ハタラクティブ
ハタラクティブ

常用就職支度手当とは?もらえる条件や支給要件をわかりやすく解説!

常用就職支度手当とは?もらえる条件や支給要件をわかりやすく解説!の画像

この記事のまとめ

  • 常用就職支度手当とは、就職困難な失業保険受給者が再就職した際に支給される手当
  • 常用就職支度手当の対象者は、障がいがある人や就職日時点で45歳以上の人など
  • 常用就職支度手当は、ハローワーク以外で就職が決まった場合は支給されない
  • 常用就職支度手当をもらうには、常用就職支度手当支給申請書を提出する必要がある

「常用就職支度手当ってなに?」「どうやったらもらえるの?」と疑問に感じている人もいるでしょう。常用就職支度手当とは、失業保険(雇用保険)を受給している方が、安定した職業に就く際に、就職準備に必要な費用の一部を支給する制度のことをいいます。

このコラムでは、常用就職支度手当をもらえる条件や支給要件をキャリアアドバイザーの林さんによるコメント付きで紹介。そのほか、常用就職支度手当の相場や基本手当の計算方法、申請手続きの内容も解説しています。
これから常用就職支度手当の受給をお考えの方は、このコラムを参考にして受給手続きを行ってみましょう。

常用就職支度手当とは

常用就職支度手当とは、失業保険(雇用保険)を受給している方が、安定した職業に就く際に、就職準備に必要な費用の一部を支給する制度です。新しい仕事に必要な衣服や靴、引っ越しの費用などを補助することで、経済的な負担を軽減し、スムーズな再就職を支援することを目的としています。

再就職手当や特例一時金との違い

常用就職支度手当は、同じく再就職を支援する制度である「再就職手当」や「特例一時金」とは、支給目的や支給条件が異なります。それぞれの支給目的や条件は以下のとおりです。

 支給目的対象者支給額雇用形態
常用就職支度手当安定した職業への就職準備費用の補助安定した職業に就く予定の失業保険受給者上限36,000円(支給要件を満たす費用の実費)常用雇用を想定
再就職手当早期再就職の促進一定の受給資格期間を残して再就職した人所定給付日数の一定割合雇用形態は問わない
特例一時金特定の短期雇用者の生活の安定特定の短期雇用で離職した人基本手当の30日分(当面は暫定措置で40日)雇用形態は問わない

上記の表から分かるように、それぞれ支給目的や対象者、支給額などは異なります。また、「再就職手当」や「特例一時金」は雇用形態を問われませんが、「常用就職支度手当」のみ雇用形態が問われるため注意が必要です。

常用就職支度手当の対象者の条件

常用就職支度手当の受給には、いくつかの条件があります。厚生労働省の「常用就職支度手当について」によると、主な条件は以下のとおりです。

  • ・障がいがある人(身体・知的・精神など)
    ・就職日の時点で45歳以上の人
    ・特例一時金の受給資格がある人(特例一時金の受給資格者のうち、通年雇用奨励金の支給対象となる事業主に通年雇用される人)
    ・45歳以上の日雇受給資格者(日雇受給資格者のうち、日雇労働被保険者として就労することを常態とする人)
    ・そのほか就職が困難な人
 

自分が常用就職支度手当の対象者に該当するかを詳しく知りたい方は、自分が住んでいる地域のハローワークのホームページか窓口で確認しておくことをおすすめします。
ハローワークの営業時間については、「ハローワークは土日もやってる施設がある?開庁時間やサービス内容を解説」や「ハローワークの営業時間は?混みにくい時間帯や効率良く利用するコツを解説」のコラムで紹介しているのであわせてご覧ください。

受給するには失業保険の支給対象であることが前提

常用就職支度手当を受給するには、失業保険(雇用保険)の対象であることが前提です。受給を検討している方は、まずハローワークで求職の申し込みを行い、失業認定を受けることから始めましょう。
そして、就職活動をとおして常用雇用での就職が決まったら、速やかにハローワークに相談することが大切です。申請には期限がありますので、早めの行動が必要となります。

参照元
厚生労働省
トップページ

常用就職支度手当を受け取るために必要な支給要件

常用就職支度手当は、失業中の方が就職活動を行う際に経済的な負担を軽減するための支援制度です。再就職の準備に必要な費用の一部を支給することで、安定した就職を支援することを目的としています。
厚生労働省の「常用就職支度手当について」によると、常用就職支度手当を受けるために必要な支給要件は、以下のとおりです。

支給要件詳細
ハローワークの紹介により1年以上引き続いて雇用されることが確実であると認められる職業に就いたことここでは、雇用形態は問われていないため、正社員に限らず、契約社員やパート・アルバイトも含まれます。
離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと再雇用となってしまうため、常用就職支度手当の条件に該当しなくなります。
待期期間又は離職理由、紹介拒否等による給付制限期間が経過した後職業に就いたこと給付制限期間は、基本手当の待機期間とは別に設けられる給付がされていない期間のことを指します。
常用就職支度金を支給することがその者の職業の安定に資すると認められること就職日前3年以内の就職について再就職手当又は常用就職支度金の支給を受けたことがある場合は、常用就職支度金は支給されません。

参照:厚生労働省「常用就職支度手当について(p.1)

常用就職支度手当の支給要件は、失業保険の支給が前提のほか、上記4つすべての要件に該当する必要があるため、注意が必要です。
一つひとつの要件をよく確認し、該当するかを確認しておきましょう。

参照元
厚生労働省
トップページ

ハローワーク以外で就職が決まった場合は支給されない

常用就職支度手当を受給するには、原則としてハローワークの紹介によって就職することが必須です。ハローワーク以外で就職先を見つけた場合、たとえ他の支給要件を満たしていても、この手当は受け取れないので注意しましょう。
ハローワークでの就職が必須になる理由としては、「公的職業紹介の促進」や「不正受給の防止」などが挙げられます。確実に常用就職支度手当を受け取るためには、ハローワークで求人を見つけたり、仕事を紹介してもらったりして就職先を決めるのがおすすめです。

ハローワークの利用方法とは?初めての方へ使い方を解説!」や「ハローワークで相談できることってどんなこと?利用方法や相談のポイント」のコラムでは、ハローワークの利用方法や利用内容などを確認できるので、ぜひ参考にしてみてください。

常用就職支度手当の相場はいくら?

常用就職支度手当の支給額の相場は、基本手当日額と支給残日数によって変動するため、一律の相場はありません。一般的に、基本手当日額は4,000~6,000円程度、支給残日数は30~90日程度であることが多い傾向にあります。
そのため、支給額の相場は、おおよそ5~20万円の範囲内となる場合が多いでしょう。

基本手当の支給残日数による計算式

ハローワークインターネットサービスの「就職促進給付 常用就職支度手当」によると、基本手当の支給額は、以下の計算式で算出されます。

常用就職支度手当 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 40%
※基本手当日額:失業保険の基本手当として1日に受け取れる金額
※支給残日数:再就職するまでに残っている基本手当の受給日数

たとえば、基本手当日額が6,000円、支給残日数が60日の場合、「6,000円 × 60日 × 40% = 144,000円」となり、144,000円の常用就職支度手当が支給されます。

参照元
ハローワークインターネットサービス
就職促進給付

常用就職支度手当の申請手続きの流れ

常用就職支度手当を受け取るには、いくつかの手続きが必要です。ここでは、申請の流れについて詳しく説明します。申請をする際の参考にしてみてください。

必要書類の準備

常用就職支度手当を申請するには、まず必要な書類を準備する必要があります。主な必要書類は以下のとおりです。

  • ・常用就職支度手当支給申請書
    ・雇用保険受給資格者証
    ・採用証明書(新しい勤務先から発行されたもの)
    ・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど。住民票の写しでも可)

これらの書類は、漏れなく準備することが大切です。事前に書類の内容を確認し、不足がないようにしましょう。特に採用証明書は新しい勤務先に発行を依頼する必要があるので、採用が決まったらすぐに依頼するのがおすすめです。

申請のタイミングと期限

常用就職支度手当の申請は、新しい仕事に就く前、または就いた日から起算して1ヶ月以内に行う必要があります。常用就職支度手当は新しい仕事に就くための準備を支援するものです。就職後、時間が経ってからでは、準備のための支援という本来の目的から外れてしまうため、期限が設けられています。
そのため就職が決まったら、できるだけ早く必要書類の準備を始め、余裕を持って申請を行いましょう。新しい仕事に就く前に申請できれば、実際に仕事を始める前に手当を受け取ることが可能なため、入社準備に充てられます。

提出先と提出方法

常用就職支度手当の申請書類は、住所地を管轄するハローワークに提出します。ハローワークは雇用保険を含む就職支援全般を担当する機関であるため、雇用保険制度の一部である常用就職支度手当もハローワークで申請を行うのが一般的です。

提出方法は、「窓口での直接提出」「 郵送による提出」「オンラインによる提出(一部の地域で可能)」などがあります。不明な点がある場合は、窓口で直接提出するのがおすすめです。係員に直接質問できるので、誤りを事前に防げるでしょう。
郵送の場合は、配達記録が残る方法を選び、書類が確実に届いたことを確認し、オンラインで提出する場合は、システムの不具合に備えて余裕を持って申請することが大切です。

ハローワークに必要な持ち物は何?失業手当申請や目的別に必要なものを解説」のコラムでは、ハローワークに行く際に必要な持ち物を紹介しているので、ぜひご一読ください。

ハタラクティブ プラス在籍アドバイザーからのアドバイス

林 瑠莉香

林 瑠莉香

ここまで就職が決まってから常用就職支度手当を受け取る方法について説明してきましたが、常用就職支度手当を受け取らずに転職するメリットもあります。
常用就職支度手当を受給するには、「申請の期間」や「受け取るまでの期間」があるため、一定のブランク期間が空いてしまうでしょう。常用就職支度手当金を受け取るために多少のブランク期間はつきものですが、就職するまでの期間が長くなり過ぎてしまうと再就職のハードルが上がってしまう可能性も考えられます。

しかし、常用就職支度手当を受け取らないことでブランク期間を最小限にとどめられるほか、正社員として早く働いたほうが生涯年収が多くなる傾向にあるので、早めに就職をすることもおすすめですよ。

常用就職支度手当はいつもらえる?

常用就職支度手当は、通常、申請から2〜3週間程度で支給されます。申請書類の確認や審査、支給決定の手続きに一定の時間が必要となるためです。ただし、書類に不備がある場合や確認事項がある場合は、さらに時間がかかる場合があるので書き損じがないよう注意しましょう。

支給方法は、基本的に指定した銀行口座への振り込みです。新しい仕事に必要な準備のために早めにお金が必要な場合は、できるだけ早く申請手続きを行いましょう。

再就職をお考えの方は、ぜひハタラクティブへご相談ください。ハタラクティブは、20代を中心とした若年層向けの就職・転職エージェントです。プロのキャリアアドバイザーがマンツーマンで就職・転職活動をサポートしてくれるため、再就職に自信がない方や転職の進め方が分からない方も安心して転職活動を進められます。
また、自分に合った仕事が分からない方には、所要時間1分程度でできる適職診断もご用意しているので、利用してみるのもおすすめです。
サービスはすべて無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

常用就職支度手当に関するよくある質問

ここでは常用就職支度手当に関する疑問をQ&A方式でお答えします。

常用就職支度手当の支給申請書の書き方は?

常用就職支度手当の支給申請書を書くときは、「申請者の氏名」「住所」「生年月日」「被保険者番号」を正確に記入することが重要です。そのほか、就職先の情報や、 必要な添付書類(雇用保険受給資格者証)を用意する必要があるため、事前に確認しておくと望ましいでしょう。

常用就職支度手当の支給申請書は、記入内容によって支給の可否や金額が決まるため、間違いや記入漏れがあると、手当の支給が遅れたり、受け取れなくなったりする可能性があります。記入に不安がある場合は、ハローワークの窓口で相談するのがおすすめです。

常用就職支度手当の所定給付日数が270日以上ある場合の支給額は?

支給額はそれぞれの基本手当日額や支給残日数によって異なりますが、所定給付日数が270日以上ある場合は、支給日数が一律90日になるため「基本手当日額×支給残日数(90日)×40%」で計算されます。たとえば基本手当が6,000円の場合、「6,000(基本手当日額)×90(支給残日数)×40%」で計算し、支給額は21万6,000円です。
基本手当日額や支給残日数で金額が大きく異なるため、金額や日数をよく確認してから申請するようにしましょう。

参照元
ハローワークインターネットサービス
就職促進給付 常用就職支度手当

常用就職支度手当と再就職手当は両方もらえる?

常用就職支度手当と再就職手当を両方受け取ることはできません。常用就職支度手当と再就職手当はそれぞれ支給条件や要件が異なるため、基本的にはどちらか該当するほうを受け取るのが一般的です。
たとえば、支給残日数があるうちに就職が決まった場合は、再就職手当が支給されますが、支給残日数が足りない場合は、条件を満たせば常用就職支度手当を受け取れます。詳細や詳しい条件については、ハローワークで確認するのがおすすめです。

ハローワークで受け取れる給付金について詳しく知りたい方は、「ハローワークで受け取れる給付金は?必要な条件や申請する方法を解説」のコラムも参考にしてみてください。

常用就職支度手当をもらうために嘘の申請をしたらバレる?

嘘の申請を行うのは罰則が課せられる可能性があるため避けましょう。常用就職支度手当の申請内容は、厳密に審査されます。そのため、虚偽の申請を行うと不正受給となり、法律で罰せられる行為と判断される場合も。
しっかりと常用就職支度手当を受け取るためには、正しい内容を報告するようにしましょう。

後藤祐介

監修者:後藤祐介

京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。
ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。

資格 : 国家資格キャリアコンサルタント国家資格中小企業診断士
メディア掲載実績 : 「働く」をmustではなくwantに。建設業界の担い手を育て、未来を共創するパートナー対談定時制高校で就活講演 高卒者の職場定着率向上へ【イベント開催レポート】ワークリア障がい者雇用セミナー
SNS : LinkedIn®YouTube