余裕は精神的な満足度や幸福度に直結しやすく、また手取りの収入が増加することから仕事へのモチベーションも向上しやすくなりますが、そのぶん金銭的負担も増えるでしょう。
手当以外にも、仕事でやりがいを感じたり、モチベーションを保ったりするためには自分に合った仕事を選ぶことが大切です。「自分に合う仕事をする大切さって?その特徴や仕事探しの方法」のコラムで自分に合う仕事をする大切さを解説しているので、チェックしてみてください。
住宅手当がないことで起きるデメリット
住宅手当がないと持ち家にかかる住宅ローンの返済や賃貸物件の支払い家賃の負担が軽減できず、日々の生活資金に余裕ができにくいのがデメリットです。「家を建てたい」「マンションを購入したい」といった場合、家賃手当がないと生活が厳しくなる場合があるので、入社前に受け取れる手当や福利厚生をしっかり確認しましょう。
支給される基準
支給される基準は、「正規雇用か」「一人暮らしをしているか」「扶養家族がいるか」などが多いようです。住宅手当は法定外福利厚生なので、企業によって基準は異なるでしょう。
現在両親扶養に入っていて正社員を目指すなかで、住宅手当を受け取りたいと考えている方は抜ける手続きをする必要があります。「フリーターが親の扶養を外れるタイミングは?抜ける手続きも解説」のコラムで扶養を抜けるときの手続きを解説しているので、チェックしてみてください。
家賃をコストカットしたいなら社宅の利用もおすすめ
住宅手当が受け取れないことで家賃の支払いが負担になっている場合、社宅を利用するのも良いでしょう。社宅とは、企業が借り入れた賃貸物件を従業員に貸し出す制度です。
賃貸料相当額の5割以上を企業が負担してくれるのが一般的なので、家賃に掛かる負担が軽減されるでしょう。ただし、すべての企業が導入している制度ではなので、確認してから利用するか検討してみてください。
就職・転職では福利厚生と手当を確認して企業を選ぼう
住宅手当がなくても一人暮らしをすることは可能ですが、住宅手当があるかどうかで生活費に掛かる負担は変わってくるでしょう。支給の条件や金額などは企業によって異なるので、入社前に確認することをおすすめします。
また、正社員は住宅手当以外にも、さまざまな手当が用意されている企業も多いのも事実。就職・転職で企業選びをする際には、どのような手当が用意されており、自分はどの手当を受け取ることが出来る可能性があるのかをしっかりと確認しておきましょう。
ただし、求人募集だけでは、企業が用意している全ての手当についての細かい規定はわからないこともあるかもしれません。そのような場合には、就職・転職エージェントを活用して確認するのも手です。自分一人では調べきれない情報も、就職・転職エージェントを活用することで効率的に情報収集ができるでしょう。
「福利厚生や手当が充実した企業へ就職したい」「入社後のミスマッチを防ぎたい」という方は、就職・転職エージェントのハタラクティブをご利用ください。ハタラクティブは、20代を中心とした就職・転職支援に特化しています。
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住宅手当に関する疑問Q&A
ここでは、住宅手当に関する疑問をQ&A形式で解決しています。
大手企業に入社すれば住宅手当を受け取れますか?
住宅手当は法定外福利厚生なので、すべての企業が住宅手当を支給しているわけではありません。
ただし、コラム内の「住宅手当の相場」で解説しているとおり、企業規模が大きいほど支給額が多い傾向があります。住宅手当を受け取りたい場合は、支給対象かどうか就業規則で条件を確認してみましょう。
社宅でも住宅手当を受け取れますか?
社宅は住宅手当の対象外になることが多いようです。
ただし、社宅は住宅手当を支給する代わりに、給与から家賃の一部が差し引かれるという形で実質的な支給とする企業がほとんど。そのため、課税対象外になるのも、社宅の特徴といえるでしょう。
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監修者:後藤祐介
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。
ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。
資格 : 国家資格キャリアコンサルタント・国家資格中小企業診断士
メディア掲載実績 : 「働く」をmustではなくwantに。建設業界の担い手を育て、未来を共創するパートナー対談・定時制高校で就活講演 高卒者の職場定着率向上へ・【イベント開催レポート】ワークリア障がい者雇用セミナーSNS : LinkedIn®・YouTube