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休日出勤は割増賃金が発生する?代休取得したら対象になる?計算方法も解説

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この記事のまとめ

  • 休日出勤時の割増賃金が発生するかどうかは、出勤した休日の種類によって決まる
  • 休日出勤で割増賃金が発生するのは、法定休日や祝日に出勤した場合などが挙げられる
  • 休日出勤しても、管理職やみなし残業などの場合は割増賃金は発生しない
  • 休日出勤の賃金割増は、時給に割増率を加算することで計算できる

「休日出勤を行ったら割増賃金は発生する?」という疑問を持つ方もいるでしょう。休日出勤で割増賃金が発生するか分からないと、「受け取れる給与に影響するのでは」と不安になりますよね。

休日出勤時に割増賃金が発生するかどうかは、どのような休日出勤が行われたかによって変わります。「法定休日」と呼ばれる休日に出勤した場合には割増賃金が発生しますが、それ以外の場合だと割増賃金が発生しないこともあるため注意しましょう。

このコラムでは、キャリアアドバイザーの中村さんのアドバイスを交えながら、休日出勤を行った際に割増賃金が発生するケースとしないケースについて具体的に解説します。また、法定労働時間を超過する労働による残業や、深夜労働を行った場合も事例付きでご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

休日出勤は割増賃金が発生する?

休日出勤時の割増賃金が発生するかどうかは、出勤した休日の種類によって決定します。休日出勤をしたにもかかわらず、割増賃金が発生していないときは条件に当てはまっていない場合があるため、あらかじめ就業規則を確認しておくと良いでしょう。

休日出勤の種類

休日には主に「法定休日」「法定外休日」「振替休日」「代休」「祝日」の5つがあります。以下で、それぞれの定義を解説するので、チェックしてください。

法定休日

法定休日とは、法律で定められた休日です。「労働基準法第三十五条」によれば、雇用主は従業員に対して週1日以上の休日を与えることが義務付けられています。たとえば、土日休みの会社で日曜日が法定休日と定められている場合には、土曜日は法定休日にはなりません。

また、曜日の指定はされていないため、土日を出勤日にして月~金曜日のいずれかに休みを設定している企業もあります。土日休みを希望する方は、「土日休みの職種には何がある?探す際の注意点や就職を成功させる方法を解説」のコラムで土日休みが多い職種や業界を解説しているので、仕事を選ぶときの参考にしてみてください。

法定外休日

法定外休日とは、法定休日とは異なり企業が独自に設定する休日です。「週休2日」の企業では、法定休日以外の一日を法定外休日として設定している場合が多いでしょう。「労働基準法第三十二条」には、雇用者は従業員に対して週40時間以上の労働をさせてはいけないと定められています。そのため、一週間の内一日を法定外休日として定めることにより、労働基準法に抵触するのを避けられるでしょう。

振替休日

振替休日とは前もって休日を労働日として変更し、その代わりとして特定の労働日を休日に変更した場合の休日のことです。事前に休日と労働日を入れ替えるため、当初の休日が所定労働日となり、休日出勤扱いにならない点に注意しましょう。

代休

代休とは、法定休日に出勤を行い、後日の所定労働日を休日として変更した場合の休日です。振替休日とは異なり、休日と労働日を入れ替えるわけではありません。まず先に法定休日に出勤を行い、その埋め合わせとして後から労働日を休日に変更するのが一般的です。

祝日

祝日とは、「国民の祝日に関する法律」により定められた、年間16日間ある休日です。国によって定められた休日ということから、法定休日であると思われがちですが、祝日は法定休日とは異なるので注意しましょう。

法定休日の出勤は違法?

法定休日に出勤させることは違法ではありません。労働基準法三十六条には、労働者の過半数を代表する者との書面による協定をして、行政官庁への届け出を行うことにより、労働時間の延長と休日出勤が認められています。この協定は「36協定」と呼ばれ、企業が定められた処理を怠った場合は労働基準法違反として罰則が科されることが定められています。

参照元
e-Gov法令検索
労働基準法
国民の祝日に関する法律
厚生労働省
時間外労働の上限規制

休日出勤で割増賃金が発生するのはいつ?

休日にはさまざまな種類がありますが、休日出勤として割増賃金が発生するのは一部に限られるので注意しましょう。以下で、休日出勤で割増賃金が発生する場合を解説するので、チェックしてみてください。

休日出勤で割増賃金が発生するとき

  • 法定休日に出社した場合
  • 法定休日に出社し代休を取得した場合
  • 祝日に出勤した場合

法定休日に出社した場合

法定休日に出社した場合には、割増賃金が発生します。賃金の割増率は35%です。法定休日には曜日の指定がないため、どの曜日を法定休日として設定するかどうかは企業によって異なるでしょう。

基本的には企業の就業規則で設定されていますが、指定がない場合は行政解釈で日曜日が法定休日となることが多いようです。ただし、前述のとおり、土日を指定する完全週休二日制において日曜日が法定休日となっている場合、土曜日は法定外休日となるため、割増賃金が発生しないことを留意しておきましょう。

法定休日に出社し代休を取得した場合

法定休日に出社し、代休を取得した場合にも割増賃金が発生します。法定休日の出社と同様に、賃金の割増率は35%。また、法定休日に出勤し、取得した代休も出勤した場合にはその日にも割増賃金が発生するでしょう。

祝日に出勤した場合

祝日に出勤した場合の割増賃金は、特定の条件を満たした場合に発生することがあるでしょう。たとえば、就業規則や雇用契約書に祝日を法定休日とすると定められている場合や、祝日に出勤し労働基準法に定められた週40時間の労働時間を超過したという場合です。

このような場合の賃金割増率は25%。ただし、就業規則や雇用契約などで祝日を休日として定められていない場合には、通常の労働と同じ扱いになるので注意が必要です。

休日出勤の割増賃金はパートやアルバイトも発生する?

パートやアルバイトでも、上記の休日出勤に該当する場合には割増賃金が発生します。パートやアルバイトなどの非正規雇用だからという理由で、休日出勤や時間外労働に対して割増を発生させないことは労働基準法違反となるでしょう。

ハタラクティブ プラス在籍アドバイザーからのアドバイス

中村凌河

中村凌河

休日出勤をした場合、法律により給与が割増しで支給されます。ただし、休日出勤して割増賃金が発生するタイミングは、会社によって異なるでしょう。休日出勤の有無を確認せずに入社すると、ミスマッチから早期退職になる可能性があります。入社前に労働条件に不明点があれば、企業説明会や面接などのタイミングで確認してみましょう。

休日出勤でも割増賃金が発生しない場合

休日出勤を行ったとしても、割増賃金が発生しない場合もあるため注意が必要です。以下で、休日出勤でも割増賃金が発生しない場合を解説するので、参考にしてみてください。

法定外休日に出社した場合

法定休日ではない、会社が定める法定外休日に出勤した場合には、通常の労働日に出勤したことと同じ扱いになるため、割増賃金が発生しません。ただし、労働基準法に定められた週40時間の労働を超える場合には、時間外労働による割増賃金を請求できます。この場合の賃金割増率は25%です。

振替休日の場合

振替休日が事前に用意された場合にも、割増賃金は発生しないでしょう。事前に休日と労働日を入れ替えているため、法定休日に出勤したという扱いにはなりません。ただし、前述のとおり、労働時間が週40時間を超過した場合には時間外労働分の割増賃金を請求できます。

みなし残業の場合

みなし残業の場合は、残業の有無にかかわらず残業代が基本給として支払われるでしょう。みなし残業とは、雇用契約時に設定される「1ヶ月のうちに見込まれる残業代を事前に給与に含んだ状態で支給する」という制度を指します。

事例としては、「元々週に合計5時間の残業を見込んでいる場合、雇用契約時に週5時間分の残業代を含めて給料を設定しておく」などが該当するでしょう。ただし、みなし残業で定められた金額以上の給与が発生するほどの残業や休日出勤が行われた場合には、追加の賃金を請求できます。

残業が少ない優良企業で仕事がしたい方は、「優良中小企業で働きたい!特徴や探し方は?メリット・デメリットも解説」のコラムで優良中小企業かどうか判断する方法を解説しているので、参考にしてみてください。

管理職に該当する場合

企業の管理職に該当するポジションで休日出勤を行った場合には、割増賃金が発生しません。「労働基準法第四十一条」によれば、管理者は労働時間、休憩、休日及び深夜割増の適用外と定められています。管理職とは一般社員と異なり、決裁権を持ち一般社員に対して指示や指導を行う役割です。

管理職は「管理監督者」とも呼称され、会社のなかで「課長」や「部長」といった役職になるでしょう。

参照元
e-Gov法令検索
労働基準法第

休日出勤の割増賃金の計算方法と事例

休日出勤と残業による割増賃金は、どのように給料が計算されるのかを事例付きで解説していきます。今回用いるのは以下のような事例です。

「企業により法定休日と定められた日曜日に17時〜25時まで出勤した。21時〜22時までの1時間は休憩とする。残り3時間以上働くと法定時間労働を超過してしまう。また、残業及び深夜手当以外の手当は考慮しないものとする。」

時給を計算する

割増賃金を計算するときは、時給を算出します。たとえば、1日8時間労働、年間休日が120日の会社で、基本給が20万円であると仮定します。その場合の時給の計算は以下のとおりです。

  • ・年間所定労働日数:365日(年間日数)-120日(年間休日数)=245日
  • ・1ヶ月あたり所定労働時間:245日(年間所定労働日数)✕8時間(1日当たり労働時間)/12ヶ月(年間月数)≒163時間
  • ・時給:20万円(月給)/163時間(1ヶ月あたり所定労働時間)≒1,227円

アルバイトの場合は契約に記載された時給で問題ありませんが、正規雇用の場合には1ヶ月あたりの月給から時給を計算する必要があるでしょう。

ただし、アルバイトはシフト制を導入している場合が多いため、収入や休日数が変動しやすくなります。現在アルバイトをしていて、より安定した収入を得たい方は、「アルバイトから正社員登用は難しい?就職のコツとメリット・デメリットは?」のコラムでアルバイトから正社員就職を目指すときのコツをまとめているのでチェックしてみてください。

割増賃金率を確認する

続いて割増賃金率を確認しましょう。今回の事例で発生する割増賃金は、「法定休日の出勤による割増賃金’(35%)」と「深夜労働による割増賃金(25%)」の2種類です。

出勤時間を計算して割増賃金率を適用する

最後に出勤時間から割増賃金率を適用しましょう。今回の事例における、休日出勤日の給料計算は以下の通りです。

  • ・17~21時の給料:1,227円(時給)✕4時間✕(1+0.35(休日出勤割増))≒6,626円
  • ・22~25時の給料:1,227円(時給)✕3時間✕(1+0.35+0.25(深夜労働割増))≒5,890円

合計:6,626円+5,890円=1万2,516円

今回の事例では、17〜21時までは休日出勤による割増賃金、22〜25時までは休日出勤と深夜労働による割増賃金が発生します。21〜22時は休憩のため、賃金は発生しません。

休日出勤がない仕事に転職したい場合はプロに相談しよう

休日出勤がない仕事に転職したい場合は、就職・転職エージェントのプロに相談するのがおすすめです。プロに相談することで一人では調べきれない企業の情報を得られるので、ミスマッチを防げるでしょう。

「休日出勤がない仕事がしたい」「自分に合った仕事の探し方が分からない」という方は、就職・転職エージェントのハタラクティブへご相談ください。ハタラクティブは、若年層に特化した就職・転職エージェントです。

専属のキャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングを行い、学歴・職歴に応じた就職や転職のサポートを実施。紹介する企業はすべて、担当者が実際に足を運んだ優良企業なので、職場の雰囲気もお伝えできます。

また、応募書類の添削や面接対策、企業とのやり取りもキャリアアドバイザーが徹底サポート。サービスはすべて無料なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

後藤祐介

監修者:後藤祐介

京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。
ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。

資格 : 国家資格キャリアコンサルタント国家資格中小企業診断士
メディア掲載実績 : 「働く」をmustではなくwantに。建設業界の担い手を育て、未来を共創するパートナー対談定時制高校で就活講演 高卒者の職場定着率向上へ【イベント開催レポート】ワークリア障がい者雇用セミナーSNS : LinkedIn®YouTube